喘息治療薬




喘息の治療薬には多くのものがありますが、自分がどんな薬を使用しているのか知っておくことは大切です

喘息治療薬の分類

喘息治療薬は使う目的によって長期管理薬(喘息をコントロールする薬)と発作治療(発作の治療に使う薬)にわけられます。
また、薬の作用によって
気管支拡張薬(気管支を拡げる薬)と抗炎症薬(気道の炎症をおさえる薬)に分けられます。

長期管理薬
喘息をコントロールする薬
発作治療薬
発作の治療に使う薬
1. ステロイド薬(ICS)
  1)
吸入ステロイド薬
    a. ベクロメタゾン (BDP)
    b. フルチカゾン (FP)
    c. ブデソニド (BUD)
    d. シクレソニド(CIC)
    e. モメタゾン(MF)
    f. ICS/LABA配合剤
       ・フルチカゾン/サルメテロール
      ・ブデソニド/ホルモテロール

    
   ・フルチカゾン/ホルモテロール
      ・フルチカゾンフランカルボン酸
       エステル/ビランテロール
  2) 経口ステロイド薬
2. 長時間作用性β
2刺激薬(LABA)
    1) 吸入 (吸入LABA)
    2) 貼付 (貼付LABA)
    3) 経口 (経口LABA)
3. 長時間作用性吸入抗コリン薬(LAMA)
4. ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
5. テオフィリン徐放製剤(SRT)
6. LTRA以外の抗アレルギー薬
    a. メディエーター遊離抑制薬
    b. ヒスタミンH
1-拮抗薬
    c. トロンボキサンA
2阻害薬
    d. Th
2サイトカイン阻害薬
7. 抗IgE抗体
1. 短時間作用性吸入β2刺激薬
      (吸入SABA)
2. ステロイド薬
  1) 経口ステロイド薬
  2) 静注ステロイド薬
3. その他
  1) 短時間作用性経口β
2刺激薬
  2) 短時間作用性テオフィリン薬
  3) 短時間作用性吸入抗コリン薬
  4) エピネフリン皮下注射
  5) アミノフィリン点滴静注


喘息治療のポイントは、吸入ステロイド薬を中心とした長期管理薬をいかに上手に使いこなして喘息をコントロールするかということにあると思います!
「発作を止める」のではなく「発作を出さない」方向へ!




気管支拡張薬

         
                発作治療薬  長期管理薬
薬剤名 投与
経路
分類 製品名
副作用
β2刺激薬 経口 短時間作用性 ベネトリン
ブリカニール
ベロテックなど
動悸
不整脈
手のふるえ
筋肉のツレ
(=筋痙攣)
めまい
頭痛
興奮
不眠
低K血症
過敏症状
悪心など
長時間作用性 メプチン
スピロペント
ホクナリン、べラチン
ブロンコリン
アトックなど
貼付 長時間作用性 ホクナリンテープなど
吸入 短時間作用性 サルタノールインヘラー
アイロミール
メプチンエアー
メプチンキッドエアー
メプチンスイングヘラ―
ベロテックエロゾル

ベネトリン吸入液
メプチン吸入液など
長時間作用性 セレベント
注射 短時間作用性 ボスミンなど
テオフィリン薬 経口 短時間作用性 ネオフィリンなど 胃腸障害
動悸
不整脈
過敏症状
頭痛
興奮
不眠
けいれん
など
徐放製剤 テオドール
テオロング
スロービット
テオスロー
ユニフィルな
坐薬 短時間作用性 アルビナ坐薬
アストモリジン坐薬など
注射 短時間作用性 ネオフィリン注など
抗コリン薬 吸入 短時間作用性 アトロベント
テルシガン
頭痛
胃腸症状
口渇
ときに動悸・
手のふるえ
など
長時間作用性 スピリーバレスピマット

気管支拡張薬はβ2刺激薬、テオフィリン薬、抗コリン薬の三つに大別され、短時間作用性のものと長時間作用性のものがあります。短時間作用性のものは発作治療薬として、長時間作用性のもは長期管理薬として使用します。
短時間作用性の気管支拡張薬のうち、短時間作用性吸入β2刺激薬(SABA)は発作のときに使用します。内服薬は短時間作用性でも効果が現れるのに30分〜1時間かかりますが、吸入SABAはすぐに(1〜3分)効果が現れます。そのため、発作時の治療の中心的薬剤として使用されます。ただし、軽度の発作までの対応で、ひどいときはネオフィリンの点滴やステロイド注射薬などを使用します。
長時間作用性β2刺激薬、あるい徐放性(テオフィリン徐放製剤)の気管支拡張薬は喘息のコントロールに使用します。長時間作用性の経口あるいは貼付のβ2刺激薬やテオフィリン徐放製剤は、服用あるいは貼付して数時間後しか効果は現れません。ただし、吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤でであるアドエア、レルベアは約15分、シムビコート、フルティフォームは1分で長時間作用性吸入β2刺激薬の効果が発現します。
短時間作用性の抗コリン薬は短時間作用性β2刺激薬で動悸、手のふるえなどの副作用が出現した場合に使用します。また、高齢者やCOPDを合併している患者さんに使用します。長時間作用性の抗コリン薬スピリーバレスピマットは治療ステップ3および治療ステップ4において併用が認められています。

