喘息最新情報  (232〜290



このページでは喘息に関する最新の情報や役に立つような情報を、簡単な解説と当院での経験などをまじえて紹介しています。( )は記述年月で、記載は新しい順になっています。
最新情報(1〜232
)は情報が古くなりましたので削除ましました。

                  喘息最新情報251〜

 290. 喘息死亡者数は1,547人に
2014年の喘息死亡者数(全年齢)は1,547人でした
2001年:4,014人2002年:3,771人、2003年:3,701人、2004年:3,283人、2005年3,198人、2006年:2,788人、2007年:2,540人、2008年:2,347人、2009年:2,137人、2010年:2,065人、2011年2,060人2012年1,874人2013年1,728人と年々わずかづつですが確実に減少していましたが、2014年には1,500人代となりました。これは喘息ガイドラインの普及、吸入ステロイド薬の普及、配合剤の普及、全国の各地域で喘息死ゼロを目指した活動、救急医療体制の整備などが減少した要因ではないかと考えられます。
喘息志望者数の90%は高齢者と言われており、高齢者に対する適切かつ緻密な治療が必要だと思われます。(2016.2.5)


 289. 喘息予防・管理ガイドライン2015が発行
喘息予防・管理ガイドライン2015が2015年5月末に発行されました。ガイドラインは3年ごとに改訂されており、前回の喘息予防・管理ガイドライン2012が改訂されて同2015が発行されました。今回の改定では、ガイドラインの基本的な内容はほとんど変わっていませんが、主な追加としては
●新たに喘息の定義として「喘息が
変動性疾患である」ことが明記された。
●治療ステップ別の長期管理薬の中で治療ステップ3およびステップ4に
長時間作用性抗コ
  リン薬
が追加さ れた。ただし、チオトロピウム臭化物水和物のソフトミスト製剤(スピリーバ
  レスピマット)
のみ。
●シムビコートを朝夕定期的に吸入し、症状悪化時に追加吸入する維持発作治療法は症状
  が安定し増悪が減少する(エビデンスA)として、文中に
SMART療法:single inhaler
  maintenance and reliever therapyとして初めて記載された。
●前回のガイドライン発表後に発売された新しい配合剤
(レルベア、フルティフォーム)の投
  与量などが追加記載された。
●喘息COPDオーバーラップ症候群(ACOS)について病態・治療の情報が追加された。
●難治例への対応が図と表で開設された。
●患者教育の重要性について詳細が記載された。
などです。詳細については喘息ガイドラインを参照いただきたいと思います。(2015.7.16)


 288. 吸入薬のデバイス(吸入器具)も色々
最近、喘息・COPDの治療では吸入薬が中心的役割を果たしており、それに伴って多くの吸入薬が発売されています。それぞれの吸入薬にはそれぞれ違ったデパイズが使われていますが、まとめると次のようになります。
ロタディスク: ●フルタイド(グラクソ・スミスクライン)
ディスカス: ●フルタイド(グラクソ・スミスクライン)、セレベント(グラクソ・スミスクライン)、アドエア(グラクソ・スミスクライン)
タービュへイラ パルミコート(アストラゼネカ)、シムビコート(アストラゼネカ=アステラス)、オーキシス(アストラゼネカ=MeijiSeika)
ツイストヘラ―: ●アズマネックス(MSD)
エリプタ: レルペア(グラクソ・スミスクライン)、アノ―ロ(グラクソ・スミスクライン)、エンクラッセ(グラクソ・スミスクライン)
クリックヘラー: メプチン(大塚製薬)
ハンディヘラ―: スピリーバ(日本ベーリンガー)
レスピマット: スピリーバ(日本ベーリンガー)、スピオルト(日本ベーリンガー)
ブリーズヘラ―: ●オンプレス(ノパルティス)、シ―ブリ(ノパルティス)、ウルティプロ(ノパルティス)
ジェヌエア: エクリラ(杏林)
スピンヘラ―: *インタールカプセル(サノフィ)
スイングヘラー: ○メプチン(大塚製薬)
エアゾール(加圧定量噴霧式吸入器): フルタイド(グラクソ・スミスクライン)、キュバール(大日本住友製薬)、オルベスコ(帝人ファーマ)、アドエア(グラクソ・スミスクライン)、フルティフォーム(杏林)、○メプチン(大塚製薬)、○サルタノール(グラクソ・スミスクライン)、○アイロミール(大日本住友製薬)、○ベロテック(日本ベーリンガー)、△アトロペント(帝人ファーマ)、△テルシガン(日本ベーリンガー)、*インタール・エアロゾル(サノフィ)

●吸入ステロイド薬(ICS) 長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)ICS/LABA配合剤
短時間作用性吸入β2刺激薬(LABA) △短時間作用性吸入抗コリン薬(SAMA)
長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA) ▲LABA/LAMA配合剤 *クロモグリク酸

左は最近販売承認されたCOPD治療剤エクリラの写真です。エクリラは長時間作用性抗コリン薬(LAMA)のドライパウダー吸入薬で、デバイス名はジェヌエアという新しいものです。
使い方はキャップを外して。緑色のボタンを押すと1吸入分がセットされ、信号が赤色から緑色になります。そしたら吸入しますが、正しく吸入されると「カチッ」と音がして、信号が緑色から赤色に変わります。

なお、ジェヌエアはユニバーサルデザイン賞、2015エキスパート部門、コンシューマ部門を受賞したそうです。
エクリラ
ジェヌエア

吸入薬はそれぞれ吸入方法が違いますので、これだけの多くデバイスがあると吸入指導する側も大変だと思います。いつも私は統一したデバイスがあれば簡単なのにと思っていますが、各社で新しいデバイスが競うように開発されており、それは無理なようです。(2015.4.3)(2016.2.6追加)


 287. 今年12月からレルペア、フルティフォームの長期投与が可能に
昨年末発売された吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤、レルペア(グラクソ・スミスクライン)およびフルティフォーム(杏林製薬)の投薬期間制限解除されて、長期投与が今年12月1日から可能になります。これで配合剤はアドエア(ディスカス・エアゾール)、シムビコート、レルペア、フルティフォームの4種類が長期投与が可能になり、医師にとって配合剤の選択肢が広がることになります。なお、これにともなってレルペア(1日1回吸入)は従来からある14吸入用に加えて、新たに30吸入用が発売されます。フルティフォームも従来からある56吸入用に加えて120吸入用が発売されます。
当院は多くの患者さんで配合剤は1ヶ月投与をしていますので、2週間分しか使用できないレルベ、フルティフォームは投与を控えざるを得ませんでしたが、これでアドエア、シムビコートと同様に長期投与できることになり、12月からはレルペア、フルティフォームを使うことが多くなりそうです。(2014.11.26)


 286. スピリーバ レスピマットが気管支喘息の適応を取得
慢性閉塞性肺疾患(COPD:肺気腫、慢性気管支炎)治療薬として使用されたいた長時間作用性吸入気管支拡張薬スピリーバ レスピマットが、今年11月から気管支喘息の適応を取得しました。ただし、適応は気管支喘息の重症持続型患者に限るとされています。
以前から重症喘息において吸入ステロイド剤とスピリーバ レスピマットの併用によって症状が改善することがあると聞いておりましたが、保険適応はありませんでした。それが今回、
重症喘息での使用が認められるようになったのです。
添付文書には「気管支喘息に対しては、吸入ステロイド剤等により症状の改善が得られない場合、あるいは患者の重症度から吸入ステロイド剤等との併用による治療が適切と判断された場合にのみ、本剤と吸入ステロイド剤等を併用して使用すること。」と記載されています。
スピリーバ レスピマットの気管支喘息に対する追加承認は、気管支喘息治療で困っておられる重症の患者さんにとって光明になるのではないかと思います。
なお、スピリーバ吸入用カプセルについては気管支喘息の承認は取得しておりません。(2014.11.25)
スピリーバ2.5μgレスピマット

  適応症:慢性閉塞性疾患(慢性気管支炎、肺気腫)
       
気管支喘息(重症持続型)
  用法・用量:1日1回 2吸入(チオトロピウムとして5μg)



 285. エアゾール(pMDI)製剤とスペーサー
吸入ステロイド薬はドライパウダー製剤(DPI)が7種類、エアゾール製剤(pMDI)が5種類、吸入液が1種類と計13種類があります。成人喘息で一般にDPIが多く使用されますが、吸う力が弱く(吸気流速低下)てDPIが吸えない人や、DPIで嗄声、口腔カンジダ症、口内乾燥などの局所的副作用が出現する人ではpMDIを使用します。
pMDIの吸入のコツは、
「ゆっくり深く吸う」、「薬剤を十分に吸入し、3〜5秒間息止めをする」の2点です。pMDIはボンベをプッシュするとエアゾールが噴射されますが、薬剤によって噴射の速さが違います。キュバール、オルベスコは「シュー・・・」とゆっくり噴射されますが、フルタイドエアゾール、アドエアエアゾールは「シュ・・・」と早く噴射されます。フルティフォームエアゾールはその中間ぐらいの速さで噴射されます。エアゾールの吸入方法には、スペーサー(吸入補助器具)を使わないでそのまま吸入する方法(オープンマウス法またはクローズドマウス法で行う)とスペーサーを使って吸入する方法があります。
エアゾールの噴射速度が速いとその速さと同じように早く吸ってしまうことが多く、ゆっくり吸うのはなかなか困難です。そのために十分な治療効果が得られなかったり、早く吸うと咽喉頭への薬剤の沈着率が高くなり局所的副作用が出現することがあります。そのため、私自身は少なくとも噴射速度の速いフルタイドエアゾール、アドエアエアゾールでは必ずスペーサーをするようにしています。噴射速度がマイルドなオルべスコ、キュバールはスペーサーなしてもゆっくり吸うことは可能ですし、フルティフォームもなんとかゆっくり吸うことは可能だと思います。ただ、同調などそのまま吸うのが上手にできない人は、同庁が必要ないスペーサーを使用する方が良いと思います。
わざわざ、このようなことを記載する理由について述べます。
吸入ステロイド薬はわが国で1978年に初めてアルデシン、ベコタイドインヘラ―(いずれもCFCフロン対策で2004年発売中止)がpMDIで発売され、以後20年間はこの2剤だけでDPIはありませんでした。アルデシン、ベコタイドインヘラ―の噴射速度は現在あるフルタイドエアゾール、アドエアエアゾールの噴射速度とほぼ同じでしたので、1978年からアルデシン、ベコタイドインヘラ―を使用していましたがなかなか効果は上がりませんでした。そんな中、1993年にボルマチックソフト、インスパイアイースなどのスペーサーが出回るようになりました。これは37年間吸入ステロイド薬を使って来た私にとって最も印象的で革命的ともいえるできごとでした。
スペーサーを使うようになって吸入効率が非常に上がり、多くの患者さんで喘息のコントロールが著しく改善されたのです。そのため、入院、救急受診、予定外受診は激減して行ったのです。
40数年の喘息治療にたずさわっていますが、その中で最も画期的だと思ったのはスペーサーが使えるようになったことです。最近はDPIの時代になりましたが、pMDIも上手に使えば非常に良いのではないかと思っています。(2014.1.21)


 284. レルペアの用量設定について
今回発売された新しい吸入ステロイド薬(ICS:フルチカゾンフランカルボン酸エステル新しい長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA:ビランテロールトリフェニル酢酸塩)のI配合剤レルペアの用量規格は100、200のみで2種類しかありませんので、使用方法は2段階になります。従来のICSやICSLABA配合剤は低用量、中用量、高用量の3段階でしたので、何となく違和感を覚えます。
治療ステップ2(軽症持続型相当)は100、治療ステップ4(重症持続型相当)は300で良いと考えますが、治療ステップ3(中等症持続型相当)での選択が大変難しいと思います。私自身は患者さんの状態に選択するようにしています。たとえば、アドエア250×2/日で安定している患者さんではレルペアは100を使用し、アドエア250×2/日で症状が不安定な患者さんではレルペア200を使用するようにしていますが、このあたりの選択基準がハッキリしていません。漫然と高用量の200を使用するvz94t@uh、経過が良ければ100にステップダウンすべきだと思っています。どちらかというと重症例を除いてはレルペア100を中心に使用するのが良いのではと思われます。ここらあたりの見解について発売会社もまだ言及をしておりません。いずれにしても、以上の点から、現在のところは何となくレルペアは使いにくいと言うのが私の印象です。ただ、慣れれば適切に使用できるようになると思っています。(2014.1.5)


 283. レルペアが発売
2013年12月9日、新しい吸入ステロイド薬(ICS)と新しい長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤(ICS/LABA配合剤)のレルペアがグラクソ・スミスクラインから発売されました。
レルペアは新しい吸入ステロイド薬フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)新しい長時間作用性吸入β2刺激薬ビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)の配合剤で、
1日1回1吸入で24時間作用します。配合剤には他にアドエア、シムビコート、フルティフォームがありますが、いずれも1日2回吸入しますが、レルペアは1日1回でよいという利点があります。
レルペアではエリプタというデバイスが使われていて、操作はカバーを開けて、吸うだけと1アクション吸入でき、非常に簡単になっています。
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)は現在発売されている吸入ステロイド薬の中では最もグルココルチコイド受容体親和性が高く、強い抗炎症効果が期待できます。臨床報告によるとアドエアより効果があるのではないかと考えられています。現在、アドエアなどを使用している患者さんではレルペアに変更するとさらに症状が改善する可能性があります。
その他については281を参照ください。
レルペアにはレルペア100、レルペア200があり、治療ステップ2(軽症持続型)ではレルペア100を1日1回1吸入、治療ステップ3(中等症持続型)ではレルペア100または200を1日1回1吸入、治療ステップ4(重症持続型)ではレルベア200を1日1回1吸入で使用します。(2013.12.9)



