喘息最新情報  (291〜



このページでは喘息に関する最新の情報や役に立つような情報を、簡単な解説と当院での経験などをまじえて紹介しています。( )は記述年月で、記載は新しい順になっています。
最新情報(1〜250
)は情報が古くなりましたので削除ましました。


 321. 抗IL-5抗体薬「ヌ―カラ」が発売
ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体「ヌ―カラ皮下注射用100mg」が今年3月28日、成人および12歳以上の小児に対して「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」の効能・効果で承認を取得したことを記載しましたが、この度、5月25日に発売されることになりました。「ヌ―カラ」は、喘息において好酸球の機能を調節する役割を果たすサイトカインであるインターロイキン-5(IL-5)の機能を阻害することにより血中好酸球数を減少させ、喘息増悪の発現頻度を減少させると考えられます。
重症喘息において好酸球は気道炎症と増悪発現に深く関与しますが、ヌ―カラ(メポリズマブ)は
IL-5の生物活性を阻害し、好酸球の増殖、浸潤、活性化および生存を抑制し、気管支ぜんそく患者において増加している喀痰中および血中好酸球数を減少させます。
適応は既存治療によっても喘息症状がコントロールできない重症喘息に患者さんに限らます。用法容量は1回100mgを4週ごとに皮下に注射します。薬価はヌ―カラ皮下注射用100mg 1バイアル175,684円だそうです。(2016.5.20)


 320. レスピマットの吸入速度チェックキット
喘息およびCOPDで使用されるスピリーバレスピマットの吸入速度はどのくらいがいいのだろうかと思っている人は多いと思います。吸入説明書では「できるだけゆっくり吸う」と記載されていますが、その「できるるだけゆっくり」はどのような程度なのかがわかりにくい人があると思いますが、発売元の日本ベーリンガーインゲルハイム社では吸入速度チェックキットを提供しています。右写真がその実物ですが、吸入口をくわえて吸う笛が鳴る仕組みになっています。その説明書には、「正しく吸入するために息を吐き出し、笛が鳴り続ける速度でゆっくり吸い続けてください」と書いてあります。
レスピマットの吸入速度がわからないという人は、医療機関で相談してもらうとよいと思います。(2016.5.12)


レスピマット
吸入速度チェックキット

(手前が吸入口)


 319. テルシガンエロゾル製造・販売中止予定
1991年に発売された短時間作用性抗コリン薬テルシガンエロゾル(日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社;一般名オキシトロピウム臭化物:当初はCFC-フロン、2004年よりHFA-フロンに変更)が2016年11月頃には販売停止予定となっています。短時間作用性抗コリン薬は気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫による気道閉塞に基づく呼吸困難など諸症状の緩解を目的として使われてきました。とくに、喘息の発作時に使用する短時間作用性吸入β2刺激薬(SABA)により一部の患者で動悸が出現する場合がありますが、そんな際にその代用的薬剤として短時間作用性抗コリン薬(SAMA)が使われました。しかしながら、それほどの需要はなく、SAMAの位置づけは常に微妙な感じでした。なお、テルシガンの販売中止になるとSAMAはアトロベント(イプラトロピウム臭化物)のみになります。(2016.3.31)


 318. 抗IL-5抗体薬「ヌ―カラ」製造販売承認を取得
グラクソ・スミスクライン株式会社は3月28日、ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体「ヌ―カラ皮下注射用100mg」[一般名:メポリズマブ(遺伝子組み換え)]について、成人および12歳以上の小児に対して「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」の効能・効果で承認を取得したことを発表しました。「ヌ―カラ」は、喘息において好酸球の機能を調節する役割を果たすサイトカインであるインターロイキン-5(IL-5)をターゲットとした初の生物学的製剤で、投与前の血中好酸球数が多いほど気管支喘息増悪発現に対する抑制効果が大きい傾向が認めめられているそうです。適応は既存の治療によっても喘息症状がコントロールできない難治の患者さんに限られ、位置づけ的にはゾレアに類似していますが、作用は異なっています。「ヌ―カラ」によってどれほどの難治性喘息患の症状が改善するか期待が持たれます。(2016.3.31)


 317. 吸入ステロイド薬と月経異常
女性の方で吸入ステロイド薬(配合剤を含む)を使用しているとまれに月経異常を来すことがあります。女性はなかなか生理の話はしてくれませんので、医師がわからない場合がありますので注意が必要です。私の長年の経験によれば、パルミコート、シムビコートは頻度が高く、キュバールはわずかにあり、、アズマネックスはごくわずかにあり、フルタイド、アドエア、オルべスコは全くないというところです。すべての添付文書を見てみましたが、月経異常が記載されているのはアズマネックスのみでした。
上の表はある女性喘息患者さんにおける吸入ステロイド薬の使用と月経異常、鼻炎症状を示したものです。(患者さんにお願いしてご協力いただいた部分があります)全身性ステロイド薬を繁用していたときは不正性器出血がひどく、離脱したらある程度軽くなりました。その後パルミコートに変更したところ著しい月経異常が出現しました。用量を減らすとやや改善しましたが、フルタイドに変更したところピタッと止まりました。念のため再度パルミコートを使用したところまた月経異常が出現、その後キュバールを使ったときに軽い月経異常が、オルべスコでは全く出現せず、アズマネックスではわずかに出現しました。参考までに鼻炎症状についても表に示しましたが、月経異常がないときは鼻炎症状はひどくなっていますが、月経異常があるときには鼻炎症状が改善しています。このような事実から、当院ではパルミコート、シムビコート、キュバールなどで月経異常が出現した場合、フルタイド、アドエア、レルベアに変更していますが、変更することでほぼ100%で月経異常は改善しています。
先日も二十代後半の女性が喘息が思わしくないということで受診されたので、シムビコートSMART療法を実施しましたが必ずしも経過は良くありませんで、週1回くらい受診していました。そこでレルベアに変更したのですが、1ヶ月後に受診した際には
「レルベアにしてからものすごく良くなりました。それに生理が正常になったんです」ととても喜んでおられました。この方は生理の異常を私に言ってくれませんでした。パルミコート、シムビコートを投与した女性にはなるべく生理のことを聞くようにしていますが、この方には聞いておりませんでした。私の中ではパルミコート、シムビコート使用の際に月経異常を来すことは時にあると思っていますが、一般にはそのように思われていないようですから記載しました。少なくとも、パルミコート、シムビコートの添付文書に月経異常を書いて欲しいと思います(ずっと以前にパルミコートで書かれていたときがあったのですが)。吸入ステロイド薬による月経異常は吸入薬の種類によって違うようです。パルミコート、シムビ―コートは出現しやすく、フルタイド、アドエア、レルベアはほとんど出現しないようです(2016.3.6)