おもな気管支拡張薬

テオドール 50・100・200
テオフィリン徐放製剤
テオロング 50・100・200
テオフィリン徐放製剤
ユニフィル100・200・400
テオフィリン徐放製剤
メプチン錠
長時間作用性経口β2刺激薬
スピロペント錠
長時間作用性経口β2刺激薬
ホクナリンテープ
長時間作用性
貼付β2刺激薬
長時間作用性吸入β2刺激薬と吸入ステロイド薬の配合剤(アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベア)は気管支拡張薬としての効果も発揮します。
セレベントディスカス
長時間作用性
吸入β2刺激薬
セレベントロタディスク
長時間作用性吸入
β2刺激薬
サルタノールインへラー
短時間作用性
吸入β2刺激薬
アイロミール
短時間作用性
吸入β2刺激薬
べロテックエロゾル100
短時間作用性
吸入β2刺激薬
メプチンエアー
短時間作用性
吸入β2刺激薬
メプチンキッドエアー
短時間作用性吸入
β2刺激薬
メプチンスイングへラー
短時間作用性
吸入β2刺激薬
メプチン吸入液
短時間作用性
吸入β2刺激薬
べネトリン吸入液
短時間作用性
吸入β2刺激薬
アトロベント
短時間作用性抗コリン薬
テルシガン
短時間作用性抗コリン薬
スピリーバレスピマット
長時間作用性抗コリン薬
写真はよく使われる気管支拡張薬ですが、長期管理薬発作治療薬かを知っておくことが大切です。
気管支拡張薬は収縮した気管支を拡張させるための薬です。気管支の収縮は気道の炎症によって引き起こされているため、吸入ステロイド薬を中心にした抗炎症薬による治療が大切です。
長期管理薬
喘息をコントロールする薬です。
発作治療薬は発作の治療に使う薬です。
喘息予防・管理ガイドライン2015から、ステップ3,4でスピリーバレスピマットの併用が追加されました。現在のところ、何種類かある長時間作用性抗コリン薬の中でスピリーバレスピマットだけが記載されています。


ジェネリック製品一覧


最近は多くの医療機関でジェネリック製品が使われるようになってきました。ジェネリック製品が非常に多いため何の薬かわからないことがあると思いますので、主な薬剤のジェネリック製品を一覧にしました。
ジェネリック製品は先発品と同成分の薬剤です。作用はまったく同じで、価格は先発品より安価になっています。

                      気管支拡張薬
分類 先発品 ジェネリック (後発品)
 短時間作用性
 経口β
2刺激薬
べネトリン
アス・タージス、チボリン、べナリン、レナピリン、ベナリール
ブリカニール コンボン
ベロテック ポルボノール、エミテックス、シオべテック、モンブルトン、ウガコール
イノリン カルヨン、トスメリアン、タイソキノール、べべロン
アロテック なし
 長時間作用性
 経口β
2刺激薬
メプチン スタビント、エプカロール、カプテレノール、ブリージン、プロカプチン、メチレフト、レンプリス、ザネロ、ロワイヤル、エステルチン、アストブロチン、エステルチン、カテプチン
スピロペント アルバプロール、トニール
ホクナリン
ベラチン
セキナリン、ツロブリン
ブロンコリン なし
アトック なし
 長時間作用性
 貼付β
2刺激薬
ホクナリンテープ セキナリンテープ、ツロブテロール「EMEC」、ツロブテロール「QQ」、ツロブテロール「サワイ」、ツロブテロール「日医工」、ツロブテンテープ、ツロブニストテープ
 短時間作用性
 吸入β
2刺激薬
サルタノール
アイロミール
ベネトリン吸入液
なし
なし
なし
メプチン メチレーヌ、ブリージン
ベロテック なし
アスプール液 なし
アロテック吸入液 なし
 長時間作用性
 吸入β
2刺激薬
セレベント なし
短時間作用性
 吸入抗コリン薬
アトロペント
テルシガン
なし
長時間作用性
 吸入抗コリン薬
スピリーバレスピマット なし
 短時間作用性
 テオフィリン薬
ネオフィリン アミノフィリン
 テオフィリン
 徐放製剤
テオドール
テオロング
スロービット
アーデフィリン、セキロイド、チルミン、テオスロー、テオフルマート、テルダン、フレムフィリン、テルバンス
ユニフィル
ユニコン
テオスローL、テオフルマートL、テルダンL

● 小児における徐放性テオフィリン製剤の使用について

テオドール、テオロングなどの徐放性テオフィリン製剤は、2011月10月に発表された「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012」で、2歳未満では治療ステップ4のみで追加治療として考慮、2-5歳では治療ステップ3で追加治療として考慮、治療ステップ4では併用も可ということで基本治療に入っています。6-15歳では治療ステップ2で追加治療として考慮、治療ステップ3で追加治療、治療ステップ4では併用も可ということで基本的治療に入っています。

なお、徐放性テオフィリン製剤の添付文書では、重大な副作用として、以下の8項目が記載されています。(1)痙攣、意識障害、(2)急性脳症、(3)横紋筋融解症、(4)消化管出血、(5)赤芽球労、(6)アナフィラキシーショック、(7)肝機能障害、黄疸、(8)頻呼吸、高血糖症

乳幼児における徐放性テオフィリン製剤の使用は慎重投与(6ヶ月未満の児に原則として使用対象にならない)ということになりますが、特に発熱があるときや、けいれん性疾患のある児には使用しない方が良い、または、臨床症状等の観察や血中濃度のモニタリングを行うなど慎重に投与するべきであることが強調されています。したがって、乳幼児におけるテオフィリン徐放製剤の位置付けは著しく後退し、私自身は、「乳幼児で徐放性テオフィリン製剤はなるべく使わないほうが良い(とくに発熱しているとき、けいれんの既往の場合は使わない方が良い)。使う場合でも血中濃度のモニタリングを行って慎重な投与が求められる」というニュアンスでとらえております。これにより、今後、乳幼児におけるテオフィリン徐放製剤の使用は制限されることになり、その使用は著しく減少するのではないと思われます。
(2005.11.27記載)


テオフィリンの血中濃度を上げる因子

テオフィリンの血中濃度が上昇すると、テオフィリン製剤による副作用(嘔気、、食欲不振、興奮、不眠など)が出現しやすくなります。したがって、下記のような因子に十分注意してテオフィリンテオフィリン製剤を使用する必要があります。

(A)加齢(50歳以上からクリアランス低下傾向)、極端な肥満
(B)肝障害、心不全、ウイルス感染、発熱などの合併症
(C)薬剤  
1)マクロライド系 :
エリスロマイシン(エリスロシン)、クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
2)ニューキノロン系 :

