日常生活における注意




日常生活で喘息を起こす誘因を避けましょう!

喘息はいろいろな原因が誘因により引きおこされます。喘息の治療にあたっては、これらの原因や誘因となるものをチェックし、日常生活の中で十分注意することが重要です。




アレルギー

アレルギーは喘息の原因として大変重要です。一般に小児ではアレルギーが関与していることが多いですが、成人ではアレルギーが関与していないことがかなりあります。ちなみに、喘息で最も重要なアレルゲンであるダニの陽性率は小児で90%以上ですが、成人では約50%です。なお、アレルギーの原因となっているものをアレルゲンといい、血液検査で調べることができます。

1.
ダニ
アレルギーが関与する喘息では、ハウスダスト(家のほこり)が主要なアレルゲンとなっています。その中で喘息をおこすもとになっているのは“ダニ”とくにヒョウダニです。このダニは非常に小さく肉眼ではほとんど見えません。ダニの繁殖場所はタタミ、ジュータン、フトン、枕、ぬいぐるみなどです。

ダニ対策として

1.寝室、居間に掃除機(ダニ取り用)をかける。
2.ふとんに掃除機(ダニ取り用)をかける。
3.ふとんの丸洗い、打ち直しをする。
4.寝室、枕、シーツを洗濯する。
5.ジュータンをなるべく除く。
6.家の中で走ったり、あばれたりしない。
などに注意してください。なお、ダニに殺虫剤は効果がありません。


2. カビ
カビはダニについで重要なアレルゲンで、ダニと同じように、空中を浮遊していますが肉眼ではほとんど見えません。
カビは台所、風呂場、押入れ、物置などの湿気の多いところに生えやすいので風通しを良くするなど注意してください。加湿器がカビの湿床になることがありますので注意が必要です。

3. 花粉
スギ、ヒノキ、イネ科、ブタクサ、ヨモギなどの花粉によって喘息をおこす人があります。
そんな人は花粉の飛ぶ時期にはマスクをする、事前に予防薬を服用するなどの対策が必要です。


4. 動物
猫、犬、ハムスター、小鳥などペットの毛が喘息の原因になっていることがあります。喘息の人は原則として猫や犬は飼わないほうがいいです。とくに一緒に寝たり、ブラシをかけたり、小屋を掃除するなどはよくありません。


5. 食物
食物によるアレルギーは主に乳幼児で関係があることがあります。原因として多いのは牛乳、卵、大豆、小麦とその製品で、成人での食物アレルギーは小麦が最も多いと言われています。
ソバアレルギーの人は、致死的な発作を起こすことがありますから絶対にソバを食べないでください。


● 茶のしずく石鹸による小麦アレルギー

最近話題になった「茶のしずく石鹸による小麦アレルギー」について簡単に記載します。「美肌効果があるある」と通販で大ヒットしましたが、昨年(2010年)までの商品に含まれていた小麦由来成分によるアレルギー被害が拡大しました。
原因物質の可能性があるのは、茶のしずく石鹸に含まれている保湿成分「グルパール19S」。小麦に酸を加えた
「加水分解小麦」と呼ばれる原料の一種だ。
利用者の皮膚などから体内に吸収された際に小麦アレルギーを誘発。
最近話題になった「茶のしずく石鹸による小麦アレルギー」について簡単に記載します。「美肌効果があるある」と通販で大ヒットしましたが、昨年(2010年)までの商品に含まれていた小麦由来成分によるアレルギー被害が拡大しました。
原因物質の可能性があるのは、茶のしずく石鹸に含まれている保湿成分「グルパール19S」。小麦に酸を加えた
「加水分解小麦」と呼ばれる原料の一種だ。
利用者の皮膚などから体内に吸収された際に小麦アレルギーを誘発。パンやうどん、パスタなどの小麦製品を食べると、アレルギー症状が出るようになったとみられている。アレルギー症状は眼のかゆみや眼の腫れ、顔のかゆみや顔の腫れ、鼻炎症状などの、石鹸を使用した時に出るものと同じような症状がでることが多いようです。アレルギー症状が軽い場合は、眼や鼻、顔の症状だけのこともありますが、症状が重篤な場合は、腹痛・下痢、血圧低下、ふらつき、
呼吸困難などの様々な症状が出現します。
しかし、石鹸を使用した時の症状は必ずしも強いものではなく全く自覚の無い方も少なくありません。石鹸の使用を続けると、この石鹸使用時の症状は少しずつ悪くなっていきます。
小麦を食べて消化管から吸収された小麦でアレルギーになるこれまでの小麦アレルギーでも、子供の時に小麦アレルギーがなくて、大人になってから初めて小麦アレルギーになってしまう人もたくさんいます。こうようなタイプの小麦アレルギーでも、
小麦を食べて運動した時のみにアレルギー症状が出る(運動誘発性のアレルギー)ことが多く見られます。
小麦アレルギーは、小麦の中のタンパク質が原因(アレルゲン)になります。一般的に、口から摂取した食物のタンパク質は、食べた後胃や腸の消化酵素で、ペプチドやアミノ酸といった細かい物質にまで十分に分解されてから吸収されます。ですので、食物タンパク質は、そのままの形で直接体の中には吸収されません。 しかし、小麦を食べたあとに
運動をすると消化が不十分なままの小麦タンパク質が体に吸入されやすくなります。そのため、そのような小麦成分に対するアレルギーを持つ人が小麦を食べた後に運動すると、アレルギー症状を起こしやすくなると考えられます。
ただし、小麦アレルギーの強い人は、小麦製品を食べただけで運動をしなくてもアレルギー症状が起こります。また、そういう方が小麦を食べたあと運動すると、運動しない時に比べてもっと強いアレルギー反応を起こすようになります。
詳細はアレルギー情報センター: 小麦加水分解物含有石鹸「茶のしずく」を使用したことにより発症する小麦アレルギーに関する情報センターをご参照ください。