 316. アルコールと喘息
一部の喘息患者さんではアルコールを飲むと喘息の症状が増悪することがあります。アルコールの成分であるエタノールは肝臓でアセトアルデヒドに代謝されますが、さらにアルデヒドデハイドロゲナーぜ(aldehyde dehydrpgenese:ALDH)という酵素によって、人体に無害な酢酸と水に代謝されます。日本人では約半数でALDH遺伝子が変異しており、そのため血中のアセトアルデヒド濃度が容易に上昇し、ヒスタミンを遊離を介して喘息症状を悪化させると言われています。アルコールを飲むと悪酔いする人、少量のアルコールでも動悸がしたり、ひどく顔が赤くなったり、あるいは逆に真っ青になったりする人はALDH遺伝子が変異していると考えられます。
通常アルコールを飲んで5分以内に喘息発作が誘発されます。喘息の調子がいい時はアルコールを飲んでも悪くなりませんが、喘息の調子が悪い時はアルコールを飲むとすぐに悪くなることがあり、人によってはアルコールが
喘息のバロメーターのようになる人がいます。以前にはアルコールで発作を起こして受診する方がありましたが、治療が進歩したのか、最近ではあまり見かけなくなりました。45年ほど喘息治療にかかわっていますが、アルコールを飲むと喘息が良くなるという患者さんが一人だけいましたが、これは例外的な人ですから、少なくとも、喘息の調子が悪い時はアルコールは飲まない方が良いと思います。
なお、アルコールを飲むと誘発される喘息を
アルコール誘発性喘息といいます。(2016.3.3)


 315. コーヒーと喘息
かねてから日本の喘息治療における貢献者のお一人として大変尊敬申し上げておりました和歌山市の久保クリニック院長の故久保裕先生から、5年前にご自身が書かれた「喘息の超コントロール法」(メディカルトリビューン発行:2011年)という本をいただきました。患者さんのことを考えてとてもわかりやすく、親切に書かれてている本でした。先生には2年半前に和歌山市で行われた講演会で司会をしていただきましたが、本当に親切でやさしい先生で、とても感動したことを覚えています。先生はお亡くなりになりましたが、先生の著書の中に「コーヒータイム」として書かれていたことをここにに紹介させていただきますので、雑談と思ってお読みください。

ベートーベンは若い頃から喘息でしたが、ウィーンの名医でも治療が難しかったと米国医学図書館の資料に記されているそうです。ベートーベンは大のコーヒー好きで、毎回、60粒の豆を自ら挽き、コーヒーを楽しんでいたそうです。コーヒーには気管支拡張作用があります。ベートーベンは、単なる嗜好品としてではなく、薬としてコーヒーを愛飲していたのかもしれません。
イギリスの医師
サルターは有名なネコ喘息でした。1860年に著した「喘息―その病理と治療」は、19世紀に書かれた最もすぐれた喘息解説書と言われています。その本の治療の章に次のような記述があるそうです。「喘息に最も効果があるのは濃いコーヒーだ。『コーヒーを試してみたかい?』と、患者たちに尋ねてみると、答えは決まって『はい』だ。コーヒーが彼らに効いているのは間違いない」と。
(参考:26代アメリカ大統領のルーズベルトは重症の喘息でしたが、そのルーズベルトの父が援助を求めたのはこのサルターでした)。
コーヒーの主成分カフェインは1819年にドイツ人ルンゲによって分離されました。しかし、気管支拡張作用を弱く、喘息治療の表舞台に上ることはなかったのです。1888年に分離されたカフェインの仲間テオフィリンは気管支拡張作用が強く、今も喘息治療薬として使われています(最近は世界的に使われなくなっています)。軽い喘息発作が起こって、手元に薬がない時は、濃いコーヒーが良いかもしれません。

コーヒータイムの内容は以上のようなものでしたが、ベートーベンと同じ喘息だった音楽家にはショパン、ヴィバルディ、バーンスタイン、コルサコフなどがいます。アメリカ大統領ではケネディとクリントンが喘息だったようです。以上、尊敬する久保先生を偲んで書かせていただきました
(2016.3.3)


 314. アズマネックスについて
吸入ステロイド薬のモメタゾンフランカルボン酸エステル(商品名:アズマネックス)は、わが国で2009年に発売されました。私自身は配合剤を除いた吸入ステロイド薬では最も優れた薬と思っています。その理由として、抗炎症作用が強いこと、平均粒子径が2.0μmと吸入ステロイド薬のドライパウダー製剤では最も小さく、肺沈着率が高いこと、粒子が小さいため中枢気道のみならず末梢気道まで薬剤が到達すると考えられること、操作が極めて簡便なこと、吸う力が弱くても吸入可能なこと、カウンターの字が大きくて見やすいこと、カウンターが0になると操作できなくなるロックアウト機能があることなどがあげられます。そのことから広く使用されると思われましたが、わが国では2007年にアドエアディスカス、2010年にはシムビコートとICS/LABA配合剤が発売され、一気に日本中がICS/LABA配合剤一辺倒の時代に入り、アズマネックスはあまり使用されませんでした。薬剤もデバイスも大変優れたアズマネックスがあまり出回っていないことを非常に残念に思っています。
米国ではアズマネックスとホルモテロールの配合剤Duleraが発売されていますので、アドエア、シムビコートに次いでの配合剤が発売されることを望んでいましたが発売されませんでした。大変良い薬なのに「なぜ日の目を見ないのかなあ?」という印象を持っていますが、来年にはこのアズマネックスとオンブレス(LABA:インダカテロール)とシーブリ(LAMA:グリコプロ二ウム)のICS/LABA/LAMA配合剤が発売されるようです。
ちなみに当院では、
吸入ステロイド薬の単独使用に際してはアズマネックスを第一選択薬にしています。
アズマネックス
ツイストヘラー
                                               (2016.3.2)