エノキサシン(フルマーク) 、シプロフロキサシン(シプロキサン)、トスフロキサシン(オゼックス)、ノルフロキサシン(バクシダール)、ピペミド酸三水和物(ドルコール)

3)抗凝固薬 :
ワーファリン、チクロピジン(パナルジン)
4)循環器用薬 :
メキシレチン(メキシチール)、アミオダロン(アンカロン)、ベラパミル(ワソラン)、ジルチアゼパム(ヘルベッサー)
5)ロイコトリエン拮抗薬 :
ザフィルルカスト(アコレート)
6)その他 :
アロプリノール(ザイロリック)、シメチジン(タガメット)、インターフェロンなど



抗炎症薬

                                 発作治療薬  長期管理薬
薬剤名 投与
経路
分類 製品名
副作用
吸入ステロイド薬








吸入薬 ベクロメタゾン キュバール
吸入ステロイド薬の副作用を参照ください!
フルチカゾン フルタイドロタディスク
フルタイドディスカス
フルタイド
エアゾール
ブデソニド パルミコート
パルミコート吸入液
シクレソニド オルベスコ
モメタゾン アズマネックス
吸入ステロイド薬

 長時間作用性
 吸入β
2刺激薬

(配合剤)
吸入薬 フルチカゾン+サルメテロール アドエアディスカス
アドエアエアゾール
ブデソニド+ホルモテロール シムビコート
フルチカゾン+ホルモテロール フルティフォーム
フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール レルペア
全身性
ステロイド薬
内服薬 プレドニゾロン
ベタメタゾン
メチルプレドニゾロン
など
プレドニン
リンデロン
メドロール
セレスタミン
など

感染症の誘発・増悪、糖尿病、胃潰瘍、副腎機能低下、骨粗鬆症、筋萎縮、血圧上昇、満月様顔貌、にきび、多毛症、生理不順、むくみ、体重増加など

詳細は

吸入ステロイド薬の副作用を参照ください!
注射薬 ヒドロコーチゾン
プレドニゾロン

ベタメタゾン
など
ソル・メドロール
ソルコーテフ
サクシゾン
プレドニン
リンデロン
デカドロン
など

抗アレルギー薬 吸入薬 メディエーター
遊離抑制薬
インタール
 (カプセル)
 (吸入液)
 (エアゾル)
咽頭刺激
内服薬 メディエーター
遊離抑制薬
リザベン
ソルファ
ロメット
アレギサール
ペミラストン
など
肝機能障害
胃腸障害
過敏症状
眠気
膀胱炎症状
ほてり
のぼせ
Churg-Strauss
症候群
など




ヒスタミンH1
拮抗薬
ザジテン
アゼプチン
セルテクト
アレジオン
ニポラジン
など
トロンボキサンA2阻害薬 ドメナン
ベガ
トロンボキサンA2拮抗薬 ブロニカ
ロイコトリエン
受容体拮抗薬
オノン
シングレア
キプレス
Th2サイトカイン
阻害薬
アイピーディ
抗IgE抗体 注射薬 オマリズマブ ゾレア 重症難治性喘息


全身性ステロイド薬(内服、注射)はひどい発作のときや著しく不安定な状態が続く重症の喘息で使用します。なお、内服の全身性ステロイド薬は長期管理薬としても、発作治療薬としても使用します。
吸入ステロイド薬は世界的に喘息治療の第一選択薬として位置づけられています。
抗アレルギー薬は以前からわが国で多く使用されていますが、最近では、プランルカスト(オノン)、、モンテルカスト(シングレア、キプレス)ロイコトリエン受容体拮抗薬が、その他の抗アレルギー薬より効果の面ですぐれていることもあり、よく使われています。吸入ステロイド薬を使用していてもコントロールが悪いときに併用すると、症状が改善される場合があります。
なお、ロイコトリエン受容体拮抗薬は6割の人には効果がありますが、4割の人に効果がないといわれています。したがって、効果が見られない場合は中止すべきだと思います。ちなみに、ロイコトリエン受容体拮抗薬の治療効果は、服用して1週間でほとんどわかるといわれております。
なお、ロイコトリエン
受容体拮抗薬以外の抗アレルギー薬はアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などでもよく使われています。また、小児ではインタールなどの抗アレルギー薬を優先して使用する場合も多くあります。
インタールは軽症喘息や運動誘発性喘息に一定の効果を発揮し、副作用もほとんどなく大変良い薬ですが、治療効果が弱いため軽症喘息の一部を除いて、インタールで喘息をコントロールすることはほとんど不可能だと思います。
なお、当院では発作時にネブライザーで
短時間作用型吸入β2刺激薬吸入液(べネトリン吸入液、メプチン吸入液)にインタール吸入液を使用している程度で、長期管理薬としてインタールを使用していません。
吸入ステロイド薬が発売される前の1972〜1978年にかけて、インタールを非常に多くの患者さんに使った経験がありますが、「イマイチ」というのが私の印象でした。
大変まれな病気ではありますが、ロイコトリエン受容体拮抗薬と関連があるかも知れないといわれているChurg-strauss症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)について簡単説明しておきます。

※ Churg-strauss症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)