 282. フルティフォームが発売
2013年11月19日、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤(ICS/LABA配合剤)のフルティフォームが杏林製薬から発売されました。
フルティフォームは吸入ステロイド薬フルチカゾンプロピオン酸エステル(FP:商品名フルタイド)とシムビコートに含まれている長時間作用性吸入β2刺激薬ホルモテロール(FM)の配合剤で、エアゾール製剤(pMDIといいます)として発売されました。適応は成人気管支喘息のみで、製品はフルティフォーム50エアゾール56吸入用とフルティフォーム125エアゾール56吸入用の2規格となっています。使用量は通常成人には、フルティフォーム50エアゾールを1回2吸入、1日2回使用しますが、症状に応じて、フルティフォーム125エアゾールを1回2〜4吸入吸入、1日2〜4回使用します。
フルティフォームはエアゾール製剤(pMDI)ですから
吸う力が低下している方でも吸入が可能という利点があります。ICS/LABA配合剤のエアゾール製剤はすでにアドエアエアゾールがありますが、アドエアエアゾールとの違いは含まれているLABAはアドエアエアゾールはサルメテロールですが、フルティフォームはホルモテロールになっています。アドエアエアゾールは50、125、250の剤型がありますが、フルティフォームは50、125のみになっています。
なお、カウンターのバックが使用していると緑→黄色→赤と順次変わり、残量の目安がわかりやすくなっています。赤にになったら「そろそろ受診した方が」ということになります。その他については281を参照ください。(2013.11.19)



 281. 新しい配合剤のレルべアとフルティフォームが承認
2013年9月20日、新しい吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤(ICS/LABA配合剤)のレルべアとフルティフォームが製造販売承認されました。
●レルペア(グラクソ・スミスクライン)は
フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF:すでに鼻炎用ステロイド点鼻薬アラミストに使われています)という新しい吸入ステロイド薬とビランテロールトリフェニル酢酸塩(VI)という新しい長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤で、1日1回(1吸入)というところが大きなが特徴です。なお、「エリプタ」という新規に開発されたドライパウダー吸入器が採用されていて1アクションで吸入できるようになっています。新しいデバイスのエリプタはフタを開けて吸うだけと非常に簡便で、カウンターの文字も大きくて見やすくなっています。製品はレルべア100エリプタ14吸入用、レルべア200エリプタ14吸入用の2規格となっています。ドライパウダーでは初の1日1回の使用で、ディスカスではなくエリプタという簡便な新しいデバイスが使われているのが特徴です。従来の配合剤アドエア、シムビコートは、日本では海外より9〜10年遅れで発売されていましたが、今回のレルペアは世界同時発売の予定となっています。
ちなみに、現在のところ適応症はアメリカではCOPD、ヨーロッパでは喘息とCOPD、日本では喘息となっています。

レルべアに含まれるフルチカゾンフランカルボン酸エステルの抗炎症作用はアドエアに含まれるフルチカゾプロピオン酸エステルよりも強力で、1日1回のみの吸入で、デバイスも1アクションで吸入できるようになっていますから、効果的にも、簡便性という面でも大いに期待されます。
なお、レルべアは発作(症状)時に追加吸入することはできず1日1回の固定用量投与のみです。


レルべア
エリプタ

(グラクソ・スミスクライン)
●フルティフォーム(杏林製薬)は
従来からある吸入ステロイド薬
フルチカゾプロピオン酸エステル(FP:商品名フルタイド)とシムビコートに含まれている長時間作用性吸入β2刺激薬ホルモテロール(FM)の配合剤でエアゾール製剤として発売されます。2013年6月時点で欧州を中心に22ヶ国で承認されていて、10ヶ国ではすでに発売されています。フルティフォームはエアゾール製剤ですがカウンターがついていて、しかも数値の背景が最初は緑色ですが、50回を切ると黄色見え始め、40回で完全に黄色になり、30回を切ると赤色が見え始め、20回になると完全に赤色になるというようになっていて0回になったら終了となりますが、色である程度の残量がわかるようになっています(これは本邦初)。噴射速度に関しては、アドエアエアゾールが「シュッ」と速いのに対してオルベスコ、キュバールは「シューッ」とマイルドですが、フルティフォームはその中間でややマイルドという感じです。容器の大きさはアドエアエアゾールとほぼ同じです。また、ボンベのプッシュがしにくい場合のために「フルプッシュ」という補助具が用意されています。製品はフルティフォーム50エアゾール56吸入用とフルティフォーム125エアゾール56吸入用の2規格となっています。
なお、フルティフォームにはシムビコートと同じホルモテローが使われていますが、シムビコートのように発作(症状)時に追加吸入するSMART療法のような使い方はできないないことになっていて、
固定用量投与のみの使用になっています。


フルティフォーム
エアゾール

(杏林製薬)
上記2種類の配合剤の発売により、配合剤はアドエアディスカス、アドエアエアゾール、シムビコート、レルべア、フルティフォームの計5種類となり選択肢がさらに増えることになりますので、患者さんにとっては朗報になると思いす。さらに多くの患者さんのコントロールが良好になることを期待しております。詳細については発売時に記載したいと思っています。
なお、新しい2種類の配合剤は今年の11月〜12月までには発売されるようです。(2013.9.20)


 280. 喘息死亡者数は初めて2,000人以下に
2012年の喘息死亡者数(全年齢)は速報値(厚生労働省 人口動態統計 平成24年)で、過去最低であった前年の2,060人より186人減少して1,874人初めて2,000人以下になりました。
2001年:4,014人2002年:3,771人、2003年:3,701人、2004年:3,283人、2005年3,198人、2006年:2,788人、2007年:2,540人、2008年:2,347人、2009年:2,137人、2010年:2,065人、2011年2,060人、と年々わずかづつですが確実に減少していましたが、2012年には
当面の目標である2,000人を切りました。
喘息ガイドラインの普及、吸入ステロイド薬の普及、配合剤の登場、全国の各地域で喘息死ゼロを目指した活動、救急医療体制の整備などが減少した要因ではないかと考えられます。
問題点としては喘息死亡者数の90%が65歳以上の高齢者であるという点です。ちなみに、
年齢別では4歳未満の喘息死は4人、5-34歳は17人、35-64歳は165人、そして65歳以上は1,684人となっております。(2013.7.21)


 279. ICS/LABA配合剤の使い分け
現在のところ、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤はアドエア(ディスカス、エアゾール)シムビコートがあります。配合剤は治療効果が高く喘息治療に極めて有用な薬剤と考えられ、当院でも積極的に使用しています。
アドエアとシムビコ―トはいずれもすぐれた吸入薬といえますが、当院では患者さんごとにそれぞれを使い分けています。患者さんによってアドエアがいい患者さんとシムビコートがよい患者さんがいるというのが現在までの状況で、
アドエアで十分な効果が得られないときにはシムビコートに変更したり、逆にシムビコートで十分な効果が得られないときはアドエア変更したりしています。その結果、アドエア(2007年発売)しかなかったときよりも、シムビコート(2010年発売)も使用できるようになって、喘息のコントロールされるている患者さんが増えていることを実感しています。ちなみに、最近の当院におけるアドエアとシムビコートの使用比率は半々というのが現状です。
簡便性、操作性、残量の確認、臭い・味という点ではアドエアディスカスが優れていますし、迅速性、発作への対応、末梢気道炎症抑制効果、1剤で用量調節ができる、発作時に追加吸入できるという点ではシムビコートが優れています。また、吸気流速低下への対応、局所的副作用の対応という点ではアドエアエアゾールが優れています。効果的にはほぼ同等と考えられますが、シムビコートは発作時に追加吸入できる利点があります。
ICS/LABA配合剤の使い分けに関して当院では、簡単・便利・残量がわかりやすいという点でアドエアディスカスをよく使いますが、アドエアで十分コントロールできていない患者さんや、症状が強い場合、しばしば急性増悪を来す患者さん、咳症状がが主体の患者さんではシムビコートを積極的に使用しています。なお、吸気流速が低下している患者さんや、アドエアディスカス、シムビコートのドライパウダー製剤で嗄声などの局所的副作用が出現するような患者さんでは、エアゾール製剤であるアドエアエアゾールをスペーサー(ボアテック使用)を用いて使用しています。
診察してどの配合剤がよいかを決定するのはほぼ困難で、とりあえず1剤を選択して使用し、それでコントロールが不良であったり、局所的副作用が会ったりすれば、他の配合剤に変更してみるのが
良いのではないかと思います。今後、新しい配合剤が登場すると、選択肢は増えることにますが、使い分けは難しい問題になるかもしれないと思っています。(2013.7.7)


 278. 新しいICS/LABA配合剤について
吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)の配合剤はアドエア(ディスカス、エアゾール)シムビコートがあり、非常に多くの喘息の患者さんで使用されるようになりました。
現在、
新しい2種類のICS/LABA配合剤も承認申請されており、今後発売の予定がありますので簡単に解説します。
その一つはフルチカゾンフランカルボン酸エステル(ICS)とビランテロール(LABA)の配合剤で、従来のICS/LABA配合剤は1日2回の使用ですが、この配合剤は
1日1回の使用でよいのが特徴です。なお、フルチカゾンフランカルボン酸エステルはステロイド点鼻薬、(商品名:アラミスト)としてすでに使用されているものですが、ビランテロール(Vilanterol)は新しいLABAで、ドライパウダー製剤として発売予定です。この配合剤は、今までとちがって世界同時発売の予定で、アメリカではCOPD治療薬としてのみ承認(商品名:Breo Ellipta)されているそうですが、日本やヨーロッパでは喘息およびCOPD治療薬として承認申請されているようです。
もう一つはフルチカゾンプロピオン酸エステル(ICS)とホルモテロール(LABA)の配合剤で、
エアゾール製剤として承認申請されています。この配合剤はすでに「Flutiform」の商品名でヨーロッパの8ヶ国で承認されているそうです。なお、フルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名=フルタイド)はアドエアに使用されているICSで、ホルモテロール(商品名=オーキシス)はシムビコートに使用されているLABAです。
なお、アメリカではモメタゾンフランカルボン酸エステル(ICS:商品名=アズマネックス)とホルモテロール(LABA)の配合剤が商品名「DULERA」としてエアゾール製剤で発売されています。
最近の喘息治療薬の発売、承認申請状況を見ますと、喘息治療は配合剤の時代を迎えているという感じがします。(2013.6.26)


 277. アドエアエアゾールに変更して著しく改善した患者さん
52歳男性は48歳から喘息症状が出現。著しい呼吸困難や発作はないが動くと息苦しいという状態で、休日には近くの山に登っているが、その際には呼吸困難あり、メプチンを使用。当院初診時にパルスオキシメーターによる酸素濃度は92%と低下しており、PEFは450L/minで、症状はそれほどひどくないが重症と考えられた。前医でアドエア250ディスカス1吸入×2回/日で一時症状は改善するも再び悪化、シムビコート2吸入×2回/日でも改善せず、2010年7月当院を受診。
末梢気道炎症を考慮してキュバール800μg/日+セレベント50ディスカス1吸入×2回/日
で治療を開始したところ症状はかなり改善し、PEFは550〜620L/minに上昇、SpO2も95〜98%と改善。
しかし、2012年3月に症状悪化し、PEFも500L/min前後に低下。コントロール不良と考え
アドエア250エアゾール2吸入×2回/日に変更(エアロチャンバープラス使用)したところ、症状は著しく改善し、動いても息苦しさはなく、山に登っても呼吸困難はなくメプチンもまったく使用しなくなった。PEFは620〜660L/min、SpO2も常に98%で安定。風邪をひくと悪化することがあったが、それもなくなった。この患者さんではアドエアエアゾールに変更して著しく改善したわけですが、こういうケースはしばしばあり、使用している吸入ステロイド薬または配合剤でコントロール不良の場合に他の吸入ステロイド薬または配合剤への変更を試みることは大切であると思われました。
患者さんはアドエアエアゾールに変更してもうすぐ1年が経過しますが、今のところ症状はまったくなく、近々、
アドエア125エアゾール2吸入×2回/日にステップダウンの予定です。(2013.1.6)


 276. シムビコートSMART療法導入6ヶ月間の現状
昨年6月、シムビコートのSMART療法(Symbicort Maintenance and Reliever Therapy:維持および発作治療療法)が追加承認されましたが、当院では昨年6月からシムビコートを使用しているほぼすべての患者さんに対して、SMART療法に説明しています。昨年末までSMART療法を説明した患者さんは321名で、うち105名(32.7%)が実施、111名(34.6%)が未実施、105名(32.7%)が未確認という状況ですが、SMART療法導入6ヶ月間の現状を以下ににまとめてみました。なお、SMART療法を実施した患者さんの大半は月1〜数回の使用でした。
●発作治療薬としての効果はほぼ確実にみられ、発作(症状)出現時に使用 して良くなったという患者さんは多かった(80%以上)。●従来使っていた発作治療薬 (SABA:サルタノール 、メプチンなど)より、発作(症状)に対して効果があるという患者さんは多かったが、一部にSABAの方が効果があるという患者さんもいた。●SMART療法の導入によって、急性増悪が減少してきたかどうかは、現在のところ不明であり、長期の観察が必要と思われるが、期待できると思われた。SMART療法で、シムビコート を過剰に使用しているケースはなかった。● 発作時のみにシムビコートを吸入しているケースはなかった。