 313. 高齢者の吸入指導について
高齢者(65歳以上)は総務省による統計で平成27年9月現在3,384万人で総人口の26.7%と過去最高となっており、80歳以上の人口もはじめて1,000万人を超えたそうです。高齢者になると様々な疾患を持っている人が多く、当然のことなどから病院へ受診する率は高くなっています。どの分野でも高齢者の占める割合は非常に多くなっていますが、喘息も高齢化が進んでいます。
喘息の治療は
高齢者も一般成人も同様で、吸入ステロイド薬など吸入薬が治療の中心になります。薬を飲むのではなく吸うのですから、高齢者にはなかなか難しい部分もあります。高齢者喘息全体については高齢者喘息ついてに記載しましたのでご参照ください。
高齢者の吸入指導にあたっての問題点としては、

(1)個人差はありますが
理解力が低下(認知症も含む)している人があり、吸入指導しても
   なかなか理解できない人があり、吸入指導に時間がかかる。
(2)
手や指の力が弱い人や動作が緩慢な人が多く、押したり、回したりなどの吸入操作が
   スムーズに行えない人が多くいる。
(3)吸入することに慣れていないので
戸惑い、違和感、躊躇が見られる
(4)ドライパウダー製剤を使用する場合、一定の吸気流速が必要ですが、
吸気流速が低
   下(吸う力が弱い)している人がかなりある。

(5)高齢者では嗄声、口腔・咽頭カンジダ症などの
局所的副作用が出現しやすい
(6)視力が低下しているため、カウンターの数字が見えない人が多く、残量がわからない
   ケースが多い。

などがあげられます。したがって、高齢者の吸入指導にあたってはこれらの点について対応する必要があります。
(1)に対しては時間をかけて
丁寧に指導します。80歳以上の高齢者などでは同居する家
   族の方にも来てもらって、吸入方法を一緒に聞いてもらって自宅でチェックしてもらよ
   うにお願いする。一人暮らしの場合は介護職員などに依頼する。とにかく、イライラせ
   ずにじっくり指導することが肝要です。
   高齢者は覚えるまでが大変ですが、覚えてしまうときちんとできますので、最初が大切
   です。
(2)についての対応としては、
吸入補助具(ベラーエイド、フルプッシュ、グリップサポータ―
   など:吸入ステロイド薬 (ICS)の項参照)。どうしても自分でできない場合は家族や介
   護職員に補助してもらう。
(3)については、わかりやすく何度も説明するしかありませんが
、時間がたてば慣れるもの
   ですから、そこへ至るまでのフォローが必要になります。
(4)一定の吸気流速がない人はドライパウダー製剤を吸うことができませんので
エアゾー
   ル製剤を使用
します。エアゾール製剤は吸う力が弱くても吸入できます。その場合に、
   同調がうまくできない方やうまく吸入できない方はス
ペーサーを使うと良いと思います。
(5)高齢者でドライパウダー製剤を強く吸い過ぎると
高率に局所的副作用が出現しますの
   で、あまり強く吸いすぎないように注意しますが、それでも改善しないことは多いので、
  
エアゾール製剤に変更してゆっくり吸うようにすると改善ないし消失すること多いです。
   したがって、高齢者はエアゾール製剤が適切と思いますが、
スペーサーを使えばさらに
   局所的副作用は少なくなる
と思います。
(6)最近の製剤ではカウンターがついていますが、その数字がフルタイドディスカス、アドエ
   ディスカス、アドエアエアゾールでは
字が小さくて読めない人が多いです。フルティフォ
   ームは色である程度残量を知ることができますか、数字はやはり高齢者で見にくいとい
   う人が多いです。パルミコートとシムビコートはカウンターではありませんので
終わりが
   わかりにいという人
が多いです。アズマネックスとレルベアはカウンターの字が大きい
   のでよくわかるようです。キュバール、オルべスコ、フルタイドエアゾールはカウンター
   がな いのでなかなかわからない人が多いです。対応は、小さい数字のカウンターにつ
   いては同居する家族に見てもらうと良いと思います(高齢者ではアドエアエアゾールの
   カウンターが見える人はほとんどいませんので注意)。残量計のないキュバール、オル
   べスコ、フルタイドエアゾールは残量計や残量確認シールを使うとよいと思います。

以上が高齢者の吸入指導のまとめですが、これらを考えると、吸入薬は高齢者には実に優しくない薬だと思います。だからこそ、高齢者では丁寧な説明、繰り返しの説明、家族の協力が必要だと思います。80歳以上の方で吸入する場合は、ドライパウダー製剤はほぼ不適切ですからエアゾール製剤をスペーサーを使用して吸入することを強くお勧めします。312で書きましたが、
スペーサーの重要性をもっと認識していただければと思っています。(2016.3.2)