Churg-strauss症候群(チャ-グ・ストラウス症候群:アレルギー性肉芽腫性血管炎)は先行する気管支喘息(あるいはアレルギー性鼻炎)があって、末梢血液中の好酸球増加を伴う全身血管炎をいいます。
この病気は、
ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、アコレート、シングレア・キプレス)が使用されるようになってからとくに注目されるようになった病気で、ロイコトリエン受容体拮抗薬の使用で引き起こされるのでないかと考えられましたが、ロイコトリエン受容体拮抗薬を使用していない患者さんでも起こることがわかっています。また、ステロイドの減量によって発症するのではないかとも言われていますが、ステロイドを使用していない患者さんでも見られることがあり、今のところ、因果関係は不明というのが現状です。
症状としては
発熱、体重減少、多発性神経炎、消化管出血、紫斑、多関節炎(痛)、筋肉痛などの血管炎による症状が見られ、血液検査で好酸球増加が見られるのが特徴です。
その他、白血球増加、血小板増加、血清IgE増加、肺浸潤影などの所見が見られることがあり、肺炎、心筋障害、消化管障害、腎障害、末梢神経障害(痛みを伴うしびれ、びりびり感などの異常感覚)、皮膚障害などを認めることもあるといわれています。
治療は
ステロイド大量療法となります。最近では治療によってかなり改善されるようになりましたが、一部に不幸な転帰をとる場合もあります。
喘息の患者さんがロイコトリエン受容体拮抗薬を使用しているときに、あるいは、ステロイドを減量しているときに、血液検査で好酸球が20〜30%以上になったらこの病気を疑う必要があります。
なお、Churg-strauss症候群は気管支喘息患者では年間2〜64人/100万人の頻度で発症すると報告されています。ちなみに、この病気はスキー・ジャンプの竹内択選手がなったことで良く知られています。

※ロイコトリエン受容体拮抗薬を使用した症例でChurg-strauss症候群発症の報告は、他の喘息治療薬と比較して多いが、直接的に発症に関与しているかについては結論が出ていない。(喘息予防・管理ガイドライン2009より)




おもな抗炎症薬

フルタイドロタディスク
吸入ステロイド薬
フルタイドディスカス
吸入ステロイド薬
フルタイドエアゾール
吸入ステロイド薬
キュバール
吸入ステロイド薬
パルミコート
吸入ステロイド薬
パルミコート吸入液
:吸入ステロイド薬
オルベスコ
吸入ステロイド薬
アズマネックス
吸入ステロイド薬
アドエアディスカス
配合剤
アドエアエアゾール
配合剤

シムビコート
配合剤
フルティフォーム
配合剤

レルペア
配合剤
インタール吸入液
抗アレルギー薬
オノン
抗アレルギー薬
(ロイコトリエン受容体拮抗薬)
シングレア、キプレス
抗アレルギー薬
(ロイコトリエン受容体拮抗薬)
プレドニン錠
経口ステロイド薬

        配合剤=吸入ステロイド薬+長時間作用性吸入β2刺激薬

抗炎症薬の中心的薬剤は吸入ステロイド薬です。
経口ステロイド薬はひどいときに、長期管理薬としても発作治療薬としても使用します。





                  ジェネリック製品一覧

           吸入ステロイド薬・抗アレルギー薬・ロイコトリエン拮抗薬
分類 先発品 ジェネリック品
吸入ステロイド薬
フルタイド
なし
パルミコート なし
キュバール なし
オルベスコ なし
アズマネックス なし
吸入ステロイド薬
(配合剤)
アドエア なし
シムビコート なし
フルティフォーム なし
レルペア なし
抗アレルギー薬 インタール クリード吸入液、リノジェット吸入液、ステリ・ネブクロモリン吸入液
リザベン アインテール、ガレシロール、セキシード、セシリノール、テイブロック、トピアス、トラニラスト、バリアック、ブレクルス、マゴチラスト、リザモン、リザラスト、リチゲーン、ルミオス
ザジテン フマル酸ケトチフェン、アナチフェン、カタセンタ、キセブレン、クラチフェン、ケトチロン、ケトテン、ザジトマ、ザジフェン、ザトチテン、サラチン、サルジメン、ジキリオン、スプデル、セキトン、チフォミン、デズワルド、フマルフェン、ベナピー、マゴチフェン、メラボン
アゼプチン アストプチン、アゼピット、アゼルーファ、アゼン、アドメッセン、アールミン、塩酸アゼラスチン、コバテクト、シュウビトル、トノリフト、ビフェルチン、ペルスタチン、ヨシノチン、ラスプジン
セルテクト アデコック、アムゼント、オキサトミド、オキロット、スパクリット、セルスミン、セルテス、セルトミド、セルマレン、メクテクト、アトビクト、アレトン、イワトミド、オキサトーワ、ガーランド、セドリプス、セルテス、セルベート、セルマレン、デルトーマ、トーラスタン、ヒシレタン、ペペシン、メクテクト
二ポラジン
ゼスラン
キタゼミン、アリマン、シークロナン、ネオスラント、ハレムニン、ヒスボラン、ベナンザール、メキタジン、メキタゼノン、メキタミン、メキタール
ソルファ なし
ロメット なし
ケタス ピナトス
タザレスト なし
アレギサール
ペミラストン
モナソサール、アルジキサール、タツモール、ペミストメルク
アレジオン アズサレン、アスモット、アプラチン、アルピード、アレゲオン、アレジオテック、アレナピオン、アレルオフ、アレルナシン、エピナジオン、エピナスチン、エルピナン、塩酸エピナスチン、チムケント、ピナジオン、ヘルボッツ、メデジオン、ユピテル
ドメナン、ベガ オザグレル
ヒスマナール なし
アイピーディ スプラタストトシル酸塩、トシラート、トシル酸スプラタスト
ブロニカ なし
ロイコトリエン
受容体拮抗薬
オノン プランルカスト
シングレア
キプレス
なし
抗IgE抗体 ゾレア なし



● おもな喘息治療薬の薬価
         (平成27年4月改定価格)