SMART療法の問題点としては、
○固定用量投与(FD)、 用量調節投与(AMD)は医師の判断により決定しますが、 SMART療法における発作時の使用については、医師 の指示のもとに使用するとはいえ、最終的には患者さんがその判断をすることになります。 その場合、「適正に判断できるかどうか?」が問題となると思います。
         ★ 追加吸入するかどうかの判断とタイミング
         ★ 追加吸入の回数
         ★ 状況によって受診、救急受診の判断
         ★ 急激な増悪への対応は?
○SABAで見られるような過剰使用・依存にならないか?
○発作時のみの使用にならないか?
          ★ そのため喘息の悪化を招く可能性がある。
○強い発作時(吸気流速低下)に確実に吸入できるかどうか?
○追加吸入の使用頻度がどのくらいになったら定期吸入を増量すべきか?などが挙げられます。
以上がsmart療法導入6ヶ月間の現状ですが、SMART療法は新しい治療戦略として有用と考えています。(2013.1.6)


 275. 喘息予防・管理ガイドライン2012が発行
喘息予防・管理ガイドライン2012が2012年11月末に発行されました。ガイドラインは3年ごとに改定されており、前回の喘息予防・管理ガイドライン2009が改定され、今回、喘息予防・管理ガイドライン2012が発行されました。今回の改定では、ガイドラインの基本的な内容はほとんど変わっていませんが、詳細かつ丁寧な説明がなされています。主な、追加としては
●薬物によるコントロールの項では
「DPI、pMDI吸入時に必要な注意点」としてドライパウダー定量噴霧器(DPI)を用いた方法、加圧式噴霧定量吸入器(pMDI)の吸入方法、pMDI+スペーサーを用いた吸入方法と吸入手技の記載が新たに加わった。
●段階的薬物投与プランは従来と変わらないが、シムビコートのSMART療法が承認されたため、治療ステップ2、治療ステップ3において「配合剤の使用可」および「発作治療吸入SABA」のところに新たに
注釈が追加された。
●喘息管理のための
有用な検査の一覧表が追加された。
●種々の側面において、
アスピリン喘息およびアスリートにおける喘息管理の内容が前回のガイドラインより詳しく記載されている。合併症として副鼻腔炎、中耳炎、好酸球性副鼻腔炎、好酸球性中耳炎、Churg-Strauss Syndrome(好酸球性肉芽腫性多発血管炎)の内容が詳細に記載されている。
ガイドライン2012は、全体的に前回の2009に比較してより充実したガイラインになっているというのが私の印象です。(2013.1.3)


 274. ホルモテロール(オーキシス)が慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬として発売
喘息治療薬として使われている吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤シムビコートに含まれている長時間作用性吸入β2刺激薬のホルメテロールが商品名オーキシスタービュへイラ―(1本28吸入)として本日発売されました。オーキシスは1吸入にホルモテロールフマル酸塩水和物が9μgが含まれ、乳糖水和物が添加されていて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の気道閉塞障害に基づく諸症状の緩解に適応があります。オーキシスの適応は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のみの適応で、気管支喘息に適応はありませんので、気管支喘息には使用できません
オーキシスはシムビコート同じタービュへイラ―というデバイスが使用されており、シムビコートと同様の吸入方法で、1回1吸入を1日2回吸入します。オーキシスは慢性閉塞性肺疾患の長期管理に用いる薬剤で、急性増悪の治療を目的として使用する薬剤ではありません。
長時間作用性吸入β2刺激薬については2002年に
サルメテロールセレベントロタディスク、2004年にセレベントディスカス、2009年にはインダカテロールオンプレスブリーズヘラ―が発売されています。セレベントロタディスクとセレベントディスカスは気管支喘息の適応がありますが、気管支喘息で使用する場合、原則として吸入ステロイド薬と併用することになっています。オンプレス、オーキシスは気管支喘息の適応はありませんので使用できません。
本ホームページでは喘息を中心に記載していますので慢性閉塞性肺疾患の治療薬について記載していませんでしたが、今回、オーキシスが発売されましたので記載しました。なお、吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤ではアドエアディスカス250(1回1吸入を1日2回)のみが慢性閉塞性肺疾患の適応症となっていましたが、2012年8月からシムビコート(1回2吸入を1日2回)も慢性閉塞性肺疾患の適応となりました。(2012.9.3)
  DSCN5895
オーキシス
タービュへイラ―
オンプレス
ブリーズヘラ―


 273. シムビコートの発作時頓用吸入が追加承認
吸入ステロイド薬のパルミコートと長時間作用性吸入β2刺激薬のホルモテロールの配合剤であるシムビコート発作時頓用吸入が追加承認されました。
シムビコートは朝・夕1日2回定期吸入するのが従来の使用方法(固定用量投与)でしたが、今回、
定期吸入に加えて発作が出た時に追加吸入することが可能になりました。シムビコートに含まれる長時間作用性吸入β2刺激薬ホルモテロールには長時間作用性のみならず短時間作用性もあるため、発作時の使用にも効果があり、長期管理薬としても発作治療薬としても使えるようになりました。すでに海外では以前よりSMART療法(Symbicort Maintenance and Reliever Therapy:維持および発作治療療法)としてこうした方法が行われています。
使用方法は定期吸入を朝・夕を行っていて発作症状があれば速やかに吸入しますが、その場合、まず1吸入を行い、それでも治まらないときは数分あけてもう1吸入行います。必要に応じてこれを繰り返します。1回の発作発現につき最大6吸入まで可能ととなっていますが、一般に1回の発作で6吸入しなければならないときは特別な場合だけだと思います。
定期吸入が朝1吸入、夜1吸入の場合、発作が出たときに追加吸入できるのは1日合計6吸入まで(合計1日通常8吸入まで)。定期吸入が朝2吸入、夜2吸入の場合は、発作ず出た時に追加吸入できるのは1日4吸入(合計1日通常8吸入まで)までになります。
シムビコートは定期吸入と追加吸入を合わせて通常1日8吸入まで(医師の指示がある場合、1日12吸入まで可能となっていますが、1日8吸入を超えて使用する場合はコントロールが十分でない可能性があるので、速やかに医師の診察を受ける必要があります)ですから、朝2吸入以上(3〜4吸入)、夜2吸入以上(3〜4吸入)の場合は、発作時頓用としてシムビコートを使用してはいけないことになっています。
なお、同じ吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤であるアドエアは1日2回の定期吸入のみで、発作時には使用できません。
シムビコートの発作時頓用吸入が追加承認されましたが、1日に何回も使ってもいいということではありません。
1日通常8吸入までの原則は厳守すべきです。(2012.6.26)


 272. 咳嗽に関するガイドライン 第2版 が発刊
2012年5月、日本呼吸器学会は「咳嗽に関するガイドライン 第2版 」を発刊しました。「咳嗽に関するガイドライン」は2005年に初版が発刊されましたが、今回、第2版として内容が修正されて発刊されました。「咳嗽に関するガイドライン 初版 」では診断基準について「専門医レベルの特殊な検査を要する診断基準」と「非専門医レベルの特殊な検査を必要としない簡易診断基準」を設けていましたが、第2版ではより実地臨床で応用できるように、特殊な検査を要さない診断のみに統一されています。
また、各項目、各疾患ごとに、咳嗽診療の現場で直面する問題をクリ二カルクエスチョン(CQ)として提示し、これに対するエビデンス検索を行い、答えの形で推奨文(ステートメント)が記載され、保険適用の有無も記載されています。そのため、非専門医の先生でも非常にわかりやすい内容になっています。日常診療で最も多く遭遇する咳喘息については、症状の強さによって吸入ステロイド薬の用量が指示され、効果がない場合には他の吸入ステロイド薬に変更してみる、どれくらいの期間使用するか、経過が良好な場合どのようにしていくか、中止してもよいかなどが具体的に記載されており、実地臨床に即したものになっています。多くの非専門医の先生方に是非読んでいただければと思います。(2012.6.10)


 271. 吸入薬の歴史
今回、「喘息」という医学雑誌(メディカルレビュー社))で「吸入ステロイド薬の歴史」というテーマで連載執筆しており,すでに最終の4回の執筆に入っております。執筆しながら、吸入ステロイド薬が初めて発売された1978年から使用し今年で34年を迎えた私にとってはとては感慨深いものがあります。
わが国では1978年にはじめて吸入ステロイド薬(ベクロメタゾン:アルデシン、べコタイド)が発売されましたが、15年間はほとんど使われませんでした。喘息は気道の慢性炎症と言う概念が確立された1993年に吸入ステロイド薬が中心的薬剤として位置づけたガイドライが発表されましたが、5年ほどはなかなか使用されませんでした。そんな吸入ステロイド薬普及の遅れもあって、「何とかしなくては!」と思いで吸入ステロイド薬の普及を目的にホームページを開設しました。しかし、1998年のフルタイド・ロタディスを皮切りに、2002年にはフルタイドディスカス、パルミコート、キュバールフルタイドエアゾールが発売されるようになるとともに、喘息は気道の炎症であるという考え方も広まり、吸入ステロイド薬かなり普及するようになりました。
その後(2006年以後)、パルミコート吸入液、シクレソニド、本邦初の配合剤であるアドエアディスカス、アドエアエアゾールが発売され、アズマネックス、シムビコート(配合剤)が発売されて急激に普及するようになった。とくに配合剤の登場によってより広く吸入ステロイド薬は普及するようになった。34年間を回想すると、当初と現在では隔世の感があるというのが私の感想です。
私自身の使用経験と講演を回顧からまとめますと、次のようになります。
第1期(1978-1992年):全く使われなかった(私自身は非難された経験あり))
第2期(1993-2000年):少しずつ使われるようになった(なかなか分かってもらえなかった)
第3期(2000-2007年):かなり使われるようになった(少しずつ理解してもらえるように)
第4期(2007-2112年):配合剤を中心に良く使われるようになった(理解してもらえるように)

それでも欧米諸国に比較すると必ずしも普及していないのが現状で、さらなる普及が望まれます。また、吸入ステロイド薬が豊富になり選択・使い分けということが重要になっていると思います。(2012.2.5)


 270. 私が早くから吸入ステロイド薬を使用ていた理由
私は吸入ステロイド薬を使用したのは、はじめてわが国で吸入ステロイド薬が発売日ですから、実地医家としては日本では一番早いと思います。当時、私は吸入のインタールカプセルを中心に気管支拡張薬、インタール、減感作療法、ヒスタグロビン療法、ワクチン療法、金療法、胎盤療法などあらゆる治療法をを行っていましたが、金療法以外はそれほど効果がなく(ただし、多くの患者さんで副作用があったため中止)、発作が頻発すること、喘息患者のコントロールが出来ないことに責任を感じておりました。そんな中、すでに英国などでは吸入ステロイド薬(アルデシン、べコタイド)が発売されて使われていること、副作用が少ないことを知り、発売と同時に使用するようになったのです。治療の中心として使用していたインタールをアルデシン、べコタイドに変更したところあきらかに発作は減少し、コントロールも明らかに良くなり、「これだ」と思いました。その時「インタール」を発売している会社の人に「これからは吸入ステロイド薬の時代になる」(実際にはにはそうなりませんでした)と言ったのを今でもよく覚えます。しかし、わが国ではガイドラインが発表される1993年まで全く使われず、インタ―ルより良く効く内服薬というリザベン(1983年)を筆頭に次々に抗アレルギー薬が発売、使用されました。私も使ってみましたが、まったく効果がないとうのが私の判定であり、患者さんの判定でもありました。新しい薬を使う際にはその薬を使用して良くなったかどうかを患者さんに詳しくお聞きして検証するようにしていましたが、すべての抗アレルギー薬を使いましたが良い結果は得られず、やむなく吸入ステロイド薬を中心に治療していました。当時は、「抗アレルギー薬はまったく効かない」と言うのには、日本中が抗アレルギー薬一色に染まっていましたからとても勇気がいることでした。また、全国に知られているわけもない田舎の医師がそんなことを言っても相手にもされませんでしたし、誰も聞いてくれる人はありませんでした。とても辛かったですが「ではなぜ英国や北欧では・・・」と思いつつ吸入ステロイド薬を使用していたわけです。
私自身に特別先見の明ががあった戸はは思っておりません。とにかく、コントロール不良の患者さんを何とか良くしたいという一念と、患者さんから教えてもらった、患者さんで勉強させてもらったということです。今にになってみますと、学会発表はなく、参考書や文献もなく試行錯誤て行ってきた私の治療ですが、今になってみれば正しかったと言うことになります。
臨床で喘息の患者さんだけに一生懸命になれたのは、大学や研究室で研究をを行わなかったこと、師事する先生もいなかったことで、日本における正道を歩かず自分の思うようにできたことがが、こういう結果をもたらしたのだと思います。(2012.2.5)