 312. スペーサーの使用について
pMDにおけるスペーサーの使用について私の意見を述べてみます。最近、pMDIの吸入においてスペーサーは使用しなくてもよいようなことが散見されますが、私自身はそのことに大変疑問を持っています。pMDIの使用の有無は使用するpMDIの種類や年齢などを考慮して、ケースバイケースで決めるべきであると思います。スペーサーを使うと吸入効率は確実に良くなりますから、使った方が良い場合がかなりあります。私は1978年1月から吸入ステロイド薬を使用しています。当初はべクロメタゾンのアルデシンとペコタイドしかありませんでした。わが国ではほとんど使われていませんでしたので、情報が全くというほどなく試行錯誤で大変苦労しました。吸入ステロイド薬を使って以前より患者さんのコントロールは良くなりましたが、十分とはいえず100点満点で30点ほどの成果でした。15年後の1993年にボルマチック、インスパイアイースなどのスペーサーが出回るようになりました。そこでスペーサーを使用したら、”大革命”というほど患者さんのコントロールが画期的に良くなったのを昨日のことのように覚えています。スペーサーを使用したことによる効果は30点を60点にまで引き上げるほどで、患者さんもスペーサーを使って吸入したことによって著しく症状が改善したことをはっきり感じていました。そのため私はスペーサーを使用することの重要性を強く感じ、pMDIを使用している患者さんすべてでスペーサーを使用するようしました。ちなみに、当時の吸入ステロイド薬はアルデシン、ペコタイドのみで薬剤の噴射速度が「シュッ」と非常に速いものでした。
その後2002年キュバールが発売(2007年に同じデバイスのオルべスコも発売)されましたが、キュバールは噴射速度が
「シューッ」とマイルドで、そのままクローズドマウスで吸っても十分効果は得られるのではといわれていました。私はpMDIをクローズドマウス法でゆっくり上手に使える人を除いてはスペーサーを使うようにしていました。その際、やはりスペーサーを使用している患者さんの方がコントロールが良好だと思いました。2003年フルタイドエアゾールが発売されましたが、これは噴射速度が速く絶対にスペーサーを使わないとうまく吸えないと考え、フルタイドエアゾール使用する患者さんは全員スペーサーを使用しました。その後、2009年にアドエアエアゾールが発売されましたが、これもフルタイドエアゾールと同じく早い噴射速度でスペーサーを使用するのは必須であると考えました。ところが、日本アレルギー学会の会告により、日本で無償で配布していたスペーサーにはエビデンスがないとの理由から、スペーサーはエアロチャンバープラス、ボアテックス、オプティヘラーを推奨することになり、今まで無償配布されていたスペーサーは配布中止となり、患者さんは有償のエアロチャンバーなどを買うことになったのです。このため、スペーサーを無償配布していたのに有料になったことで、メーカーはそれらのスペーサーを使った吸入の普及にに熱心でなくなってしまったばかりか、スペーサーは使わなくてもいいような論調に走って行ったのです(何よりも治療で考えなければならないことは、メーカーの都合ではなく、患者さんにとってベストなのは何なのかということを考えてほしいと思います)
こんな経過でありますが、スペーサーの使用について私の意見をまとめさせていただきます。フルタイドエアゾール、アドエアエアゾールは噴射速度が速いのでスペーサーの使用は必須だと思います。キュバー、オルべスコは噴射速度がマイルドなので、そのままクローズドマウスで上手に吸入できる人はそのままで、うまく吸入できない人や、うまく吸入できそうもない人はスペーサーを使うべきと思います。フルティフォームの噴射速度はフルタイドエアゾール・アドエアエアゾールとキュバール・オルべスコの中間ぐらいで早くもなく遅くもなしといところで、キュバール、アドエアと同様にそのままクローズドマウスで上手に吸入できる人はそのままで、うまく吸入できない人や、うまく吸入できそうもない人はスペーサーを使うべきと思います。フルティフォームではキュバール、オルべスコに比較して、スペーサーを使用した方が良い人は多いと思います。
ところで、うまく吸入できない人はほとんど
高齢者です。最近のスペーサーは必要ないという論調には、長きにわたってpMDIを使用してきた私にとっては納得できない論調(腹が立つほどです)だと思っています。患者さんの治療効果をより高めるためにスペーサーを使用するかしないかを考えればよいと思います。必要に応じて使うことが大切だと思います。最近の文献(アレルギー・免疫 Vol23,No.1,2016)で三菱京都病院の安場広高先生がフルティフォームでスペーサーのことを書かれていますが、私もその通りではないかとと思いました。
ちなみに、
スペーサーは今年4月には保険適応になるようです。ただし、処方箋にて薬局で投与することが条件になるようです。こうなると患者さんの負担も少なくなりますので歓迎すべきことだと思います。

スペーサーを使用する際の喘息治療管理料2について
「喘息治療管理料2については、別に厚生労働省が認める基準を満たす保健医療機関において、入院中の患者以外の喘息患者(6歳未満または65歳以上のものに限る)であって、吸入ステロイド薬を使用する際に吸入補助器具を必要とするものに対し吸入補助器具を用いた服用指導を行う場合に、初回に限り算定する」としています。(280点)

スペーサーの種類
(日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会で推奨しているもの)

上段左: エアロチャンバープラス
(マウスピースタイプ)
上段右: エアロチャンバープラス
(マスクタイプ)
中段左: ボアテックス(アルミ製)
中段右: ボアテックスマスク付き


 下段左:    オプティヘラー
以前にスペーサーは、インスパイアイース、ボルマチックソフト、デュオペーサーなどがメーカーから無償で配布されていた時代があったが、現在はすべて配布を中止している。

1978年から2016年までの当院における喘息治療の変遷と自己評価を表にしてみました。長年吸入ステロイド薬を使用してきた私にとって、スペーサーは第一の革命でもありました。(2016.2.26)