                   ブルーは小児用
薬剤分類 商品名 規格 単位 薬価 1日量
ロイコトリエン
受容体
拮抗薬
オノン カプセル 112.5mg 1P 58.8円 4P
オノン ドライシロップ 10% 1g 77.4円
シングレア、キプレス 10mg 1錠 222.0円 1錠
  〃   チュアブル 5mg 1錠 208.0円 1錠
  〃   細粒 4mg 1包 212.2円
気管支
拡張薬
セレベント ロタディスク 50μg 1ブ 62.4円 100μg
セレベントロタディスク 25μg 1ブ 45.9円 50μg
セレベントディスカス 50μg 1個 4056.6円 100μg
ホクナリンテープ 2mg 2mg 1枚 81.6円 1枚
ホクナリンテープ 1mg 1mg 1枚 59.0円 1枚
ホクナリンテープ 0.5mg 0.5mg 1枚 43.3円 1枚
メプチン錠 50μg 1錠 29.2円 2錠
メプチンミニ錠 25μg 1錠 18.0円 2錠
スピロペント錠 10μg 1錠 15.6円 4錠
テオドール 100 100mg 1錠 11.1円 2〜4錠
テオドール 200 200mg 1錠 17.2円 2錠
ユニフィルLA 200 200mg 1錠 21.9円 1錠
ユニフィルLA 400 400mg 1錠 35.3円 1錠
サルタノール 13.5ml 1本 1941.3円 発作時
頓用
メプチンエアー 10 5ml 1本 934.2円
メプチンキッドエアー 5 2.5ml 1本 743.5円
メプチンスイングヘラー10μg 10μg 1個 1,006.8円
ベロテックエロゾル 10ml 1本 679.1円
 吸入
ステロイド薬
フルタイドロタディスク 50μ 1ブ 24.9円 50〜200
フルタイドロタディスク 100μg 1ブ 33.4円 200〜800
フルタイドロタディスク 200μg 1ブ 43.2円
フルタイドディスカス50 50μg 1個 1,484.8円 50〜200
フルタイドディスカス100 100μg 1個 2,002.2円 200〜800
フルタイドディスカス200 200μg 1個 2,977.7円
フルタイドエアゾール 50 50μg 1本 1,989.9円 50〜200
フルタイドエアゾール 100 100μg 1本 2,034.0円 200〜800
パルミコート 100 (11.2 100μg 1本 1,689.6円 200〜1600
パルミコート200 (11.2 200μg 1本 1,689.6円
パルミコート200 (22.4) 200μg 1本 2,198.4円
パルミコート吸入液 0.25mg 1管 257.3円 2管
パルミコート吸入液 0.5mg 1管 341.7円 1管
アズマネックス100 100μg 1本 2,598.9円 200〜800
アズマネックス200 200μg 1本 3,315.0円 200〜800
キュバール 100 100μg 1本 3,550.1円 200〜800
キュバール50 50μg 1本 2,678.8円 50〜200
オルベスコ50 50μg 1本 1,848.7円 200〜800
オルベスコ100 100μg 1本 1,888.0円
オルベスコ200 200μg 1本 2,378.4円
吸入
ステロイド薬

(配合剤)
アドエアディスカス100 (28) 100μg 1個 2,990.8円 200
アドエアディスカス250 (28) 250μg 1個 3,447.4円 500
アドエアディスカス500 (28) 500μg 1個 3,894.6円 1,000
アドエアディスカス100 (60) 100μg 1個 6,313.5円 200
アドエアディスカス250 (60) 250μg 1個 7,269.8円 500
アドエアディスカス500 (60) 500μg 1個 8,300.5円 1,000
アドエアエアゾール50 50μg 1本 6,662.7円 100〜200
アドエアエアゾール125 125μg 1本 7,757.7円 500
アドエアエアゾール250 250μg 1本 8,806.0円 1000
シムビコート30吸入 30吸入 1本 2,996.3円 2〜8吸入
シムビコート60吸入 60吸入 1本 5,892.8円 2〜8吸入
フルティフォーム50 56吸入 1本 2,753.0円 200
フルティフォーム125 56吸入 1本 3,213.9円 500〜1000
フルティフォーム50 120吸入 1本 5,780.7円 200
フルティフォーム125 120吸入 1本 6,759.1円 500〜1000
レルペア100 14吸入 1個 2835.1円 1吸入
レルペア200 14吸入 1個 3164.3円 1吸入
レルペア100 30吸入 1個 5987.2円 1吸入
レルペア200 30吸入 1個 6692.6円 1吸入
                              吸入ステロイド薬 単位:μg





喘息治療薬使用のポイント

1.  吸入ステロイド薬を中心に長期管理薬で喘息をコントロールする
2.  発作のとき、薬をどのように使うか対応できるようにしておく
3.  吸入ステロイド薬あるいは吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配
 合剤でコントロールが不良な場合、必要に応じてテオフィリン徐放製剤、
 ロイコトリエン受容体拮抗薬などを併用する
4.  病状が著しく悪化した場合には経口ステロイド薬を使用する
5.  発作治療薬を中心とした治療にならないようにする