 269. 吸入薬のデバイス
喘息・COPD(慢性閉塞性肺疾患)などでは吸入薬が治療の中心的薬剤になっていますが、吸入薬は製品により色々なデバイス(吸入器)を使っており、現在使用されている喘息・COPDなど吸入薬用のデバイスは下記のように11種類あります。それぞれのデバイスごとに構造、成分、添加剤、吸入方法、カウンターの有無などが違います。ブル―字はCOPDのみに適応です。今回デバイス開発メーカーの3M社から新しいドライパウダーのデバイスであるテーパー(Taper Multi-Dose DPI)、コニックス(Conix Reverse-Cyclon DPI)を紹介いただきましたので(3Mドライパウダー製剤)、デバイスについてまとめとして掲載しました。ちなみに。3M社はキュバール、オルベスコのデバイスを提供している会社です。
なお、3Mではカウンター付の定量噴霧吸入器(インへラー)も開発しております。デバイスの研究は進歩し、優れたデバイスが今後も開発されるようです。
ブル―字
はCOPDのみに適応
デバイス 治療薬分類 商品名
インへラー
(加圧式定量噴霧吸入器)
吸入ステロイド薬 フルタイドエアゾール、オルベスコインへラー、キュバールエアゾール、ペクラゾンインへラー、アドエアエアゾール(配合剤)
短時間作用性吸入β2刺激薬 サルタノールインへラー、アイロミール、ベロテックエロゾル、メプチンエアー、メプチンキッドエアー、ストメリンD
抗コリン薬 アトロベント、テルシガン
抗アレルギー薬 インタールエアロゾル
ディスクへラー 吸入ステロイド薬 フルタイドロタディスク
長時間作用性吸入β2刺激薬 セレベントロタディスク
抗インフルエンザウイルス剤 リレンザ
ディスカス 吸入ステロイド薬 フルタイドディスカス、アドエアディスカス(配合剤)
長時間作用性吸入β2刺激薬 セレベントディスカス
タービュヘイラー 吸入ステロイド薬
長時間作用性吸入β2刺激薬
パルミコート、シムビコート(配合剤)オンプレス
ツイストへラー 吸入ステロイド薬 アズマネックス
クリックヘラー 短時間作用性吸入β2刺激薬 メプチンクリックヘラー
ハンディへラー 抗コリン薬 スピリーバカプセル
レスピマット
(ソフトミスト)
抗コリン薬 スピリーバレスピマット
ブリーズへラー 長時間作用性吸入β2刺激薬 オンプレス
スピンへラー 抗アレルギー薬 インタールカプセル
イーへラー 抗アレルギー薬 インタールカプセル
※テーパー 未定(吸入ステロイド薬?) (3Mドライパウダー)
※コニックス 未定(吸入ステロイド薬?) (3Mドライパウダー)
   ※インへラー、レスピマット以外はすべてドライパウダーです。

現場の医師として、デバイスについて私が要望したいことは、簡単便利なもの、操作がしやすいもの、残量計が付いたもの、30回または60回分が充填されたもの、吸入口が吸いやすいもの、ある程度吸う力(吸気流速)が弱くても吸えるもの、少しは吸った感じがあるもの、臭いや味が気にならないもの、1回あるいは1日の吸入回数が少ないもの、大きすぎないものなどです。(2012.2.1)


 268. 喘息患者さんの月別受診者数
当院では1989年から23年間、喘息の患者さんの月別受診者数の統計をとっています。定期的に毎月通院している患者さんも含まれていますので正確なことはいえませんが、ある程度喘息の好発時期が推定できるのではないかと思います。

喘息は季節の変わり目に悪くなるとされていて、とくに秋は好発時期とされていますが、当院の集計でも10月の受診者数が最も多く、秋は喘息の好発時期であることを示しています。よく喘息は梅雨時に悪くなると多くの方が思っておられると思いますが、当院の集計では6月、7月は順位的には10位、11位と8月(12位)とともに最も患者さんの少ない時期になっています。
昔は真夏と真冬は喘息はあまり悪くならないと言われていましたが、真冬は風邪、インフルエンザなどの気道感染や花粉症の増加で喘息が悪化する方が多く、真夏もクーラーを使う機会が多く、そのために喘息が悪化する方も多くなり、全体的に見ますと
1年中それほど大きな差はなくなっています
これらの結果から、長年喘息診療に携わっていますが、秋が好発時期であることには変わりはありませんが、近年は、それほど月ごと、あるいは季節ごとの差がなくなってきているのではないかと思います。この要因としては吸入ステロイド薬による治療が普及したということが考えられるのではないかと思います。
なお、この集計は発作を起こして受診した患者数ではなく、受診した患者さんの総数ですので、発作の頻度を表しているものではありません。

ちなみに、村山貴司氏が1978-1994年の17年間に調査した結果によれば(アレルギーの領域:1998)、喘息発作が最も多い月は10月で、次いで9月、11月の順になっており、そして12月、1月の順で、最も少ないのが6月となっています。当院の結果とやや違うのは9月ですが、これは年々、地球温暖化の影響からか9月も中旬ころまで夏のような気候が続くようになったからではないかと思います。 いずれにしても、10月に喘息が悪化することはまちがいないようですが、梅雨時にはそれほど多くの患者さんで喘息は悪化しないのではないかと考えられます。(2012.1.5)



 267. ホームページを開設して10年以上が過ぎました!
当院のホームページは2001年4月26日に開設しましたので、開設して10年以上が経過しました。「まだ10年」という思いと「もう10年」という思いがあります。ホームページを開設した目的は多くの患者さんに喘息を正しく理解してもらうということでした。とくに、開設当時十分に普及していなかった吸入ステロイド薬を中心とした治療ということに力を入れてきました(吸入ステロイドの普及ということを主眼にしてきました)。内容は患者さん目線でなるべくわかりやすくということを基本に、現場における私自身の経験を踏まえて、すべて私自身が作成しましたが、一部わかりにくい部分もあったのではと思っています。多くの患者さんのお役に立てたかどうかわかりませんが、できる範囲で努力して更新も行ってきました。また、メール対応も行い全国の患者さんから多数の質問メールをいただき回答もさせていただきました。それによって、患者さんが「どんなことが知りたいのか」、「どんなことを考えているのか」ということなどを勉強させてもらいました。
この10年間で多くの先生方の努力により吸入ステロイド薬はかなり普及し、当初、私が思っていた目的はある程度達成された感がしております。
今後も患者さんの立場、想いを意識して、わかりやすく最新情報などを更新して行きたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。(2011.12.20)


 266. 小児気管支喘息治療・管理ガイドラインが改訂!
日本小児アレルギー学会による小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)が、2011年10月末に「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012」として改訂されました。
今回の改訂では、成人喘息のガイドライン(JGL2009)と同様に
「喘息コントロール状態の評価」が新たに記載されました。小児気管支喘息の長期管理に関する薬物療法プランもJGLと同様に重症度別ではなく治療ステップ別になりました。薬物療法プランはJPGL2008と同様に6〜15歳、2〜5歳、2歳未満にわけられていて、内容的には大きな変化はありませんが、以下、変更点について記載します。
いずれの薬物療法プランでも、新たに従来適応となっていなかった吸入ステロイド薬が適応になった(パルミコート、オルベスコ)こともあり、吸入ステロイド薬の用量は低用量、中用量、高用量と記載が変更されました。
6〜15歳では、
治療ステップ2の追加治療でテオフィリン徐放製剤が(考慮)になり、ステップ3の追加治療からDSCG(インタール)が削除されました。治療ステップ4の追加治療で高用量SFC(アドエア)が記載されています。
2〜5歳では、
治療ステップ2の基本治療で吸入ステロイド薬(考慮)から(考慮)が削除され、追加治療でテオフィリン徐放製剤が削除されました。ステップ3の追加治療からDSCG(インタール)が削除され、テオフィリン徐放製剤が(考慮)に変更されました。治療ステップ4の基本治療の併用薬からDSCG(インタール)が削除され、SFCに変更が新たに追加されました。追加治療で高用量SFC(アドエア)が記載されています。
2歳未満では、
治療ステップ3の追加治療でDSCG(インタール)、テオフィリン徐放製剤(考慮)が削除されました。治療ステップ4の基本治療の併用薬からDSCG(インタール)が削除されました。
以上が薬物療法プランの変更点ですが、吸入ステロイド薬が中心的治療薬として位置付けられている点で従来通り変化はなく、
DSCG(インタール)、テオフィリン徐放製剤の位置づけが後退しいるのが特徴です。
詳細については喘息ガイドラインを参照いただきたいと思います。(2011.11.10)


 265. シムビコートを使用した患者さんからのメール!
本日、北海道釧路市にお住まいの49歳の男性の方から、シムビコートに関するメールをいただきましたので紹介します。内容は以下の通りでした(一部省略:当院を受診されたことのない喘息患者さんです)。
5歳の時より気管支喘息と診断されて以来、今日まで様々な喘息治療薬を用いてきました。先日、かかりつけの内科医より
シムビコートを処方され、新しい薬ゆえ、不安を覚え、インターネットで検索中、先生のホームページと出会ったことがきっかけで、安心して使用させていただくことができました。まだ数回しか、使用していませんが、効果はてきめんです。即効性があり、持続できる手ごたえを覚えています。それまでは、サルタノールとフルタイドを併用していました。サルタノールは瞬時に効く半面持続時間が短いので、頻用しかねないリスクがありました。フルタイドは即効性がないために、忍耐強く使う習慣がなかなかつきませんでした。オルベスコを「新薬」と勧められ一時使用したことがありましたが、なぜか使用直後に苦しくなって咳き込む事が多く、やめました。先生のホームページはとてもわかりやすく、わたしのような多くの喘息患者さんに見ていただけたらと思います。神様が宮川先生のホームページと出会わせてくださらなければ、いまだに、疑心暗鬼の思いで、シムビコートへの移行をためらい、サルタノールへの依存から脱することは困難だったと思います。宮川先生のお働きがますます祝され、多くの喘息患者さんが、これから冬に向かう中で苦痛が緩和されることを信じ期待しています。

以上ですが、長年使用してい薬を変更されるときは、どなたも不安になると思います。そのため、薬を変更する際に医師は「なぜ変更するのか」「どんな薬なのか」など十分な説明が求められます。薬について患者さんに十分説明して、納得していただいて使うことが望まれます。当院のホームページがこの患者さんの少しでもお役に立てたことを大変うれしく思います。(2011.11.4)


 264. シムビコートで著しく改善した高齢の喘息患者!
4〜5年前に喘息を発症し、アドエア250 1吸入×2/日、テオドール200 2錠/日と抗アレルギー薬のアゼプチンと去痰剤を使用していても毎日のように息苦しさがあるという75歳の女性の患者さんが、今年9月中旬に当院を受診されました。初診時、喘鳴あり、ピークフロー値(PEF)は180L/minと低値で、37.8℃の熱がありました。胸部レントゲンは異常なく、マクロライド系の抗生物質(ジスロマック)を投与して、吸入ステロイド薬をアドエアからシムビコートに変更しました。
熱は3日後に下がり、3日目にPEFは240L/minに上がりましたが、呼吸困難が続くため経口ステロイド薬(ブレドニン5mg 4錠/日)を5日間服用したところ呼吸困難は消失し、以後、シムビコート2吸入×2/日のみで治療しましたが、2週間後には喘鳴はあるもPEFは350L/minまで上昇し、さらに、1ヶ月後には喘鳴はほとんどなくなりPEFも400L/minまで上昇し、症状は全く消失しました。
この患者さんには高齢ということもあり、何度も何度も丁寧に吸入指導をし、吸入ステロイド薬の必要性についてもよく説明しました。アドエアを使用しているときはあまり効果が実感できず、ときどき吸入するのを忘れていたようですが、指導と説明によって毎日きちんと吸入されるようになり良くなったと考えられますが、患者さんはシムビコートの即効性を感じ、効果を実感し、きちんと吸入されるようになったようです。いずれにしても、
シムビコートに変更したことで症状は著しく改善し、患者さんも非常に喜んでおられました。使用している吸入ステロイド薬でコントロール不十分な場合、変更してみることは有効な治療手段ではないかと思います。(2011.11.1)


 263. キュバール+セレベントからシムビコートに変更して著しく改善!
キュバール2吸入×2/日とセレベント1×2吸入/日を使用していて、コントロールが不良な52歳の喘息患者さんが来院されました。6年前に喘息発作があり、その後とくに症状はなく、今年9月に喘息発作を起こし、その後、咳と呼吸困難が続いているということでした。キュバール、セレベント以外には発作時にサルタノールを処方されていました。
初診時、喘鳴を認め、呼吸困難あり、ピークフロー値(PEF)は250L/minと非常に低い値でした。また、キュバールを吸入すると喉が痛くなるということでした。キュバールとセレベントを使用していてもコントロール不良があったため、また、キュバールの吸入でのどの痛みは添加されている無水エタノールによる可能性もあるのではないか考えられたため、
シムビコート2吸入×2/日に変更したところ、2週間後には喘鳴は消失し、PEFも550L/minまで上昇し、症状は全くなくなり、患者さんも驚くほどの効果でした。しかも、シムビコートに変更したら喉の痛みはなくなったそうで、吸入器を二つ使用していたのが一つで良くなり非常に便利になったと言われていました。
なぜシムビコートに変更して著しく改善したのかを考えてみました。末梢気道炎症ということを考慮した場合、シムビコートより粒子径の小さいキュバールの方が末梢気道炎症改善効果があると思われます。したがって、シムビコートによって末梢気道炎症が改善したとは考えにくいと思いました。ただ、
シムビコートに変更したことによって中枢気道および末梢気道に薬が作用して改善したのではないかということは考えられました。
吸入ステロイド薬がキュバールからシムビコートに含まれる吸入ステロイド薬・パルミコートに変更したことによる効果が一つの理由として考えられます。もう一つの理由としては、長時間作用性吸入β2刺激薬のセレベントからシムビコートに含まれる長時間作用性吸入β2刺激薬・ホルモテロールに変更したことによって非常に改善したのではないかと思います。
当院では、中等症以上の患者さんでは、まず、アドエアまたはシムビコートを使用し、コントロールが不良であればキュバール、オルベスコの超微粒子の吸入ステロイド薬にセレベントを併用することを行っていますが、この患者さんの場合はその逆で良くなったというわけです。ここらが吸入ステロイド薬の選択の難しさだと思います。したがって、当院では
患者さん個々に合った吸入ステロイド薬(配合剤を含む)を選択するように心がけています。そのため、吸入ステロイド薬を変更する場合が良くあります。(2011.11.1)


