喘息の自己管理



ピークフローメータによる自己管理

 喘息は自己管理が重要です!

喘息治療において医師の適切な判断や治療が重要であることはいうまでもないことですが、患者さん自身が自分の喘息の状態を知り、喘息を自己管理することも大変重要です。
そのためにはピークフローメーターによる自己管理がすすめられます。
すなわち、ピークフローメーターという簡単な呼吸機能の測定器具を使ってピークフローを測定し、自分の喘息の状態を正しく知って、喘息を自分で管理することがすすめられます。
自覚症状だけで喘息の状態を正確に知ることはできません。自分では良いと思っていても悪い場合がよくありますし、悪くなっているのに気がつかない場合もよくあります。ところが、ピークフローを測定すると、そんな自分の状態を正確に知ることができます。また医師にとってもピークフローの測定は患者さんの状態を正確に知ることができ、治療にあたって大変重要な情報源となります。
したがってピークフローの測定は

よく発作をおこす患者さん
病状の不安定な患者さん
病状の重い患者さん
いつも息苦しさのある患者さん
今までに大発作のあった患者さん

などではとくに望まれます。
ピークフロー測定の意義
 自分の喘息の状態を正確に知ることができる
 発作予知に役立つ
 自己管理に役立つ
 医師にとっても重症度の判定や治療の指標になる




ピークフローメーター

ピークフローとは最大の吸気から思いきり息を吐き出したときの最大呼気速度(最大
呼気流量)をいいます。
実際の測定では、マウスピースを口にくわえて、できるだけ深く鼻から息を吸い込み、一気にできるだけ早く口から息を吐き出します。
ピークフローは立って測定する場合と座って測定する場合では値が異なりますので、いつも同じ姿勢で測定することが重要です。
なお、ピークフローメーターは下に示すようにいろいろな種類がありますが、使い方はどれでもほとんど同じです。(ピークフローメーターの使用は喘息治療管理料として保険適用になっています)
ピークフローの値は性、年齢、身長によってちがいます。それぞれの患者さんの
ピークフローの予測値は、一般に計算式より求めた標準値(各ピークフローメーターに添付されています)を使用します。また変動率は最高値と最低値から算出します。

なお、ピークフローの測定は喘息管理料として保険適応になっていますから、必要な方は医療機関で希望してください。


             ※器具によって予測値が異なりますのでご注意ください。



喘息管理のためのゾーン・システム

ピークフローを測定して喘息の状態を知り、それに応じた対応をすることを喘息管理のためのゾーン・システムといいます。
治療の目的はピークフロー値がつねに最高値の80%以上、変動率が20%未満にあることです。

ゾーン 状態の判定 ピークフロー値 変動率
グリーンゾーン 望ましい範囲 80%以上 20%未満
イエローゾーン 注意が必要な範囲 50〜80% 20〜30%
レッドゾーン 警戒が必要な範囲 50%未満 30%未満




ピークフロー日記

ピークフロー値とともに症状や治療を日記に記録することは、次のような理由で大変意味があります。

1.
患者さん自身が自分の喘息の状態を良く知ることができる。
2. 医師が患者さんの状態や服薬状況を知ることができ、治療に役立つ。
3. 他の医師を受診したときでも的確な診療を受けることができる。



ピークフロー日記は主に吸入ステロイド薬をを発売しているメーカー各社が作成配布しておりますので、各病医院で申し出れば入手できると思います。






ピークフローは簡単な肺機能検査
喘息の患者さんは病院で肺機能検査をすることがありますが゜、これは、患者さんの喘息の状態を知るためです。肺機能検査で肺活量が正常でも1秒量が低下するのが喘息の特徴です。したがって、喘息では1秒量を知ることが患者さんの状態を知る大きな情報となります。
その1秒量を反映する検査がピークフローなのです。ピークフロー値は1秒量のおよそ5分の1を表すと言われています。
ですから、ピークフローを測定することは、病院行くことなしに毎日簡単な肺機能検査を行っていることになります。簡単な器具でかなり正確に自分の肺機能を知ることができるという面で、ピークフローの測定は非常に意味があるわけです。現在、ピークフロー以外の方法で喘息の状態を簡単かつ正確に知る方法はありません。


測定しなくなってしまうことの多いピークフロー
ピークフローは自分の喘息の状態を自分自身が知り、喘息の自己管理をするという意味で非常に有用なものです。
しかし、治療によってピークフロー値が上がるときは一生懸命測定しますが、安定してしまうと測定しなくなってしまう人が多くあります。また、ピークフロー値がいつも低い人はあまり測定したがらないということも良くあります。
喘息の状態が良くなるとピークフローを測定することが面倒になってしまうのだと思いますが、ピークフローは自覚症状や聴診器より正確に自分の状態を反映します。ですから、状態が良くなっても、自分の状態をチェックするためにときどき測定しておくことが大切です。
喘息は慢性の病気でなかなか治癒することない病気で、カゼをひいたりすると悪化することもありますし、予測できぬ悪化ということもあります。したがって、常に自分の状態をピークフローでチェックしておくことが大切です。


ピークフローメーターの普及率が低いことに思う!
喘息の自己管理にピークフロー測定の活用が推奨されていますが、下の表の全国喘息患者電話調査(AIRJ)の結果が示すように、わが国での普及率は高くありません。

2000年 2004年
成人 小児 成人 小児
 聞いたことがある 22% 23% 28% 27%
 持っている 12% 7% 15% 8%
 週1回以上
 使用している
6% 4% 5% 3%
                (AIRJ2000および2004より)

この結果は全国的な電話調査の結果ですから、あらゆる喘息の患者さんが含まれているため非常に低い結果となっています。喘息を専門にしておられる医療機関では週1回以上の使用率は50〜100%におよぶと思いますが、こういう現実も直視しなければならないと思います。
喘息の自己管理においてピークフローの測定は最も信頼度が高く、すべての患者さんが使用されるのが理想的ですが、非専門医の先生の多くはピークフローメーターの活用をすすめておりません。そのため、全国的に見るとこのような結果になるわけです。私自身は全ての患者さんにとは思いませんが、少なくとも病状が不安定な患者さんでは使用すべきだと思います。
そういう状況の中で、より簡便な評価ツールとして、簡単なアンケートでコントロール状態を知ることが出来る「喘息コントロールテスト」「イージー・アズマ・プログラム」の意義は大きいと思います。
ピークフローを測定しないのであれば、せめてACTまたはEAPの活用が望まれるところでありますが、ACTもEAPもあまり活用されていないのが現状です。
喘息専門医の先生方はきちんとピークフローを使って管理されているために、ACTやEAPの必要性をとくに感じておられないのだと思いますが、このようなピークフローメーターの普及率の低さを思うと、せめて、「こんな方法もありますよ」ということを伝えていただきたいと思っています。(2006.12.3)


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