 311. 呼気NO検査を実施して
すでに喘息を診療されている多くの医療機関で実施されていますが、遅ればせながら当院でも呼気NOを測定するようになりました。現在まで、呼気NOの器械(ナイオックスVERO:チェスト社)を購入して1ヶ月ほどで300名以上に実施しております。測定値は多くの患者さんでほぼ予測していたような数値でしたが、現在何も症状がないのに著しい高値を示す症例がありましたし、症状、聴診、肺機能から明らかに喘息と思われる初診の患者さんで著しく低値だった症例もあります(こういう場合は他疾患も疑いますが)。現在ICS/LABA配合剤による治療中で全く自覚症状もなく、PEF正常で良くコントロールされている患者さんで著しい高値だったこともあります。これらはいずれも例外的なものと考えられましたが、総じて呼気NOは気道炎症の程度を反映しているように思いました。呼気NO検査の最大のメリットは気道の好酸球炎症の程度を知ることができることで、それを診断、治療反応性の有無、治療のモニタリングに活用できることですが、画面に表示される測定値を見ながら「まだ炎症は残っていますから治療は続けてください」「炎症が強く起こっていますからきちんと定期的に治療してください」などと患者さんに話しますと、患者さんがすごく納得されるというメリットがあります。きちんと治療されていてコントロール良好の患者さんの測定値は「低い」「中程度」が圧倒的に多く、治療を中断していて症状が出現したので来院したという患者さんや初診で症状がやや強い患者さんでは「高い」が多い傾向でした。まだデータとして集積していませんが、喘息診療あるいは慢性咳嗽の診療に大変有用であると考えられました。当然のことでありますが、呼気NOを評価するに当たって臨床症状、聴診、呼吸機能などを十分に参照する必要があると考えます。
なお、測定では一定の呼気を10秒間続ける必要がありますが、途中で息苦しくなってできないという患者さんはほとんどいません(2名で高齢者)でした。一定の呼気を保つことができない患者さんは高齢者に多く、その大部分は測定する際にすごく緊張しておられる方でした。
呼気NO検査は患者さんに負担もなく、簡単にできる検査だと思います。(2016.2.23)


 310. ICS/LABA配合剤の選択
ICS(吸入ステロイド薬)とLABA(長時間作用性吸入β2刺激薬)の配合剤が喘息治療で非常に多く使われるようになりまた。そのため多くの患者さんでコントロールが大変良くなっているようです。現在、ICS/LABA配合剤はアドエアディスカス、アドエアエアゾール、シムビコート、フルティフォーム、レルベアと4種5剤があります。どの薬も優れた効果がありますが、私のところでは常に「患者さんに合ったものを」ということを念頭に置いて選択しています。どの薬が合うかを調べることはできませんので、最初に一つの配合剤を使用し、それでコントロール不良であれば他の配合剤に変更してみる、それでもコントロール不良があればさらに他の配合剤に変更するということを行っています。
本当にいろいろなケースがあります。アドエアディスカスからアドエアエアゾールに変更して改善した症例、アドエアディスカスからシムビコートに変更して改善した症例、逆にシムビコートからアドエアディスカスに変更して改善し症例、アドエアディスカスからレルベアに変更して改善した例、シムビコートからレルベアにして改善した例、逆にレルベアからシムビコートに変更して改善した症例、アドエア、シムビコート、レルベアを使用してもコントロール不良でフルティフォーに変更して改善した症例、アドエアエアゾールからフルティフォームに変更して改善した症例など色々でケースバイケースの感じで、
「使ってみなければわからない」というのが現状です。
こんな中どのようにICS/LABA配合剤を選択したら良いかということになりますが、基本的には、まず
吸気流速が低下(吸う力が弱い)している症例では、ドライパウダー製剤が吸えませんからpMDI製剤(エアゾール製剤)のアドエアエアゾールかフルティフォームを使いますが、私自身はフルティフォームを優先的に使用してます。また、ドライパウダー製剤で嗄声や口腔カンジダ症が出現した場合はpMDI製剤を使用(軽減ないし消失)します。吸気流速が低下していなければ一般に日本ではドライパウダー製剤を使うことが多いようです。この際、どの薬剤をファーストチョイスにするかですが、先生自身が一番使い慣れていて、効果面などで信頼している薬を選ぶことになります。いうまでもなく、吸入方法は治療効果に影響しますので正しい吸入指導をする必要があります。

アドエア
ディスカス
アドエア
エアゾール
シムビコート
タービュヘイラー
フルティフォーム
エアゾール
レルベア
エリプタ

先般、主に喘息を専門にする先生が集まったパネルディスカッションで、「ICS/LABA配合剤を使用する場合、どの薬剤をファーストラインにしていますか?」という」設問がありましたが、先生方の答えで一番多かった順に示しますと、
シムビコート、レルベア、フルティフォーム、アドエアの順でした。シムビコートが多かったのは発作時に追加吸入するSMART療法ができるからというためのようでした。アドエアはレルベアにシフトしつつあるという状況のようでした。フルティフォームと答えた先生はレルベアとそれほど変わりなく、私が考えていた以上にファーストラインで使うという先生が多く見られました。
私のところでは吸気流速が低下(吸う力が弱い)している症例ではフルティフォームを使います。吸気流速が低下していなければ、多くは操作が簡便なドライパウダー製剤を使用します。その場合シムビコートとレルベアが中心となりますが、多く使用しているのはシムビコートです。その理由は
シムビコートは治療効果が優れていて、SMART療法ができるためにコントロールが非常に良くなり、急性増悪も明らかに減少するというところにあります。しかしながら、シムビコートからレルベアに変更して改善する症例も見られますので難しいところです。なお、操作の簡便性、カウンターの見やすさという面では圧倒的にレルベアが優れています。
以上のように、配合剤の選択もなかなか難しい面がありますが、使用している配合剤でコントロール不良な場合は配合剤を変えてみるということが大切だと思います。(2016.2.21)