 262. 長引く咳を訴える患者さんの中に喘息の人がかなりいる!
最近、咳喘息という病名が非常に多く使われるようになりました。私自身の経験によれば咳喘息と診断された患者さんのうち、約半分は喘息という印象を持っています。咳喘息と安易に診断しすぎているのではないかと思います。咳喘息と喘息の大きな違いは、咳喘息は咳のみが主症状ですが、喘息は咳のみならず喘鳴(ゼーぜー、ヒューヒュー)、呼吸困難を伴います。しかし、軽症喘息では喘鳴を自覚しない患者さん、呼吸困難が伴わない患者さんがかなり多くあります。また、軽症喘息では肺機能も正常なことが多く、咳喘息と軽症喘息の見分けはかなり難しいという点はあります。(当院HP 咳喘息の軽症喘息と咳喘息の比較を参照ください)
軽症喘息における喘鳴は深夜や早朝にだけ起こることが多く、診察する昼間にはほとんどないことがあり、簡単に聴診をしても喘鳴はまったく聴こえないことがほとんどです。したがって、深夜や早朝にゼーぜーやヒューヒューがあるという患者さんは、診察時に喘鳴が聴こえなくても喘息ということになります。最も重要なことは簡単な聴診ではなく、
強制呼出をして聴診することです。すなわち、息を吸ってから思い切り強く息を吐いてもらって聴診することです。その際に呼気の終末で喘鳴が聴こえたら喘息ということになります。咳だけが主症状で喘鳴、呼吸困難はないから咳喘息というのではなく、しっかりした聴診が望まれます。
予後、今後の治療方針などを考慮すると咳喘息と軽症喘息ではかなり違いますので、
正しく診断し、それぞれ適切に治療することが望まれます。(2011.10.31)


 261. アスピリン喘息に理解を!
本日、某県にお住まいの44歳・男性の喘息患者さんからメールをいただきました。内容は以下の通りです。(一部、文章を省略しました)

このたび、地元の総合病院にて解熱鎮痛剤を処方され、約90〜120分後に
アスピリン喘息大発作を発症し救急にて運ばれ一時は自分でも、もうだめかと諦めましたが同病院の先生の懸命な治療により一命を取り留めることができました。
先週の月曜日(10/17)の9時頃に、昨夜からの頭痛が気になり大事をとって病院の脳神経外科を受診し診察を受けました。診察内容としましてはCT検査と問診です。先生によるとCTの結果は特に問題は無いとのことで「解熱鎮痛剤を処方しますね!」とのことでした。その際
「私はアスピリン喘息」と伝えましたが、結果的に「ロキソニン錠60mgとムコスタ錠100mg」を処方され、薬局でも「アスピリン喘息でこの薬はどうかなぁ?」と言われましたが「先生にはアスピリン喘息のことは伝えてあるのですか?」と尋ねられましたので、「その旨は先生に伝えてあります」と返答しました。「それなら大丈夫なのかな?」と処方されその場で薬を飲み(10時頃)車を運転し、そこから15分程度の自宅まで帰り安静にしていました。 その後、11時30分頃〜12時にかけ息苦しくなり、それからだんだんと気管が締め付けられるような感覚に陥り息ができなくなったため、これはただ事では無いと身の危険を感じ自分で救急車を要請したかったのですが、息も出来ず声も単語程度しか発せられなくなったため、妻に電話連絡し「アスピリン喘息、救急車、息ができない」と伝え救急隊の要請をしました。その後5分程度で救急隊が到着し救急隊員の方には片言で薬をみせながらその旨を伝へ同病院を希望したのち、そちらへ緊急搬送していただきました。病院では先に報告致しましたように治療をして頂き次日まで入院し一命を取り留めた次第であります。しかし搬送される過程から治療を受けていたであろう時間帯の記憶が断片的にしかなく、病室ではっきりと記憶を取り戻したのは15時ぐらいからです。正直自分では、生還できたのが奇跡としか思えません。(なお、患者さんは4〜5年前から喘息を煩い他の病院から処方されている薬を服用しており、嗅覚はあまり良くないそうです)
今回の事件に対しても、しっかりとした対策ができているのかも疑問です。
今回の事故に対し医師でありながら、なぜ?未然に防止できなかったのか?不信感が募ります。先生への切なるお願いと致しまして、二度とこのような事故が起きないよう、この病気を医療機関へ広く認知していただき再発防止策を確立していただければと思います。

以上ですが、アスピリン喘息を理解していただきたくあえて掲載させていただきました。本ホームページの「アスピリン喘息」の項にも記載しましたが、こんなことがまだまだ起こっているのが現状です。中には死亡されることもありますので、どうかアスピリン喘息に対する理解を深めていただきたいと思います。とくに、アスピリン喘息を理解されている内科の先生などで機会があれば、外科、整形外科、歯科の先生などにお話しいただけると良いと思います。この方ばかりでなく、全国からこんなメールを多く受け、「何でこんなことが・・・」と沢山のお叱りをいただいております。
何とかしなければならないことだと思います
多くの先生方にアスピリン喘息を理解していただければと思います!(2011.10.30)


 260. シムビコートで著しく改善した重症難治性喘息の患者さん!
28歳で喘息を発病し、現在74歳の女性の重症難治性喘息患者さんが9年前に当院を受診されましたが、ステロイド依存性の喘息でかつアスピリン喘息があり、治療に大変苦労してきました。高用量の吸入ステロイド薬を中心に、長時間作用性吸入β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン徐放製剤などあらゆる治療薬を併用しても著しい改善は見られず、最終的には吸入ステロイド薬のキュバール400μg×2/日(高用量)と長時間作用性吸入β2刺激薬(セレベント)を使用していました。それでも、ピークフロー値(PEF)170〜200L/minで、月に1〜8回の点滴を必要とし、経口ステロイド薬も投与せざるを得ませんでした。
そんな中、
アドエアディスカス500μg×2/日(高用量)にオルベスコ200μg×2吸入×1/日を併用(こうした併用は保険適応がありません)したところ、PEFは220〜260L/minに上昇し、点滴はほとんどしなくなり、ときに経口ステロイド薬を投与する程度になりました。それでも、ときどき発作を来たすことがあり、重症難治性喘息で使用する注射ゾレアを考慮していました。しかし、2010年2月よりシムビコート4吸入×2/日(高用量)のみを使用したところ、PEFは250〜310L/minsとさらに上昇し、症状も著しく改善し、経口ステロイドもほとんど必要なくなり、2011年には1度も服用しなくなりました。あらゆる治療で改善しなかった患者さんですが、シムビコートで著しく改善したというわけです。

なぜシムビコートで効果があったかを考えますと、
@シムビコートに含まれる吸入ステロイド薬パルミコートが高用量で十分な効果を発揮した。Aシムビコートに含まれる長時間作用性吸入β2刺激薬ホロモテロールには用量反応性があり、高用量の使用で十分な効果が発揮された。Bシムビコートは粒子径が小さいため中枢気道のみならず末梢気道にも作用した。などが考えられました。
アドエアでは100、250、500いずれも長時間作用性吸入β2刺激薬のセレベントの量は1回50μg1日2回と同じですが、シムビコートでは吸入回数が増加するごとにホルモテロールの用量が増加するので、長時間作用性吸入β2刺激薬の効果が吸入回数が増やすことにより著しく効果が発揮され、アドエア使用時より改善したと考えられます。
結局この患者さん、まだPEFはやや低値ですが、現在、症状がほとんどないため、ゾレア注は実施せず、シムビコート4吸入×2/日(高用量)のみで治療しています。(2011.10.30)


 259. 吸入ステロイド薬が吸えているかどうか!
喘息治療においては吸入ステロイド薬がうまく吸えているかどうかがポイントになります。吸えていれば効果は発揮されますが、吸えていなければ効果が発揮されません。特に、ドライパウダー製剤のフルタイド、パルミコート、アズマネックス、アドエアディスカス、シムビコートでは、粉末を吸う力があるかどうかが問題となります。一定の吸う力(吸気流速)があればうまくく吸えていますが、吸う力が弱いと吸えていないことがあります。
当院ではこの1ヶ月に、前の病院でドライパウダー製剤が処方されていて、吸えてなくて効果が出ていない女性が4名もありました。すべて20〜30代の女性で、トレーナーまたは練習器で「プーッ」という音が全くしませんでした。インチェックで吸気流速を測定すると、30L/min以下が1名、30〜40L/minが3名で、うち1名の方は強く吸うように指導したら50L/min以上になり、もう1名の方もも一生懸命努力したら40〜50L/minになりました。しかし、他の1名の方は一生懸命努力してようやくまれに40L/minになるかならないかでした。いずれも
ソバがすすれないといわれていました。
この結果、後者2名の方はドライパウダー製剤からエアゾール製剤に変更(エアロチャンバー使用)しました。あるデータによれば、
ドライパウダーのディスカス製剤が吸えない人はほとんどいないという報告がありますが、私はドライパウダー製剤が発売された1998年から13年間で、吸えていない患者を少なからず経験しており、そうは思っておりません。したがって、必ずチェックするようにしています。強く吸うことを指導されて強く吸えるようになっても、家に帰ると弱く吸っているケースもあります。
ほとんどの患者さんで「ディスカス」で良いというのは、長年(33年間)吸入ステロイド薬を使用してきた私からすれば間違いなのではないかと思います。吸入ステロイド薬は適切な吸入器を選択することで効果が発揮されるのものだと考えます。
なお、
ドライパウダーが吸えているかどうかは、薬局の薬剤師さんによく指導してしていただきたいと思います。また、粉の量の多いフルタイドディスカス、アドエアディスカスから粉の量が少ないパルミコート、アズマネックス、シムビコートに変更すると「吸った感じがしない」と患者さんは不安を持ちますので、確認の上、「ちゃんと吸えている」ことを指導していただければと思います。
やっぱり「何でもア○エ○ディスカス」というのは良くないと私は思います。
現場での現状を良く知っていないと思われるメーカーには考えていただきたいと思いますが、あまりこうした意見は取り上げてもらえないのが現状のようです。(2011.10.23)


 258. アドエアディスカスが無効でアドエアエアゾールに変更した患者さん
先日、アドエアディスカス250×2/日を使用してもまったく改善されない、30代女性の患者さんが初診で来院されました。ディスカストレーナーで検査したら全く音はせず吸えていませんでした。そこで、インチェックで吸気流速を測定したところ30L/minで、もっと強く吸うように指示したら40L/minまで上がりました。私の今までの経験では40L/min以下では確実に吸えてない可能性が高い、そして自宅ではさらに弱く吸う可能性が高いと考え、40L/min以下では必ずエアゾール製剤を使用しています。実際、40L/minでエアゾ―ル製剤からドライパウダーに変更して悪化エアゾール製剤に戻したら改善という例を何例か経験しています。しかし、メーカーは30L/minでも吸えるようなことを盛んに強調しています。私自身としては何とも理解に苦しむところです。
この患者さん、
アドエアエアゾールにしたら症状は改善しました。この点から見ても「何でもア○エ○ディスカス」というのはおかしいと私は思います。他に例をあげたらきりがありませんが、「何でもア○エ○ディスカス」は絶対におかしいと私は思います。(2011.10.7)


 257. ACTは使わないの件
患者さんのコントロール状態を知るための喘息コントロールテスト(ACT)というものが某メーカーから配布されています。ACTは点数で喘息が評価できる大変便利なもので、当院で非常に良く活用していました。しかし、ACTの表は雑誌やスライドなどで許可なく使えないことになっていて、使用する場合はメーカーの許可を取らなければなりません。それだけなら良いのですが、点数を集計してスライドなどに記載すること、掲載することも許可が必要なのだそうです。
ACTは一般的に認められた指標として論文や発表や講演などに使っても良いと思いきや、それも使用不可で、いちいち許可が必要なのだそうです。ACTの表については使うのに許可がいるとは聞いていましたが、そのデータのみを講演や論文出使用する許可がいることは当院の担当者から聞いたことがありませんし、そこまでしなくてもと思いますが、ダメなのだそうです。。
そこで、
当院ではACTを使用するのを中止しました。いままでACTの用紙はいつも窓口に置いていましたがすべて撤去しました。
ことのおこりは、某メーカーの商品パンフレットに私の文献が掲載され、そこにACTの集計による図が掲載され、ACTという文字が書かれていて、メーカーからクレームが来ました。私としては青天の霹靂という感じでしたが、強くそれを言われましたのでACTは使用しないことにしました。ACTはこれだけ認められたものという意味合いがあるのですが、拒否されては仕方ありません。
喘息治療の発展のためとの思いで使用していましたが、一切使用しないことにしました。
私は使わないのがベストと考えましたが、先生方もACTを使ったスライド、論文には是非ご注意ください。(2011.10.7)