わが国の喘息治療薬発売の歴史

ガイド
ライン
気管支拡張薬 吸入ステロイド薬/抗アレルギー薬
1971 DSCG (インタールカプセル)
1973 サルブタモール (べネトリン錠)
サルブタモール(べネトリン吸入液)
1972 テルブタリン(ブリカ二ール錠)
1978 サルブタモール(サルタノールインへラー) CFC-べクロメタゾン*(アルデシン、べコタイド)
1980 プロカテロール(メプチン錠)
ツロブテロール(ホクナリン錠、べラチン錠)
臭化イプラトロピウム(アトロベント)
1982 DSCG (インタール吸入液)
1983 トラニラスト(リザベン)
ケトチフェン(ザジテン)
1984 テオフィリン徐放製剤(テオドール)
1985 フェノテロール (ベロテック錠・エロゾル)
ホルモテロール(アトック錠)
1986 ホルモテロール(アトック錠)
クレンブテロール(スピロペント錠)
アゼラスチン(アゼプチン)
1987 プロカテロール (メプチンエアー・吸入液)
テオフィリン徐放製剤(テオロング錠)
オキサトミド(セルテクト)
レピリナスト(ロメット)
アンレキサノクス(ソルファ)
1989 イブジラスト(ケタス)
1990 メキタジン(ニポラジン、ゼスラン)
タザノラスト(タザレスト)
1991 臭化オキシトロピウム(テルシガン) ペミノラスト(アレギサール、ぺミラストン)
1992 ICR オザグレル(ドメナン、ぺガ)
1993 JGL エピナスチン(アレジオン)
1993
1994 テオフィリン徐放製剤 (ユニフィル錠)
1995 GINA テオフィリン徐放製剤 (スロービット) プランルカスト (オノン)
トシル酸スプラタスト(アイピーディ)
セラトロダスト(ブロニカ)
1997
1998 JGL ツロブテロール(ホクナリンテープ) フルチカゾンロタディスク(フルタイドロタディスク)
2000 JPGL DSCG (インタールエアロゾル)
2001 ザフィルルカスト (アコレート)
モンテルカスト(シングレア・キプレス)
2002 GINA
JPGL
サルメテロール(セレベント) フルチカゾンディスカス
(フルタイドディスカス)
ブデソニド (パルミコート)
HFA-べクロメタゾン (キュバール)
2003 GINA
JGL
フルチカゾンエアゾール (フルタイドエアゾール)
2004 CFC-べクロメタゾン
(アルデシン、べコタイド)発売中止
2005 JPGL プロカテロール (メプチンクリックヘラー)
2006 GINA
JGL
ブデソニド 吸入液(パルミコート吸入液)
2007 サルメテロール+フルチカゾン
(アドエアディスカス)
シクレソニド(オルベスコ)
2008 JPGL
2009 JGL サルメテロール+フルチカゾン(アドエアエアエアゾール)
オマリズマブ(ゾレア)
モメタゾン(アズマネックス)
2010 ブデソニド+ホルモテロール(シムビコート)
2011 JPGL
2012 JGL
2013 フルチカゾン+ホルモテロール(フルティフォーム)
フルチカゾンフランカルボン酸エステル+ビランテロール(レルペア)
2014 プロカテロール (メプチンスイングヘラー)
スピリーバレスピマット追加承認
     ICR:国際委員会報告     GINA:Global Initiative For Asthma (国際指針)   
     JGL:喘息予防・管理ガイドライン   JPGL:小児気管支喘息治療・管理ガイドライン


わが国における喘息治療は1970年代には気管支拡張薬とインタール、1980年代前半からは気管支拡張薬と経口抗アレルギー薬を中心とした治療が行われてきました。(経口抗アレルギー薬は10数種類が発売され、まさに経口抗アレルギー薬一色というほどでした)
吸入ステロイド薬は1978年に発売されましたがほとんど使用されず、1993年に吸入ステロイド薬を中心としたガイドラインが発表されて少しずつ使われるようになりましたが、一般に良く使われるようになったのは2000年以降からです。
私のところでは、日本で行われている気管支拡張薬と抗アレルギー薬を中心とした治療では患者さんが
あまり良くならないことを痛感し、また、イギリスや北欧などでは吸入ステロイド薬を使用していることを知り、1978年から日本でも発売された(日本での適応は全身性ステロイド薬の減量)こともあり吸入ステロイド薬を中心とした治療を行ってきました。アルデシン、べコタイドという吸入ステロイド薬が発売されたその日から使用しましたので日本では最初だと思います。当時の日本では、海外でどのような喘息治療が行われているのかの情報はほとんどなく、それを知るのはとても困難なことで、また、経口抗アレルギー薬が全盛だった日本では吸入ステロイド薬は受け入れる状況にはなく(当時は吸入ステロイド薬を使用していることに批判も受けたりしましたし、悪者扱いのようにすらされました)、まったく使用されておりませんでした。そんな中で吸入ステロイド薬を使用するのは大変なことでしたが、すべてはイギリスなどのわずかな情報と患者さんが教えてくれました。
今になって経口抗アレルギー薬(ロイコトリエン受容体拮抗薬を除く)が喘息治療薬としてほとんど評価されていないことを考えると、1980年代から1990年代後半まで続いたわが国の喘息治療は一体何だったのかと思います。
ちなみに、私がホームページを開設したのは吸入ステロイド薬の普及ということが目的でした。



当院の過去18年における喘息治療薬の使用比率の推移(年間使用金額)を1年おきに見たのが上の図です。
1993〜2001年までは吸入ステロイド薬の使用比率が年々増加し、短時間作用性吸入β2刺激薬は減少し、その他の気管支拡張薬や抗アレルギー薬の使用比率は年々減少の一途を辿っています。
なお、2002年6月からセレベントを積極的に使用するようになり、2005年には全体の31%を占め、吸入薬(吸入ステロイド薬、長時間作用性吸入β2刺激薬、短時間作用性吸入β
2刺激薬)の使用が全体の93%を占めています。
2007年と2010年に吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤(アドエア、シムビコート)が発売され配合剤を積極的に使用するようになり、その使用率は年々増加し、2010年には使用金額で70%になっています。
2010年の全体に占める吸入薬の使用金額は95%となっており、当院では内服・貼付薬はほとんど使用せず、
吸入薬を中心とした治療を行っているのがおわかりいただけると思います。





内服薬と吸入薬の比較


項目 内服薬 吸入薬
 作用の形態 間接 直接
 薬剤の使用量 多量 少量
 全身組織への移行 多量 ごく微量
 副作用 多い 非常に少ない
 投与の簡便さ 簡単 不便
 手技による効果の差 ない ある

吸入薬は使用量を少なくすることによって、薬による全身的な副作用を減らそうという
ことを目的に作られています。

わが国では「薬は飲むもの」という慣習があったため、なかなか吸入薬は普及してきませんでしたが、最近の喘息治療薬は吸入薬が中心になりつつあります。吸入薬は手技が面倒というデメリットがありますが、最近ではフルタイドディスカス、パルミコート、キュバール、オルベスコ、アズマネックス、アドエアディスカス、シムビコート、フルティフォーム、レルベアなどの登場で、かなり簡単になってきました。