 309. 喘息と慢性副鼻腔炎
慢性副鼻腔炎と喘息の合併は以前から指摘されていて、難治性喘息との関連喘息の悪化因子として注目されています。未治療の喘息の患者さんの50〜75%の症例で副鼻腔単純X線像に異常を示すと言われています。喘息の患者さんにおける副鼻腔炎の合併率は、軽症に比較して重症の喘息で有意に高くなります。慢性副鼻腔炎は鼻茸がある症例とない症例に分類されますが、鼻茸がある慢性副鼻腔炎に喘息の合併が多いと言われ、鼻茸の合併率は、喘息が重症になるにつれて上昇するとされています。アスピリン喘息患者の約90%に鼻茸が合併していると言われています。
これまでわが国では、鼻副鼻腔粘膜および鼻茸に
好中球優位の浸潤を認める慢性副鼻腔炎が多く、そのため、マクロライド(抗生物質)少量投与が高い有効率を示し、喘息の改善にもつながっていました。なお、鼻茸は保存的治療での治療が不可能なため手術を行います。
1990年代後半からわが国では、手術療法やマクロライド療法に抵抗する難治性副鼻腔炎が増加してきました。その特徴は、成人発症で篩骨洞病変が主体(一般的慢性副鼻腔炎は上顎洞有意)であり、嗅覚障害を主訴とし、両側に多発性の鼻茸があlり、末梢血中では好酸球増加を伴い、鼻粘膜・鼻茸では多数の
好酸球浸潤を認めるなどです。そのため、この副鼻腔炎を好酸球性副鼻腔炎と呼ぶようになったのです。好酸球性副鼻腔炎は、喘息、アスピリン喘息、薬剤アレルギーの合併が多いという特徴があります。好酸球性副鼻腔炎の保存的治療法としては、現在は経口ステロイド薬(プレドニンないしはセレスタミン)以外に有効な薬剤がないのが現状です。手術療法は有効ですが、最終的には半数の症例で再発すると言われています。しかし、一定の期間鼻呼吸は改善するようです。(喘息・予防管理ガイドライン2015より:2016.2.20)


 308. 吸入ステロイド薬が誕生した経緯
1950年にCarryらが全身性ステロイド薬(内服・注射)を喘息治療に使用し、著しい効果を示すことを報告しました。以後、喘息治療に全身性ステロイド薬が使用されるようになったのです。しかし、副腎皮質機能低下、感染症の誘発・増悪、骨粗鬆症、糖尿病、白内障などの副作用が問題化したのです。
1950年代にコーチゾン、ハイドロコーチゾンの吸入が試みられたのですが、十分な効果が得られませんでした。1961年にToogoodラはステロイド依存性の喘息の患者さんにデキサメタゾンを吸入薬として使用し良好な効果を報告しました。
1964年にベクロメタゾン(BDP)が開発され、皮膚科領域で塗布剤として使用されましたが、皮膚血管の収縮を指標とした抗炎症作用において
デキサメタゾンの600倍強力であるにもかかわらず、皮膚からの全身への吸収は少なく、下垂体副腎の抑制機能は認められないことが証明され、喘息の患者さんにBDPの吸入療法が試みられるようになったのです。
ClarkやBrownらはCFCフロンよるpMDI(加圧定量噴霧式吸入器)を用いて、BDPを喘息の患者さんに吸入させましたが、
局所作用が強く、気道からほとんど吸収されず、副腎皮質機能の抑制がなく、一部吸収されたものについても肝臓代謝社され、全身作用はほとんどなく、喘息コントロールに有用であることを指摘しました。
こうして1972年、英国でBDP-CFCが承認を受けて発売、導入されました。これが世界最初の吸入ステロイド薬となったのです。
そして、1977年にわが国でも承認され、1978年にわが国初の吸入ステロイド薬として発売されたのです(商品名:アルデシン、ペコタイド)。
その後、CFCフロンがオゾン層の破壊で問題となり、1987年のモントリオール議定書以降削減、全廃の方向になりました。フロン対策としてドライパウダー製剤が開発されましたが、代替フロンのHFAが登場し、わが国でもCFCフロンは全廃(医療用のみ2004年まで延長)されました。(2016.2.16)
            宮川武彦「吸入ステロイド薬の歴史」;喘息 Vol.24-25,2010-2012より


 307. 喘息と胃食道逆流症(GERD)
胃食道逆流症(gastro-esophageal reflex disease:GERD)は、胃酸などの胃内容物が食道に逆流することによって発生し、胸やけなどの症状を引き起こす食道疾患で、慢性咳嗽および咽頭痛の原因にもなるといわれています。日本人を含むアジア人のGERD症状保有率は5%未満とされ、欧米人の10〜20%に比較して低いとされていましたが、食生活が欧米化したこともあり、2000年以降の症状保有率は6.6〜37.6%と増加傾向にあります。喘息の患者さんのGERD症状保有率は45〜71%と一般の人の保有率より高く、GERD合併喘息例は非合併例と比べて、喘息がひどい特に使用する経口ステロイド薬の投与回数が多く、生活の質(QOL)が低下し、夜間発作症状が多いとされています。胃食道逆流症では胃酸が食道に逆流し、のどのあたりが焼ける感覚がします。その後に上った胃液が降りますが、その際に胃酸の一部が気管に入ることがあり、そうすると気管支内が刺激され喘息が悪化するとわれています。また、逆に喘息の気管支の収縮がGERD発症に関係しているともいわれています。このようなことから、喘息のコントロールが不良な場合はGERDを念頭に置く必要があります。また、咳が長引くときにもGERDは必ず考えておかねばならない疾患です。胃食道逆流症の治療はプロトンポンプ阻害薬を使用しますが、場合によっては胃食道逆流防止手術をすることもあります。(喘息・予防管理ガイドライン2015より:2016.2.216)


 306. 喘息とアレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は一般に通年性と季節性(花粉症)に大別されます。その有病率についての正確な数字は明らかではありませんが、わが国では国民全体の4割近くが罹患しているとされ、特に花粉症の患者さんは小児から中高年まで広い年齢層で増加していることが指摘されています。
喘息の患者さんにアレルギー性鼻炎の合併が多いことは良く知られていますが、合併率が高いだけでなく、喘息の症状や、喘息の発症にも影響するなど関連が非常に深いことから
「one airwawy, one disease」(一つの気道で一つの疾患)として注目されています。喘息の患者さんでのアレルギー性鼻炎の合併率は80%前後と言われていますが、私自身も喘息の患者さんを診察しながらその程度であると思っています。一方、アレルギー性鼻炎の患者さんの10〜20%に喘息合併が見られると言われています。花粉は粒子が大きくて下気道には直接侵入せず、花粉を原因とする喘息は非常にまれと言われており、喘息症状と直接関連が強いのはダニ・ハウスダストによる通年性アレルギー鼻炎と考えられています。しかし、花粉の飛散期に喘息が増悪する患者さんが見られるのも事実であり、花粉の飛散で喘息が悪化することは注意しなくてはならないと思います。アレルギー性鼻炎の治療薬としては鼻噴霧ステロイド薬、抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬を含む)、アレルゲン免疫療法(減感作療法、舌下免疫療法)などがあります。(喘息・予防管理ガイドライン2015より:2016.2.216)