 256. 何でもドライパウダー?
先般、ある医療サイトで高齢者喘息の吸入について某メーカーが配信しておりました。内容はディスカスは高齢者でも簡単に吸えるというものでした。高齢者ではディスカスを吸えない患者さんはほとんどいないというような内容でした。私の経験ではそんなことはありません。昨日も、数日前もドライパウダーが吸えない患者さんがいました。吸気流速が30L/min以上なら吸えているわけではないと思います。30L/minの患者さんでドライパウダーを吸っていて効果がなかった患者さんがほとんどです。また、吸気流速を測定する時は強く息を吸っていますが、家に帰ったらあまり強く吸っていなケースが非常によくあります。そのため、私のところでは、吸気流速が少なくとも40L/min以上、出来れば50L/nin以上なければドライパウダー製剤は使わないようにし、エアゾール製剤を使用するようにしています。
また、ドライパウダー製剤はエアゾール製剤に比較して嗄声などの局所的副作用が多く出現します。とくに、ディスカス製剤は高齢者では非常に多く出現します。にもかかわらず、
高齢者はほとんどディスカスで良いというようなニュアンスの内容には納得が出来ませんでした。「売らんかな」の姿勢が(どこのメーカーもそうですが)透けて見える感じで良心的とは言えないと思います。患者さんのことを良く考えて欲しいと思います。当該メーカーは、ディスカスがそれほど良いのならば、なぜ、エアゾール製剤を発売しているのでしょうか?と思います。反論を覚悟であえて書きました。(2011.10.7)


 255. 何でもア○エ○ディスカス?
最近、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤が軽症から重症まで幅広く非常に多く使われております。そして「何でもア○エ○ディスカス」という風潮になっているようです。しかし、私自身は「何でもア○エ○ディスカス」でいいのなかなあと思っています。
非常に軽症や咳喘息の患者にもアドエアディスカスが頻繁に使われているようです。
私の経験によれば
軽症はほとんど配合剤は必要ないと思ってっています。たとえ、当初は使ったとしても、軽症で症状が改善すれば、吸入ステロイド薬単独にステップダウンすべきだと思います。
「何でもア○エ○ディスカス」という風潮は良くないと考えます。私自身の経験ではア○エ○ディスカスでコントロールできる症例は6〜7割程度です。したがって残った3〜4割には別の吸入ステロイド薬、別の配合剤を使ってみるべきだと思います。
多くの喘息の患者さんをより良く治療する場合、ア○エ○ディスカスだけでは無理で、効果が見られない場合は変更すべきだと思います。ア○エ○ディスカスを中心に治療するのは全く問題ありませんが、「何でもア○エ○ディスカス」「効果が見られないのに、いつまでもア○エ○ディスカス」というのはやめるべきだと思います。MRの方もただ
「売らんかな」の姿勢はなく、「患者さんに適した吸入ステロイド薬、配合剤」ということを強調して欲しいと思います。医療は患者さんのためのものなので、良心的な活動を望みたいと思います。!
(2011.10.7)


 254. 何でも配合剤?!
最近、喘息も咳喘息も何でも配合剤の風潮が非常に強くなっています。これは考えなければならないと思っています。吸入ステロイド薬単独で良いのに合剤を使っているケースは非常に多くあります。吸入ステロイド薬を33年も使っている私が、ステップダウンして吸入ステロイド低用量のみで治療して症状もない患者さんに、別の病院で「こんな古い薬を使ってるの・・・もっといいのがあるよ」と配合剤を出されたそうです。こうなる、ガイドラインも関係なくメチャクチャということになります。この原因は、ただ「売らんかな」というメーカーの対応に大いに関係があると思います。医療はいつも患者さんのためのもので、決してメーカーのものではないのです。
これで喘息の治療は良いのだろうかと思います。喘息患者の約7割は軽症ということを考えると、「配合剤を使い過ぎているのではないか」と警鐘を鳴らしたいと思います。私自身は配合剤推進派ですが、わきまえて使い分けているつもりです。「何でも配合剤!」という風潮は良くないと思います。吸入ステロイド薬、配合剤の適正な使用を望みたいと思います。 (2011.10.7)


 253. 2010年の喘息死亡者数はさらに減少!
2010年の喘息死亡者数(全年齢)は速報値で2,062人となり、過去最低であった前年の2009年より77人減少し、過去最低をさらに更新しました。
2001年:4,014人2002年:3,771人、2003年:3,701人、2004年:3,283人、2005年3,198人、2006年:2,788人、2007年:2,540人、2008年:2,347人、2009年:2,137人、2010年:2,062人と年々わずかづつですがに確実に減少しています。2,000人を切ることが当面の目標でありましたが、その目標は2010年に達成できませんでした。しかし、2011年には2000人を切るであろうと思われます。全国の各地域で喘息死ゼロを目指した活動が行われておりますので、今後はさらに減少するのではないかと思います。私自身は、いつか喘息死亡者数が1,000人を切る日が来ることを期待しております。
(2011.6.8)


 252. 東日本大震災について
3月11日の東日本大震災による被災者の皆さんに心よりお見舞い申し上げます。
私は2月15日に南相馬市、2月23日に宇都宮市、2月28日にいわき市と、いずれも一泊で講演に行かせていただきました。海のない岐阜県に居住しているということもありまして、南相馬市、いわき市の海の風景の美しさを飛行機、列車、タクシーから
眺めました。とてもきれいに思いましたが、そのときに見た風景が大震災で一変し大変ショックを受けました。
多くの方が亡くなられ、多くの方が被災され、さらに原発問題による避難などと、東北の皆さんには予期せぬ事態になりましたことを大変残念かつお気の毒に思います。
当院では喘息を診療してますので、喘息で困っておられる方のお手伝いをできることはないかと考えましたが、当院の患者さんもあり、毎日の診療を休むわけにもいかず、何もお手伝いできず心苦しく思っております。
喘息に関して何かお手伝いできることガありましたら協力させていただければと思っています。現地に何日間も行くことはできませんが、メールなどによる喘息に関するご質問などにはお答えしたいと思っています。
東北の被災地の皆さんには肉体的にも精神的にも、毎日大変かと思いますが、どうかお身体を大切にされ、徐々に普通の生活に戻れるようになることを心からお祈り申し上げます。(2011.4.7)


 251. オルベスコ専用噴霧補助具
エアゾール製剤の吸入ステロイド薬オルベスコ専用噴霧補助具ができました。これは、オルベスコのボンベの底をプッシュするときに、力(握力)がない方ではプッシュできないことがあるため、そんな方使用する補助具です。
写真のようにオルベスコを
専用噴霧補助具に装着し、片手で白の部分を親指で、赤いレバーの部分を4本の指で持って持って、赤いレバーを手前に押す(引き寄せる)と薬剤がが噴射されます。
エアゾール製剤のボンベのプッシュは握力のない方(それほど多くはありません)では、うまく押せないことがありますので、そういう方にとって役に立つと思います。
サルタノールインへラーにもべラーエイドという同じようなものがありますが、ボンベをプッシュするのにオルベスコやキュバールよりもやや硬いフルタイドエアゾール、アドエアエアゾールにもこういう補助具があれば便利だと思います。
なお、オルベスコの専用補助具はオルベスコのみしか使用できません。補助具はメーカー(帝人ファーマ)が配布(無料)しています。
(2011.3.4)



写真
オルベスコ専用噴霧補助具
(オルベスコ200インへラーを装着した状態)

          
 250. オルベスコの小児適応が追加!
2007年6月に発売された吸入ステロイド薬オルベスコ(一般名:シクレソニド)の小児適応が1月21日追加されました。従来、成人喘息にしか使えなかったオルベスコが小児でも使えるようになったわけで、これでまた小児における吸入ステロイド薬の選択肢が増えたことになりました。
これで、現在小児適応のある吸入ステロイド薬はフルタイドロタディスク、フルタイドディスカス、フルタイドエアゾール、キュバール、パルミコートタービュヘイラー、パルミコート吸入液、オルベスコ、アドエア50エアゾール、アドエア100ディスカスの9種類になり、成人と変わらないないほど豊富になっています。
オルベスコは5〜15歳の小児に適応があり
、1回100〜200μgを1日1回(夜)使用します。オルベスコは1日1回の吸入で良いところが最大のメリットではないかと思います。
なお、オルベスコには50μg(112吸入)、100μg(56、112吸入)、200μg(56吸入)の製剤があります。
(2011.1.22)

 249. シムビコート長期(10ヶ月)使用例の経過
シムビコートが発売されてちょうど1年になりました。当院でも発売当初より多くの患者さんに使用してきましたが、今回、10ヶ月継続してシムビコートを使用した患者さんがどうであるかを検討しましたので記載します。
シムビコートを10ヶ月間使用した患者さんは61名で、いずれも他の吸入ステロイド薬+セレベントまたはアドエアからシムビコートに変更した患者さんについて経過を見てみました。シムビコート使用後2週間のデータについては「吸入ステロイド薬合剤(アドエア、シムビコート)」の項に記載しましたのでご参照ください。
他の吸入ステロイド薬+セレベントまたはアドエアからシムビコートに変更した患者さんについて、10ヶ月後に
喘息コントロールテスト(ACT)、ピークフロー(PEF)、聞き取り調査、急性増悪の回数について2週後、10ヶ月後で調査しました。
ACTは2週後で平均1.9点増加(変更前:19.7点→変更後21.6点)していましたが、10ヶ月後にはさらに0.5点増加(22.1点)していました。シムビコート変更前に比較してACT点数の増加は41名(67%)、不変は20名(33%)で減少は0名で、トータルコントロールは2名から18名に増加していました。
PEFは朝が変更前:323L/min(平均)に対して2週間後:355L/minで32L/min増加、、10ヶ月後には363L/minとさらに8L/min増加(計40L/min増加)していました。夜も変更前:329L/min(平均)に対して2週間後:368L/minで39L/min増加、、10ヶ月後には376L/minとさらに8L/min増加(計47L/min増加)していました。
聞き取り調査では、変更前に比較して症状は良くなったかどうかを聞きましたが、「大変良くなった」15%、「良くなった」49%、「少し良くなった」26%と、実に90%の人が「良くなった」と答えています。現在の喘息の状態については「非常に安定」が36%、「安定」が44%、「やや不安定」が20%で、80%が「安定」と答えています。
急性増悪の回数についても調べましたが(61名中33名は変更前後とも急性増悪なし)、全体で変更前10ヶ月間で急性増悪は71回でしたが、シムビコート変更後10ヶ月間では42回と、41%減少していました。
以上の結果から、シムビコートは使用早期のみならず長期的にも非常に安定した効果を発揮すると思われました。もちろん、10ヶ月使用した患者さんのほとんどがシムビコートで効果があったので続けた方ばかりですから、その点を考慮しなければなりませんが、それにしても、
この結果は私自身も少し驚きでした。新しい吸入ステロイド薬や合剤が出るたびに喘息のコントロールが良くなる患者さんが増えていますが、シムビコートの登場でさらにコントロールが良くなる患者さんが多くなるのではないかと思います(2011.1.12)

 248. シムビコートの長期投与が可能に!
シムビコートが発売されちょうど1年になり、今年1月より長期投与が可能になりました。発売後1年間は2週間投与しかできませんでしたが、今月から長期投与が可能になり、患者さんにとっては便利になると思います。最近の喘息治療では症状が安定していれは月1回の受診で良いのではないかと私は思います。また、極めて安定していれば2〜3ヶ月に1回の受診でも良いと思っています。そうした観点かシムビコートがより使いやすくなったといえます。(2011.11.12)

 247. ゾレアが有効であった難治性喘息の1例
重症難治性喘息に効果があるゾレア皮下注射(オマリズマブ)が発売されて1年8ヶ月が過ぎました。当院ではゾレアの適応となる患者さんが20〜30名あり、その患者さんたちに十分な説明をして、ゾレアの注射を勧めましたが、費用が高額なため尻込みされる患者さんがほとんどでした。そのため、なかなかゾレアを使用することはありませんでしたが、今回、ゾレアを注射された患者さんがいますので紹介します。患者さんに説明し、納得いただきゾレアの注射を開始しましたが、その経過について報告します。患者さんは66歳の女性で、高用量の吸入ステロイド薬や他の治療を併用しても、ときどき動けなくなるほどの著しい発作があり、日常生活に支障きたしたり、息苦しさで夜眠れないこともあり、ステロイドの内服、ステロイドの点滴が必要な場合がしばしばあり、難治性喘息と診断しました。各種の吸入ステロイド薬および配合剤を高用量使用し、他の薬剤を併用しても経過は思わしくなく、ゾレアの注射をおすすめしたところ納得され、IgE値が93 IU/mlで(ゾレアの適応はIgE30〜700IU/mlで通年性のアレルゲンが証明されるものとなっています)、2010年7月29日から4週間毎投与で150mg/回を注射しました。10月までに、すでに4本注射しましたが、自覚症状は著しく改善し、発作の程度は軽くなり、発作の回数も明らかに減少し、ピークフローも20L/min以上改善し、1秒率も改善、そして、ステロイドの内服、ステロイドの点滴も明らかに減少し、患者さんも喜んでおられます。ゾレアは16週後に継続するかどうか判定しますが、この患者さんの場合は明らかに効果があり患者さんも続けることを希望され、引き続き注射することになりました。
当院では、現在まで難治性喘息の患者さん3名にゾレアを注射していますが、最近開始したばかりの患者さんでも著しい症状の改善が見られ、ゾレアはあらゆる治療をしても良くならない重症難治性喘息の治療に期待が持たれると思われました。とくに、症状のの改善が著しいようです。
医療費が高額ということがネックになりますが、色々治療してもなかなか良くならず、ステロイドの内服や点滴を必要とするなどお困りの患者さんではおすすめしたいと思います。(2010.11.18)