  
喘息治療薬とドーピングについて

使用禁止薬

公式のスポーツ競技では、ドーピング防止規定で使用禁止が定められていて、喘息治療薬で「β2刺激薬」と「ステロイド」が該当します。しかし、治療目的使用にかかわる除外措置(Therapeutic Use Exemptions:TUE)として、TUE申請またはドーピング検査時の申告により、一部の薬剤では限定された投与経路(吸入)での使用が認められています。

一般名 商品名 使用可否
サルメテロール/フルチカゾン アドエア 使用可(ドーピング検査時に申告)
ホルモテロール/ブデソニド シムビコート 使用可(ドーピング検査時に申告)※1
ホルモテロール/フルチカゾン フルティフォーム 使用可(ドーピング検査時に申告)
ビランテロール/フルチカゾンフランカルボン酸エステル レルベア TUE申請の承認で使用可
(許可されないことがあるので注意)
フルチカゾン(吸入) フルタイド 使用可(ドーピング検査時に申告)
ブデソニド(吸入) パルミコート 使用可(ドーピング検査時に申告)
ベクロメタゾン(吸入) キュバール 使用可(ドーピング検査時に申告)
シクレソニド(吸入) オルベスコ 使用可(ドーピング検査時に申告)
モメタゾン(吸入) アズマネックス 使用可(ドーピング検査時に申告)
サルメテロール(吸入) セレベント 使用可(ドーピング検査時に申告)
サルブタモール(吸入) サルタノール 使用可(ドーピング検査時に申告)2
プロカテロール(吸入) メプチンエアー TUE申請の承認で使用可
抗コリン薬(吸入) アトロベント 使用可
モンテルカスト(経口) シングレアなど 使用可
プランルカスト(経口) オノン 使用可
エピナスチン(経口) アレジオン 使用可
メキタジン(経口) 二ポラジンなど 使用可
その他の抗アレルギー薬 アレギサールなど 使用可
テオフィリン(経口) テオドールなど 使用可
塩酸エフェドリン(経口) エフェドリン 使用禁止
塩酸メチルエフェドリン(経口) メチエフなど 使用禁止
ツロブテロール(経口) ホクナリン錠 使用禁止
ツロブテロール(貼付) ホクナリンテープ 使用禁止
クレンブテロール(経口) スピロペント 使用禁止
サルブタモール(経口) ベネトリン 使用禁止
プロカテロール(経口) メプチン錠 使用禁止
漢方薬(麻黄、半夏) 麻黄湯など 使用禁止
ステロイド薬(経口・注射) プレドニンなど 遡逆的TUE申請必要
抗IgE抗体(注射) ゾレア 使用可

※1 1日12吸入以上はTUE申請必要
※2 1日1600μg以上はTUE申請必要
吸入ステロイド薬はTUE申請は不要です(ドーピング検査時に申告のみ)。
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤で、アドエア、シムビコート、フルティフォームはTUE申請は不要です(ドーピング検査時に申告のみ)。レルベアはTUE申請が必要になりますが、許可されないことがあるので注意が必要です。
なお、シムビコートはSMART療法として使用されますが、24時間で最大54μg(12吸入)までであればTUE申請は不要です。
β2刺激薬のうち、吸入のサルタノール、セレベント、ホルモテロール(わが国では単剤としてオーキシスが発売されているが、COPD治療の適応になっているが、喘息の適応はなし)はTUE申請は不要です(ドーピング検査時に申告のみ)。
ただし、サルタノールは24時間で最大1600μgを超えて投与が必要な場合はTUE申請が必要です。
その他のβ
2刺激薬では、使用前に「JADA吸入ベータ2作用薬に関する情報提供書」を添えてTUE申請を行えば、「吸入」でのみ治療目的使用が認められます。
ツロブテロール貼付薬、すべての経口β2刺激薬は使用禁止であり、TUE申請も認められない。エフェドリンも同様です。
ちなみに、経口ないし貼付のβ2刺激薬が禁止薬物となっているのは、交感神経興奮と筋肉増強作用があるためです。
経口および貼付のβ2刺激薬は使用禁止であり、通常TUE申請は承認されない。
ツロブテロールは吸入のβ2刺激薬で治療できない正当な理由が認められた場合のみ、TUE申請の承認で使用することが出来ます。
漢方薬の麻黄の主成分はエフェドリンですし、半夏もエフェドリンが含まれています。したがって、麻黄、半夏を含む漢方薬は使用禁止となります。喘息治療に使用する漢方薬では小青竜湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、神秘湯、五虎湯、麦門冬湯、柴朴湯、苓甘姜味辛夏仁湯などが使用禁止となります。なお、葛根湯にも麻黄が含まれているので使用禁止です。上記の漢方薬は通常TUE申請は承認されない。
緊急の医療状況において、ステロイドの全身投与(経口・静注など)を行った場合は、遡及的にTUE申請が必要になります。
国立スポーツ科学センターによると、オリンピック選手団の喘息有病率は、2008年夏季北京大会で12.4%、2010年冬季バンクーバー大会では12.9%、2012年ロンドン大会では11.2%と上昇しており、わが国のアスリート喘息有病率は一般成人とと比べて著名に高言ことが判明しました。。

詳しくは日本アンチ・ドーピング機構 Japan Anti-Doping Agency (JADA)
を参照ください。

(監修:秋山一雄 喘息長期管理における「吸入療法ガイド(GSK)」より引用・一部追加)


喘息治療薬に関連するドーピング違反の事例

ドーピングについてより詳しく知ってもらうために、喘息治療薬に関連するドーピング違反の事例を具体的に記載しました。選手をを誹謗する意図は全くありませんのでご承知おきください。

ドーピング検査による金メダル剥奪の第1号選手
1972年ミュンヘンオリンピック水泳400m自由形で金メダルだった
リック・デモンド選手(アメリカ)はドーピング検査で禁止薬物のエフェドリンが検出されて失格しました。デモンド選手は喘息がありエフェドリンを服用していたのです。これがオリッピンク金メダル剥奪の第1号になったのです。