 305. 喘息・COPD治療用吸入薬一覧
喘息とCOPDにおける治療は吸入薬が中心になっています。喘息およびCOPDの吸入薬は毎年のように発売されており、その数がかなり多くなりましたので、その一覧表を作成しました。これだけ多くなると吸入指導も大変になりますが、まとめの意味でご参照ください。
COPD治療用吸入薬はあっという間にこれだけ発売されました。選択肢が増えたという面では歓迎すべきことですが、メーカーごとにデバイスが違いますので、吸入手技を覚えるのも大変かもしれません。(2016.2.12)


 304. H スペーサーを使用したpMDIの吸入手技
pMDIをクローズドマウス法あるいはオープンマウス法で使用する場合、同調がうまくできない(ボンベの底をプッシュすると同時にゆっくり吸い込むことができな)患者さんがいます。そんな場合はエアロチャンバープラス、ボアテックスなどのスペーサを使います。スペーサーを使用すると自分のペース吸入できます。



 303. G その他のpMDIの吸入手技(2)
2013年11月に発売されたフルティフォームは新しいpMDIのデバイスです(2016.2.9)



 302. F その他のpMDIの吸入手技(1)
グラクソスミスクライン社のフルタイドエアゾール、アドエアエアゾールは同じデバイスで、フルタイドエアゾールにはカウンターがありませんが、アドエアエアゾールにはカウンターがついています。(2016.2.9)
                        (宮川武彦:第62回日本アレルギー学会・ワークショップ:2012.11)


 301. E 3M製pMDIの吸入手技
米国の3M社のデバイスを使った吸入ステロイド薬はキュバール、オルべスコ、両製品同じデバイスを使用している。(2016.2.9)
                         (宮川武彦:第62回日本アレルギー学会・ワークショップ:2012.11)


 300. D エリプタの吸入手技
エリプタはレルベアとCOPD治療薬のアノーロ、エンクラッセに使用されていますが、カバーを開けて吸うだけと最も簡単なデバイスとなっています。(2016.2.9)



 299. C ツイストヘラーの吸入手技
イストヘラーはアズマネックスに使用されていますが、キャップを外して吸うだけと操作は非常に簡単になっています。(2016.2.9)
                         (宮川武彦:第62回日本アレルギー学会・ワークショップ:2012.11)


 298. B タービュヘイラ―の吸入手技
タービュヘイラーはパルミコートとシムビコートとCOPD治療に使用するLABSのオーキシスに使用されている大変優れたデバイスです。
                         (宮川武彦:第62回日本アレルギー学会・ワークショップ:2012.11)


 297. A ディスカスの吸入手技
ディスカスはディスクヘラーに代わって登場したデバイスで、フルタイド、アドエア、セレベントで使われています。ディスクヘラーに比較すると簡単便利になっています。(2016.2.9)
                         (宮川武彦:第62回日本アレルギー学会・ワークショップ:2012.11)


 296. @ ディスクヘラーの吸入手技
喘息治療薬は吸入ステロイド薬が中心となり、いずれの医療機関、薬局においても正しい吸入方法の指導は必須となって来ました。そこで、基本的なことではありますが、各吸入ステロイド薬のデバイスごとにその吸入手技と長所、短所について順番にまとめてみます。
最初はディスクヘラーですが、このデバイスはフルタイド、セレベント、リレンザで使われています。ロタディスクはディスカスが出来たこともあまり使用されなくなっています。(2016.2.9)
                          (宮川武彦:第62回日本アレルギー学会・ワークショップ:2012.11)


 295. 喘息・COPDの吸入治療薬
喘息およびCOPD治療では吸入薬が治療の中心になっています。近年、続々新しい吸入薬が登場してましたので、現在までの吸入薬をまとめてみました。

ICS フルタイドロタディスク、フルタイドディスカス、パルミコート、アズマネックス、フルタイドエアゾール、キュバール、オルべスコ
LABA セレベントロタディスク、セレベントディスカス、オーキシスオンブレス
ICS/LABA アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベア
LAMA スピリーバカプセル、スピリーバレスピマット、シーブリエクリラエンクラッセ
LABA/LAMA
ウルティブロアノーロスピオルト
SAMA アトロベント、テルシガン
SABA サルタノールインヘラー、アイロミール、メプチンエアー、メプチンスイングヘラー、メプチンキッドエアー、ベロテック
DSCG インタール
  ICS:吸入ステロイド薬、LABA:長時間作用性吸入β2刺激薬、
  LAMA:長時間作用性抗コリン薬、SAMA:短時間作用性抗コリン薬
  SABA:短時間作用性吸入β2刺激薬、DSCG:ディソディウムクロモグリケート

  朱色の薬剤はCOPDのみ適応(喘息不適応)
  今後はICS/LABA/LAMA配合剤も発売されるようで、喘息・COPDの治療は今後も
  吸入薬が中心になっていきそうです。デバイスが種々ありますので、医師、薬剤師は
  吸入指導が大変になるという感じです。10年前とは隔世の感があります(2016.2.7)

                  最近発売されたCOPD治療用吸入薬
オンブレス
ブリーズヘラー
オーキシス
タービュヘイラ―
シーブリ
ブリーズヘラー
スピリーバ
カプセル
スピリーバ
レスピマット
LABA LAMA
エクリラ
ジェヌエア
エンクラッセ
エリプタ
アノーロ
エリプタ
ウルティブロ
ブリーズヘラー
スピオルト
レスピマット
LAMA LABA/LABA
                        ※スピリーバレスピマットのみ喘息にも適応あり