 246. アズマネックス200が新発売
昨年9月に発売された吸入ステロイド薬のアズマネックスツイストへラー(モメタゾンフランカルポン酸エステル:MSD発売)は100μg製剤(アズマネックス100)のみでしたが、今回、200μg製剤(アズマネックス200)が10月22日に発売されました。
従来の100製剤においては、低用量:1回1吸入1日2回、中用量:1回2吸入1日2回、高用量:1回4吸入1日2回で使用しなければなりませんでしたが、200製剤の発売により中用量:1回1吸入1日2回、高用量:1回2吸入1日2回と中用量、高用量では
1回の吸入回数が少なくてすむようになりました。
1回の吸入回数が少ないことは便利なことで、長期投与が可能になったこととともに患者さんにとっての意義は大きいと思います。
アズマネックスは抗炎症作用が強力で、平均粒子径が2.0μmとドライパウダー製剤では最も小さく、中枢気道のみならず末梢気道にも作用すると考えられ、しかも、吸入操作が簡単で、カウンターが見やすく、使用回数がゼロになるとキャップがあかないロックアウト機能があるなどの優れた特徴を持っております。アズマネックスは長期投与が可能になり、200μg製剤も発売され、使用しやすくなったというわけです。(2010.10.22)

 245. アズマネックスの長期投与が可能に
昨年9月に発売された吸入ステロイド薬のアズマネックス(モメタゾンフランカルポン酸エステル:MSD発売)が今年10月1日から長期投与が可能になりました。アズマネックスは抗炎症作用が強力で、平均粒子径が2.0μmとドライパウダー製剤では最も小さく、中枢気道のみならず末梢気道にも作用すると考えられ、しかも、吸入操作が簡単で、カウンターが見やすく、使用回数がゼロになるとキャップがあかないロックアウト機能があるなどの優れた特徴を持っております。
軽症喘息では吸入ステロイド単独でコントロールできることが多く、アズマネックスが長期投与できることになった意義は非常に大きいと思います。
現在、アズマネックスは1回用量が100μg製剤しかありませんが、近々に
200μg製剤が発売されるようです。200μg製剤が発売されれば吸入回数の点で患者さんにはメリットがあると思われます(2010.10.3)
MSDは旧万有製薬と旧シェリング・プラウが合併した会社の名称です。

 244. エアゾール製剤(pMDI)を使用した理由
吸入ステロイド薬の使用にあたって、当院では簡便で残量がわかりやすいドライパウダー製剤(DPI)を第一選択として使用している。しかし、吸気流速低下(吸う力が弱い)している患者さん、嗄声、口腔カンジダ症など局所敵副作用が出現する患者さん、DPIで治療効果が不十分で末梢気道炎症を考慮したない患者さんでエアゾール製剤(pMDI)を使用しています。
今回、当院においてはどの程度の患者さんでpMDIを使用しているか、またどのような理由でpMDIを使用したかを、小児、成人、高齢者に分けて調査しました。
DPIとpMDIの使用率を年齢別にみると下の図に示すようになっており、平均するとpMDIの使用率は小児31%、成人13%、高齢者30%で、小児と高齢者では成人に比較して使用率が高くなっています。とくに、80歳以上では56%と高くなっています。使用理由は、小児では吸気流速低下が25%と多くなっています。これは5才以下の乳幼児は吸う力が弱く、ほとんどpMDIを使用する必要があることに起因しています。成人では治療効果を期待して(末梢気道炎症を考慮して超微粒子pMDIを使用)が10.7%でしたが、吸気流速の低下している患者さんは少なく1.6%、局所敵副作用は4.0%でした。一方、高齢者では治療効果11.5%、吸気流速は8.2%、局所敵副作用17.9%という結果でした。
この結果から
小児では吸気流速低下でpMDIの使用する必要があった患者さんがある程度を占め、成人では治療効果でpMDIの使用する必要があった患者さんがある程度あり、高齢者では治療効果でpMDIの使用する必要があった患者さんがある程度あり、吸気流速、、局所敵副作用でpMDIの使用する必要があった患者さんがかなりあったことがわかると思います。
したがって、吸入ステロイド薬の選択に当たってはこのようにpMDIを使用する必要がある患者さんが一部にあることを常に考慮する必要があると考えます。

以上、吸入ステロイド薬の使用に当たっては、(1)吸気流速低下(吸う力が弱い)、(2)嗄声、口腔カンジダ症など局所敵副作用、(3)治療効果が不十分、の場合、pMDIを使用する必要があると考えられ、以上の3点をチェックする必要があると思います。(2010.8.22)



 243. シムビコートは長期管理薬として使用
今年1月に発売された吸入ステロイド薬(パルミコート)と長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール)の合剤シムビコートは、ホルモテロールの効果高価発現時間が迅速で効果持続時間が長いのが特徴です。したがって、発作治療薬としても長期管理薬としても効果を発揮しますが、現在のところ、わが国では発作治療薬として使用できない(適応外)ことになっています。
シムビコートの使用方法として、海外では
維持および発作治療投与(SMART)が一部の国で認められていますが、わが国でSMARTは認められていません(適応外)。したがって、効果は発作の時使用する短時間作用性β2刺激薬と同様の効果を示しますが、あくまで長期管理薬として使用し、発作時には使用しないことになっています。
当院では1名の患者さんについて、シムビコートを2吸入行った場合とサルタノールを2吸入行った場合のピークフロー値の変化を比較してみましたが、シムビコートはサルタノリールと同様に吸入直後より急峻にピークフローが上昇していました。したがって、サルタノールと同様の効果があると考えられましたが、この調査はシムビコートに即効性があるかどうかを調べるために行ったもので、実際には、当院では発作治療薬としては使用していません。
いずれ、わが国でもSMARTが認められるのではないかと考えますが、現在のところ、
発作治療薬として使ってはいけないことになっていますのでご注意ください。シムビコートは朝・夕2回の固定用量投与(FD)するのが原則となっておりますが、その延長上で、症状によって用量調節投与(AMD)することは問題なしと思います。(2010.8.8)


 242. 2009年の喘息死亡者数は前年より減少!
2009年の喘息死亡者数(全年齢)は2,137人(人口10万人対1.7人)となり、過去最低であった前年の2008年より211人減少し、さらに過去最低を更新しました。
2001年:4,014人2002年:3,771人、2003年:3,701人、2004年:3,283人、2005年3,198人、2006年:2,788人、2007年:2,540人、2008年:2,347人、2009年:2,137人と年々わずかづつですが減少しています。いまのところ2,000人を切ることが目標になりますが、そのためには、
喘息死亡者数の90%を占める60歳以上の高齢者喘息をどのように克服していくかが課題となります。その対応としては、合剤を含めた吸入ステロイド薬を中心とした薬物療法の徹底と服薬アドヒアランスの向上、インフルエンザワクチンの接種などの感染症対策、禁煙対策、地域ごとの救急体勢の確立や病診連携などが重要になると思います。
(2010.7.31)

 241. ドーズカウンター無しのメプチンエアーは販売中止に!

発作の時に使用する短時間作用性β2刺激薬メプチンエアー、メプチンキッドエアーにドーズカウンターがついたことは以前に掲載しましたが、今まで使われてきたカウンター無しのメプチンエアーは2010年11月末日で販売を中止する予定だそうです。以後は、ドーズカウンター付のメプチンエアー、メプチンキッドエアーを使用することになりますが、販売名の変更がややこしくなっていますので紹介しておきます。ドーズカウンター無しのメプチンエアーは「メプチンエアー10μg」として2011年3月末日(予定)まで使用でき、その間、ドーズカウンター付のメプチンエアーは「メプチン10μgエアー100吸入」という販売名になりますが、その後、「メプチンエアー10μg吸入100回」という販売名になります。
また、ドーズカウンター付のメプチンエアーでは、吸入口などから砂などが入り、カウンター部に付着すると、カウンターが回らなくなることがあるそうで、
「吸入時以外は、吸入口にキャップを付け、携帯袋に入れて保管」することがすすめられます。(2010.7.28)


 240. パルミコートタービュヘイラーが小児適応

吸入ステロイド薬のパルミコートタービュヘイラーが小児適応になりましたり。今までパルミコートタービュヘイラーは成人のみの適応でしたが、今回、小児(5歳以上)にも適応が拡大されました。5歳未満ではパルミコート吸入液が使用できますから、パルミコートは乳幼児から成人までのすべての年齢層に使用できるようになったことになります
小児でのパルミコートタービュヘイラーの用法用量は、通常、
1回100〜200μgを1日2回吸入投与します。なお、症状に応じて増減しますが、1日の最高量は800μgまでとなっております。また、良好にコントロールされている場合は100μgを1日1回まで減量できるとなっています。
パルミコートタービュヘイラーには、パルミコート100μgタービュヘイラー112吸入、パルミコート200μgタービュヘイラー56吸入、パルミコート200μgタービュヘイラー112吸入があります。
これにより小児適応のある吸入ステロイド薬はフルタイドロタディスク、フルタイドディスカス、フルタイドエアゾー、アドエアディスカス(合剤)、アドエアエアゾール(合剤)、キュバール、パルミコート吸入液、パルミコートタービュヘイラーと、
小児喘息治療における吸入ステロイド薬の選択肢が増え、その意義は大きいのではないかと考えられます。(2010.7.26)


 239. シムビコートの使用印象(第二報)

吸入ステロイド薬(パルミコート)と長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール)の合剤シムビコートが発売されて6ヶ月が経過します。当院ではすでに300名ほどの患者さんに使用していますが患者さんにはなかなか好評です。患者さんが感じる最も大きな点は、以前に使用していた吸入薬よりも症状が改善するという点です。シムビコートは患者さんが効果を実感できるという意味で大変有用と思われました。動悸、手のふるえなどのβ2刺激薬による副作用も、当初予想していたよりも少なく、動悸、手のふるえなどが少ないアドエアディスカスとほぼ同じで、用量依存性もないように感じました。すでに6か月使用している患者さんもありますが、継続使用による長期の安定感もあるようです。シムビコートの登場により喘息治療の選択肢が増え、喘息のコントロールもさらに良くなったことを私自身は実感しています。
シムビコートはアドエアディスカスに比較して
粒子径が小さく、中枢気道のみならず末梢気道にもより作用すると考えられ、アドエアディスカスでコントロール不良なときは、一度使ってみるとよい薬だと思います。
しいて欠点をあげれば、「最初に使うとき事前準備が必要」、「カウンターが見にくい」、「吸った感じがしない」、「長期投与ができない」、「高用量では高価」という点です。現在までの使用経験から、シムビコートは治療効果的にも、安全性の面においても非常に優れた薬剤であると考えています。(2010.7.14)


 238. アドエアでコントロール不良の場合の対応は?

吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の合剤であるアドエアディスカスが非常に多く使用されるようになりました。アドエアですべての患者さんでコントロール良好になれば良いのですが、実際にはアドエアディスカスを使用してもコントロールできない患者さんは3割前後あるのではないかと思います。そうした患者さんにどのように対応するかは大変重要なことになります。
うまく吸えていないために効果がないと思われる場合はアドエアディスカスをアドエアエアゾールまたはエアゾール製剤の吸入ステロイド薬に変更(後者の場合、セレベントまたはホクナリンテープなどを併用します)すると良いと思います。うまく吸えているにもかかわらずコントロール不十分な場合は、まず他の吸入ステロイドに薬に変更してみることが大切だと思います。その場合、まずシムビコートを使ってみるのも一つの方法ですし、アズマネックス、キュバール、オルベスコなど他の吸入ステロイド薬をに変更するのも一つの方法です(この場合、セレベントまたはホクナリンテープなどを併用します)また、アドエアを増量するという方法もありますが、増量よりも変更の方が効果的だと私は考えています。
吸入ステロイド薬の効果には個人差
がありますので、一つの吸入ステロイド薬で効果不十分な場合は、さらに他の吸入ステロイド薬に変更してみるというようにしますと、9割近くの患者さんでコントロール良好になるのではないかと思います。アズマネックス(2.0um)、キュバール(1.1um)、オルベスコ(1.1um)は、アドエア(4.4um)に比較して粒子径が小さく、中枢気道のみならず末梢気道にも作用するとされており、末梢気道炎症が強いと考えられる患者さんでは非常に効果がある場合があります。また、保険適応にはなっていませんが、重症でアドエア高用量を使用してもコントロールが不良な場合は、アドエア高用量+キュバールまたはオルベスコの超微粒子にすると症状が改善する場合があります。
アドエアは簡単、便利、残量が分かりやすい、臭い味が良い、安定した効果を発揮する、シンプルな治療ができる、早期に治療効果が発揮されるなどの点で有用な薬剤であり、私自身も非常に多くの患者さんで使用していますが、アドエアディスカスを使用していればすべての患者さんで良くなるということはないということを考えておく必要があります。そして、そうした場合の対応をすることが、よりコントロールを良好にすると考えています。
コントロール不良な場合、吸入ステロイド薬以外の
他の喘息治療薬を追加併用するよりも、まず、吸入ステロイド薬を変更することが最も重要と私は考えています。そのためには複数の吸入ステロイド薬を備えておくことが重要だと思います。(2010.4.28)