サプリメントでドーピング違反
有名なサッカー
マラドーナ選手(アルゼンチン)は1994年ワールドカップでエフェドリンが検出され、15ヶ月の出場停止処分になりました。減量用サプリメントにハーブの一種が含まれており、そこから微量のエフェドリンが検出されたそうです。エフェドリンは喘息でよく使われる薬ですが、マラドーナ選手は喘息ではありませんでした。

喘息治療のためにステロイドを服用していてドーピング違反
アメリカの陸上短距離選手ウォーレス・スピアモン選手(アメリカ)は2014年エドモントンの大会で喘息の治療のため服用したメチルプレドンが検出され3ヶ月の出場停止処分を受けました。服用が治療目的という弁明もあって本来なら2年の出場停止が3ヶ月になったのです。また、ロンドンご五輪で金メタルを獲得したブラジルのバレーボールぺレイラ選手は喘息治療のために服用したプレドニゾロンが検出され60日間の出場停止処分が科せられました。

サルブタモール吸入の過剰使用でドーピング違反
自転車競技ディエゴ・ウリッシュ選手(イタリア)アレキサンドロ・ペタッキ選手(イタリア)は喘息治療のためにサルブタモール吸入薬(=サルタノールインヘラー)を使用していました。サルブタモールは基準量内であればTUE使用申請なしに使用できますが、二人は基準量を超えたサルブタモールが検出され、ウリッシ選手は9ヶ月出場停止処分を受けました。また、ペタッキ選手は2ヶ月間ツール・ド・フランスなどの大会に出場しませんでした。
また、スキーW杯距離男子で3連覇中
マルティンヨンスル・スンビ選手(ノルウェー)は2014-2015年シーズンに喘息治療のためにサルブタモール吸入薬(=サルタノールインヘラー)を使用していましたが、規定を超える量を使用したにもかかわらず申請をしていなかったため2ヶ月の資格停止と優勝取り消しの処分を受けました。ちなみに、ノルウェー・スキー連盟は「申告不要と考えていた。責任は連盟にある」と声明を出しています。

TUE申請せずに失格
自転車競技サイモン・イェーツ選手(イギリス)は喘息治療のためにテルブタリン吸入薬(本邦発売なし)を使用していました。テルブタリン吸入薬はTUE申請が必要なのですが、チームドクターが申請をしなかったことにより競技は失格となりました。ただ、イェーツ選手に落度はなく、チームの責任として出場停止処分はされませんでした。また、テニスデュピュイ選手(フランス)も喘息でサルブタモールの内服薬を服用していましたが、TUE申請せず、ドーピング検査で検出され、2ヶ月半の出場停止を科せられました。

医師に処方された喘息の薬でドーピング違反
ラグビー田中健太選手(クボタ)は、喘息で使用するツロブテロール(ホクナリンテープ)の成分がドーピング検査で検出され3ヶ月出場停止処分となりました。また、自転車競技伊藤信選手も喘息治療のためにツロブテロールの貼り薬を使用し、その成分がドーピングで検出され3ヶ月の資格停止処分を受けました。さらにバレーボールの日本代表になったこともある大野果奈選手(NEC)は、喘息のために医師に処方されたツロブテロールの内服薬を服用し、ドーピング検査で禁止薬物であるツロブテロールが検出され3ヶ月の出場停止処分を受けています。競輪選手の濱田博選手(当時湘南ベルマーレ所属)も、喘息があり禁止薬物であるクレンブテロール(スピロベント)を服用してド―ピーク検査で検出されております。
いずれの選手も医師にドーピング禁止薬物は使えないことを話したそうですが、医師にその知識がなかったことから投与され服用していたようです。いずれも医師の知識のなさから起こった問題であり、今後は医師の責任問題に発展する可能性もあり、十分注意する必要があると思います。

市販の風邪薬で出場辞退
2015年のグランプリ大会に出場予定だった女子柔道の緒方亜香里選手と田知本遥香選手は試合前に緒方先週が日本で購入した市販の風邪薬を服用したのですが、その中に禁止薬物のメチルエフェドリンが含まれており、ドーピング違反になる恐れありということで二人は出場を辞退しました。その結果、二人は強化指定選手を外され、リオ五輪出場も危ぶまれていましたが、軽い処分で済み、田知元選手はリオ五輪代表となっています。また、スノーボードクロスの清水美江選手市販の風邪薬を服用してドーピング違反になり、失格と3ヶ月の出場停止処分を受けています。服用した市販の風邪薬にメチルエフェドリンが含まれていてドーピング検査で検出されたのです。
2015年の北海道マラソンで2位になった
サイラス・ジュイ選手(ケニア出身)はドーピング検査でメチルエフェドリンが検出され、失格および8ヶ月の資格停止処分を受けました。ジュイ選手は大会前に市販の風邪薬を服用したのですが、その風邪薬に使用禁止薬物のメチルエフェドリンが含まれていたのです。なお、いずれの選手も喘息はありません。
風邪薬に禁止薬物のエフェドリン、メチルエフェドリンが含まれているものは多くあります。今後はうっかりミスでは済まされなくなりますまのでよく注意すべきだと思います。海外では訴訟も起こっているようです。

ブラジルのメダル候補選手がリオ五輪出場危機に
ブラジル女子水泳短距離のメダル候補エチエネ選手(25歳)が、2016年5月のドーピング検査で喘息で使われる禁止薬物フェノテロール(ベロテック)が検出されドーピング疑惑で問題になっていて、リオ五輪は出場が危ぶまれています。

高校生の陸上選手がドーピング違反
高校生の陸上選手が喘息のために禁止薬物であるテルブタリン(ブリカニール)を服用していて、特にドーピングに対する知識もなくTUE申請もしておらずド―ピーク検査で違反が判明し2ヶ月の資格停止処分を受けました。この選手は現在大学にて活躍中です。。


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