 294. 喘息では丁寧な聴診を
以前にも述べましたが、最近、咳が長く続いて止まらないときに咳喘息と診断されているケースを非常にを多く見受けます。確かに咳喘息の患者さんは多いですが、強制呼出をさせるなど丁寧な聴診をするとwheezeを聴取(とくに呼気終末で聴取)する場合があります。この場合は咳喘息でなく喘息となりま。実際に咳喘息と診断された患者さんを丁寧に聴診してみると強制呼出時にwheezeを聴取する患者さんが半分以上います。強制呼出は息を大きく吸ってから大きく吐き出すことをいいますが、一般にこの聴診が十分行われていないような印象を持っています。したがって、安易に咳喘息とするのではなく、少なくとも丁寧な聴診をして診断する必要があります。喘息では聴診が重要になりますので、ちょっと当てて聴診して終わりということがないようにすべきだと思います。最近は咳喘息となかなか区別できないような咳優位型喘息といわれるものが非常に多くなっており、聴診は非常に重要になります。私自身、喘息は聴診でほとんど診断ができる疾患だと考えており、診察では強制呼出をさせるなど丁寧な聴診ということを常に心がけております。(2016.2.6)


 293. ICS/LABA/LAMA配合剤について
吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤はICS/LABA配合剤としてアドエア(2007年)、シムビコート(2010年)、フルティフォーム(2013年)、レルベア(2013年)が発売されました。ICS/LABA配合剤は簡便さと優れた治療効果から非常に多く使用されるようになりました。そんな中、某社からICS(フランカルボン酸モメタゾン:商品名アズマネックス)とLABA(インダカテロール:商品名オンブレス)とLAMA(抗コリン薬;グリコピロ二ウム:商品名シーブリ)の3剤の配合剤が発売予定にあり、他社でも同様の配合剤が発売される可能性もあります。当然のことながら、使用対象はICS/LABA配合剤ではコントロールできない中等症から重症の喘息患者さんということになると思われます。ICS/LABA配合剤の登場によって非常に多くの患者さんで喘息のコントロールは良好となりましたが、一部ではそれでもコントロール不良な患者さんがみられます。そのため、チオトロピウム臭化物水和物のソフトミスト製剤(スピリーバレスピマット)の併用がガイドラインにも追加されましたが、こうした3剤の併用剤の登場はコントロール不良な患者さんにとって非常に意義あるものになるのではないかと考えます。
(2016.2.6)


 292. 「思い込み」に注意!
70代の女性が「こんなこと初めてですが、喘息みたいなんです」と受診されました。症状は咳と喘鳴のみでした。聴診にて明らかにwheezを聴取しましたが、呼吸機能は正常でした。聴診から喘息と診断してフルティフォームで治療を開始しました。1ヶ月後受診されましたが症状はほとんど改善されていませんでした。肺癌にて大学病院で手術されたとことを聞いておりましたので、そちらの方が何か関係あるのではないかと考えました。症状改善しないにもかかわらず、呼気NOを測定したら17ppbと低く、気道の炎症が明らかという状態ではありませんでしたので、肺の画像検査が必要と病院で精密なCT検査してもらったところ気管分岐部のリンパ節に癌が転移していて大きくなり、気管支を圧迫しているという結果でした。すなわち、喘鳴は大きくなったリンパ節の圧迫によるもので喘息によるものではなかったのです。
こういうことがありますので「思い込み」はいけないと猛省させられました。通常の胸部X線で異常が認められず、喘鳴があるので喘息として治療していたところ改善せず、最終的に肺癌だったという
ことも経験しております。喘息と考えて吸入ステロイド薬を中心に治療しても改善しないときは、他疾患を常に考慮することは非常に大切だと思います。(2016.2.6)


 291. 呼気NO(一酸化窒素)の測定
喘息では気道に慢性的な炎症(好酸球炎症)が起こっています。気道に炎症が起こっていると気道は過敏になり、風邪、冷気、花粉などの刺激が加わると気管支が収縮して症状が出現します。喘息の患者さんでは気道で多量のNOが産生されるため、呼気のNOが高濃度になります。すなわち、呼気NO測定はその好酸球性の気道炎症の程度を示すため、喘息の診断、治療の反応性の有無、治療のモニタリングに活用できます。呼気NO濃度は専用の測定機器を使用します。当院でも使用していますが、当院ではナイオックス VERO(チェスト社)を使用しています。測定方法は専用測定器具のマウスピースを咥えて大きく息を吸い、そのまま10秒間息を吐きます。その際、画面を見ながら適度な力で息を吐きます。1分後に測定値が画面に表示されます。
呼気NO値の解釈
呼気NO値と好酸球性炎症の関係(ATS:アメリカ胸部疾患学会)
<25ppb (小児<20ppb) 低い 好酸球炎症との関係の可能性は低い
25〜50ppb (小児20〜35ppb) 中程度 臨床状況も参照して慎重に解釈する
>50 (小児>35ppb) 高い 好酸球炎症との関係の可能性は高い

日本人における解釈(呼気NO測定ハンドブックより:吸入ステロイド未使用の場合)
<22ppb 低い 喘息の可能性は低い   炎症はほとんどない
22〜37ppb 中程度 喘息の可能性が高い 炎症あり
>37 高い 喘息であることは確実 炎症は強い

呼気NOは吸入ステロイド薬によって気道炎症が改善すれば低下します。吸入ステロイド薬を使用している場合、数値によって炎症がどの程度抑えられているかがある程度わかります。なお、喫煙は有意に呼気NOの濃度を低下させます。また、気道ウイルス感染症や鼻炎の合併は呼気NO濃度を上昇させます。

従来、気道の炎症の存在を知るために肺胞洗浄液や喀痰による好酸球比率で調べていましたが、これらの方法は侵襲度が高く、反復して実施することは困難でした。しかし、呼気NO検査では患者さんに負担もなく簡単に検査することができ.るのです。(2016.2.5)
呼気NO測定機器
ナイオックス VERO(チェスト社)




          
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