 237. 吸入ステロイド薬合剤のラインナップ

吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の合剤は、2007年6月にアドエアディスカス、2009年4月にアドエア50エアゾール、2010年1月にシムビコート、2010年4月にアドエア125エアゾールおよびアドエア250エアゾールと発売されました。これで、大別するとアドエア、シムビコートの2剤ですが、用量別、使用回数別に種類があり、用量別では7種類、吸入回数別では11種類の剤型がそろいました。
これにより、患者さんの状況によって合剤の選択肢や使い分けがさらに広がった意義は大きいと思います。以下に合剤のラインナップをまとめました。

分類 商品名 1日の用法
    容量
用量 フルチカゾンまたはブデソニドの容量 サルメテロールまたはホルモテロールの容量 長期
投与
DPI アドエア100ディスカス 1吸入×2回 低用量 100μg 50μg
アドエア250ディスカス 1吸入×2回 中用量 250μg 50μg
アドエア500ディスカス 1吸入×2回 高用量 500μg 50μg
シムビコート 1吸入×2回 低用量 160μg 4.5μg 不可
2吸入×2回 中用量
4吸入×2回 高用量
pMDI アドエア 50エアゾール 2吸入×2回 低用量 50μg 25μg
アドエア125エアゾール 2吸入×2回 中用量 125μg 25μg
アドエア250エアゾール 2吸入×2回 高用量 250μg 25μg

喘息治療における合剤の登場は、
より優れた治療効果が得られる、治療がシンプルになる、早期に治療効果が得られるなどのメリットがあり、その意義は非常に大きいと思われます。
ちなみに、未確認情報ではありますが、今後、吸入ステロイド薬・フルチカゾン(フルタイド)と長時間作用性β
2刺激薬・ホルモテロールの合剤、吸入ステロイド薬・モメタゾン(アズマネックス)と長時間作用性β2刺激薬・ホルモテロールの合剤が発売されるようです。(2010.4.28)

 236. アドエア125エアゾール、アドエア250エアゾールが新発売

本日、アドエア125エアゾールおよびアドエア250エアゾールが発売されました。
アドエアのエアゾール製剤はアドエア50エアゾールとして昨年4月
に発売されていますが、今回、125μgと250μgの2製剤が発売されました。
アドエアのドライパウダー製剤は2007年6月にアドエアディスカスとして100、250、500の3製剤が発売されましたが、エアゾール製剤はアドエア50エアゾールーしかありませんでしたので、含まれているサルメテロール(=セレベント)の用量(1噴霧25μg)の関係から
低用量(成人)しか使用できませんでした
アドエア50エアーゾール1回2吸入・1日2回はアドエア100ディスカス1回1吸入・1日2回と同じ量(低用量)になりますが、今回、125製剤、250製剤が発売されたことにより、
中用量(1日量500μg)、高用量(1日量1000μg)でも使用できるようになりました。これによりアドエアは低用量から高用量までドライパウダー製剤でもエアゾール製剤でも使用できるようになりました。
以下、アドエアディスカスをアドエアエアーゾルで使用した場合の1日用量を記載します。

  アドエア100ディスカス1吸入×2回=アドエア
  50エアゾール2吸入×2回 (低用量)
  アドエア250ディスカス1吸入×2回=アドエア 125エアゾール2吸入×2回 (中用量)
  アドエア500ディスカス1吸入×2回=アドエア 250エアゾール2吸入×2回 (高用量)

今回の
125μg製剤と250μg製剤の発売により低用量しか使用できなかったアドエアのエアゾール製剤が低用量から高用量まで使用できることになったわけですが、エアゾール製剤は吸気流速が低い(吸う力が弱い)などドライパウダー製剤がうまく吸えない人ドライパウダー製剤で局所的副作用(嗄声など)が出現する人にとって有用で、今回の発売により低用量から高用量までアドエアのエアゾールが使用できるようになったことは、選択肢および対応がさらに広がり、大変意義深いと思います。
また、エアゾール製剤の吸入ステロイド薬と他の喘息治療薬を併用していた患者さんでは、アドエアエアゾール1剤でシンプルな治療が実現できる可能性もあり、服薬アドヒアランスという面でも期待されます。
なお、アドエアディスカス250(1吸入×2回)は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の適応になっていますが、今回発売されたアドエア125エアーも(2吸入×2回))慢性閉塞性肺疾患(COPD)の適応にもなっています。(2010.4.23)

アドエアエアゾール50、125、250はいずれも長期投与可能です。
(左) アドエア50エアゾール
(中) アドエア125エアゾール
(新発売)
(右) アドエア250エアゾール
(新発売)

容器の色はアドエアのカラーである紫色が用量が増えるにしたがって濃くなっています。
いずれも、1缶の保証噴射回数は120回で、本体の背面に残量を示すカウンターがつけられています。

なお、アドエアエアゾールは50、125、250はいずれも長期投与可能です。

アドエアの製剤ラインアップ

フルチカゾン
容量
サルメテロール
容量
1日用法・用量
アドエア 100ディスカス 100μg 50μg 1回1吸入×2回 低用量
アドエア 250ディスカス 250μg 50μg 1回1吸入×2回 中用量
アドエア 500ディスカス 500μg 50μg 1回1吸入×2回 高用量
アドエア 50エアゾール 50μg 25μg 1回2吸入×2回 低用量
アドエア 125エアゾール 125μg 25μg 1回2吸入×2回 中用量
アドエア 250エアゾール 250μg 25μg 1回2吸入×2回 高用量


 235. シムビコートの使用印象(第一報)

吸入ステロイド薬(パルミコート)と長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール)の合剤シムビコートが発売されて1ヶ月が経過します。当院ではすでに130名ほどの患者さんに使用し、42名の患者さんでピークフロー値の変化や使用印象などを調査させてもらいましたので、第一報という形でその結果を記載します。
調査した患者さんはすべて、シムビコートへの変更前に合剤のアドエアまたは吸入ステロイド薬+長時間作用性β
2刺激薬(セレベント)を使用していましたが、現在のところの印象としては「予想以上に良かった」という結果でした。
シムビコート(朝・夜の1日2回吸入)に変更して
症状が改善したという患者さんは52%ありましたし(変わらない36%、悪化12%)、平均ピークフロー値も2週間後に朝13.5L/分、夜19.1L/分と上昇していました。「前使用薬とシムビコートではどちらが良いですか」と尋ねたところ、52%がシムビコートが良いと答えられています(前使用薬が良い36%、どちらでもない12%)。その理由としては「症状が改善したから」「即効性があるから」という患者さんが多くありました。
また、一部の患者さんでシムビコート吸入前と吸入直後のピークフローを測定してもらいましたが、吸入直後(1分後、3分後、5分後)に明らかな上昇がみられ、
シムビコートの即効性が認められました。この即効性が短時間作用性β2刺激薬(サルタノール、メプチンなど)と同等なのかは不明ですが、海外のデータにサルタノールと同等の効果という報告があります。そこで、同一の患者さんで非発作時にシムビコート2吸入した場合とサルタノール2吸入した場合を測定してみましたが、吸入直後のピークフロー値はほぼ同じ(ピークフロー値はシムビコートの方がわずかに高かった)という結果でした。現時点ではシムビコートの即効性はサルタノールと同等の効果と考えられましたが、この点については今後確認していきたいと思っています。
今のところ朝・夜のみの使用ですからこのような結果になっていますが、朝・夜のみ以外に要時使用すればもっと効果があるのではないかと考えています。現在、わが国では朝・夕のみの固定使用(FD)しか認められておらず、要時使用(SMART)は認められていませんので、今後に期待したいと考えています。
以上のようにシムビコートはかなりの患者さんで好評でしたが、残量カウンターについては「わかりにくい」という患者さんが多く、長期投与できない(発売後1年間は不可)こと、1回の吸入回数が増えたことなどがやや不評でした。
もっと多くの患者さんで検討しないとはっきりしたことは言えませんが、現時点で
シムビコートに好印象を持つとともに、治療の選択肢がさらに増えたことで医師にもとっても患者さんにとっても大いに意義があるのではないかと感じています。今後、アドエアとシムビコートの使い分けについても検討できればと思っています。
32年前から吸入ステロイド薬を使用していますが、ここ数年でアドエア、オルベスコ、アズマネックス、シムビコートと優れた吸入ステロイド薬および合剤が発売され、喘息のコントロールはさらに良くなり、ベクロメタゾン(アルデシン、ペコタイド)しかなかった時代(1978-1997年)とは隔世の感があります。(2010.2.11)(2010.2.17追加訂正)


 234. シムビコート本日発売

本日、吸入ステロイド薬(パルミコート)と長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール)の合剤シムビコートアストラゼネカおよびアステラス製薬から発売されました。吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の合剤はすでにアドエアが発売されていますが、2番目の合剤としてシムビコートが登場しました。詳細は当院ホームページ吸入ステロイド薬(アドエア、シムビコート)をご参照ください。
これにより、吸入ステロイド薬は合剤および吸入液を含めると11種類になり、喘息治療の選択肢はさらに広がることになります。本日より当院でも使用しますが、アドエアとはどのような違いがあるか、治療効果どうなのかということについて、実際に使用して確かめたいと思っています。できれば、どのような患者さんはシムビコートが良いか、どのような患者さんはアドエアが良いかということを見極めたいと思っています。
いずれにしても、合剤に新たな選択肢ができた意味は、患者さんにとっても医師にとっても大きいのではないかと思います。(2010.1.13)


 233. 喘息とアレルギー性鼻炎

喘息の患者さんではアレルギー性鼻炎を合併している方が非常に多いです。
鼻・副鼻腔を含む上気道から気管支を中心とする下気道は関連性を持ち、互いに影響し合うことから
”one airway one disease”という概念が提唱されています。
欧米ではp喘息におけるアレルギー性鼻炎の合併率は75%、60〜78%と高頻度で、アレルギー性鼻炎の20〜40%が喘息を合併すると報告されています。
わが国では
喘息にアレルギー性鼻炎が合併する頻度は、小児で50%前後、成人では44〜78%と報告されています。また、アレルギー性鼻炎に喘息を合併する頻度は小児では15.3%、成人では7.1%と報告されています。
当院で20年以上吸入ステロイド薬を使用し続けている患者さん46名について調査した際にアレルギー性鼻炎の合併率も見てみましたが、80.4%でアレルギー性鼻炎の合併がありました。ちなみに、副鼻腔炎の合併率は19.6%でした。
このように、喘息にアレルギー性鼻炎を合併するケースは多く、経過中に一方が軽快すると他方が増悪するというように症状の程度が交代する場合(交代現象)が良くありますが、両方同時に改善・増悪する場合もあります。喘息でアレルギー性鼻炎が合併している場合には喘息の治療のみならず、局所ステロイド点鼻薬やロイコトリエン受容体拮抗薬などアレルギー性鼻炎の治療をも適切に行います。(2009.12.19)


 232. すべての吸入器にカウンターを!

今年発売された吸入ステロイド薬アズマネックス吸入ステロイド薬合剤アドエアエアーにはいずれも残量を数字で示すカウンターが付いていますし、来年発売予定のシムビコートにもカウンターが付いています。また、短時間作用性吸入β2刺激薬のメプチンエアーもカウンター付きが発売されました。
2002年に発売された
フルタイドディスカス、2007年に発売されたアドエアディスカス、そしてメプチンクリックヘラーもカウンター付になっています。カウンターの有無を下に一覧しました。●がカウンター付きです。

吸入ステロイド薬
 A.ドライパウダー製剤(DPI)
     フルタイドロタディスク
(カウンターは必要なし)
   ●フルタイドディスカス
   ●アドエアディスカス
   ●アズマネックス
     パルミコート
(終了お知らせ小窓あり:ややわかりにくい)
   ●シムビコート
 B.エアゾール製剤(pMDI)
     フルタイドエアー
(わからない)
     キュバール
(残量計あり:目安になるが正確にはわからない)
     オルベスコ
(残量計あり)
    ●アドエアエアー
短時間作用性吸入β
2刺激薬
 A.ドライパウダー製剤(DPI)
    ●メプチンクリックヘラー
 B.エアゾール製剤(pMDI)
      サルタノールインヘラー(わからない)
      ベロテックエロゾル(わからない)
    ●メプチンエアー

多くの吸入薬でカウンターが付くようになりましたが、ここで、現在発売されているか発売予定のカウンター付吸入器のカウンターの見やすさについて採点してみました。(あくまでも私の主観です)メプチンエアー(カウンター付)は見やすく95点、 フルタイドディスカス、アドエアディスカスは少し字が小さいので90点、アズマネックスは字は大きいですが数字をタテに読むのがやや難点で85点、アドエアエアーは字が小さくバックが黒に白数字で読みにくいので75点、シムビコートは1回1回の数字が表示されないので70点という点数になります。ちなみに、パルミコートは50点、カウンターが付いていないフルタイドエアー、キュバール、オルベスコ、サルタノールインヘラー、ベロテックエロゾルは20点というところです。
吸入器にカウンターが付いていると残量が確認できますが、カウンターが付いていないと残量は確認できません。そして、今ではカウンターが付いていない吸入器は患者さんに不親切、時代遅れになりつつあります。
現在、カウンターが付いていないのは、吸入ステロイド薬ではパルミコート(終了を知らせる小窓あり)、フルタイドエアー、キュバール、オルベスコ、短時間作用性吸入β
2刺激薬ではサルタノールインヘラー、アイロミール、ベロテックエロゾルなどですが、当院では吸入器を選択するにあたっては、最初に簡便さとともにカウンター付きであるかどうかを重視しています。
患者さんのためにすべての吸入器がカウンター付になることを望んでいます。私自身は、
カウンターなしの吸入器はいずれ淘汰されると考えています。(2009.12.13)


  喘息最新情報251〜

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