● グルテン過敏症

テニスの世界No.1のノバク・ジョコビッチ選手はグルテン過敏症であることがわかり、グルテンフリーの食べ物にしたら、今まであった喘息も出なくなり、世界一の座についたと言われています。グルテン過敏症はグルテンの中に含まれるクリアジンという主要成分に過敏に反応して身体に症状が出現する病気です。グルテンは小麦、大麦、ライ麦の穀物に含まれてるため、グルテン過敏症の人はパン、パスタ、うどん、マカロニ、ラーメン、揚げ物、てんぷら、ビールなどを摂取すると症状が出現します。症状としては膨満感、下痢、便秘などの消化器症状、めまい感ン、偏頭痛、慢性疲労、関節痛、気分のむら、不安などがありますが、ジョコビッチのように喘息などのアレルギー症状が出る人もあります。ちなみに、米国では人口の15%はグルテン過敏症であると推定されています。治療はグルテンフリーの食物を摂取することになります。(2016.2.23)

6. その他
ソバガラにアレルギーのある人がよくありますが、そのような人は枕をスポンジかラバーのものにしてください。
羽毛ぶとんや絹ぶとんはアレルギーの観点から喘息の人には向きません。ふとんはなるべく木綿か化繊のものにしてください。



かぜ(気道感染)

かぜは喘息発作を誘発するものの中で最も重要です。かぜをひくと多くの患者さんで喘息が悪化し、喘息の薬が効きにくくなります。かぜをひかないように注意するとともに、かぜをひいたら早めに治療してください。かぜのときにに吸入ステロイド薬を中止する必要はありません。かぜの時は喘息が悪化する可能性が高いので、むしろ続けていたほうがよいでしょう。
かぜで喘息が悪化したときは早めに受診することが大切です。
かぜは、正確には「かぜ症候群」といい、いわゆるかぜ(普通感冒)とインフルエンザをさしますが、いずれも喘息を悪化させる重要な要因になります。
気道感染の原因ウイルスとしてはライノウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルスなどが重要とされています。とくに、インフルエンザは要注意で、インフルエンザが大流行した年に喘息死が増えたということもあります。
その他、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳などが増悪因子として働きます。
統計によれば、日本人は1年間に平均5〜6回かぜにかかるそうですが、喘息の人は普通の人に比べて、明らかにかぜひきやすい傾向があります。
かぜの多くはウイルスが原因ですが、現在までインフルエンザを除いて、かぜのウイルスに効果のある薬はありません。したがって、熱があれば解熱鎮痛薬、鼻の症状があれば抗ヒスタミン薬、咳があれば咳止め、痰がきれないときは去痰薬というように、これらの対症療法薬を必要に応じて使いながら自然に治るのを待つというわけですが、アスピリン喘息では解熱鎮痛薬の使用に十分な注意が必要です。
また、細菌による二次感染がある場合や、肺炎、気管支炎など細菌による合併症を予防する目的で抗生物質を使います。
かぜがなぜ喘息を悪化させるのかということですが、喘息では慢性に気道の炎症が起こっていて、気道の過敏性も亢進しています。気道の過敏性が亢進しているとわずかな刺激でも反応を起こして気管支が収縮して喘息症状が出るというわけです。その刺激となる因子を増悪因子といいますが、かぜはその代表的なものです。
かぜの中でもインフルエンザは、喘息が非常に悪化することがあり、とくに注意が必要です。そのため、喘息の人には予防接種がすすめられております。また、最近、インフルエンザの治療薬も出回るようになりました。
すなわち、A型に効果のある
アマンタジン(商品名:シンメトレル)、A型にもB型にも効果があるノイラミニダーゼ阻害薬です。ノイラミニダーゼ阻害薬にはザナミビル(商品名:リレンザ)オセルタミビル(商品名:タミフル)があります。いずれも、ウイルスの増殖に必要なノイラミニダーゼという酵素を阻害して、ウイルスの増殖を阻止する薬ですから、発病早期(48時間以内)に服用しないと効果は期待できません。
なお、
リレンザは吸入薬(フルタイドロタディスクと同じようにディスクへラーを使って吸入します)で、タミフルは内服薬です。
なお、乾燥しているとインフルエンザウイルスは増えますので、一定の湿度(60〜70%)を保つことが大切です。
かぜから喘息発作になった場合、どちらかというと、かぜよりも喘息の治療が中心になります。



過労


過労も喘息を悪化させる大きな要因となります。常に規則正しい生活と十分な休養を心がけましょう。
また、過労でかぜをひきやすくなることがあります。
過労が続いて喘息が悪化することはしばしばありますので、十分な注意が必要です。仕事で過労が続いているときは指示された薬を規則的に服用し、休日には十分な休養を取ることが大切です。



気象

気象はかぜ、過労とともに昔から三大悪化要因といわれています。
喘息発作は小児や若年成人では季節的に気候が安定した真夏や真冬よりも、春・秋の季節の変わり目に多く見られますが、とくに秋(10月)に多いのが特徴です。真夏でも冷房の普及によって喘息が悪化することがしばしばありますし、真冬でもかぜやインフルエンザの流行して罹患すると悪化することがしばしばあります。したがって、昔に比較すると季節性はそれほどなくなってきているともいえます。
また、移動性高気圧や台風の接近時、寒冷前線の通過するときなどに発作が多発するともいわれています。
気象は人為的に変えることは出来ませんので、台風など気象により喘息が悪化する人は、あらかじめ予防薬を服用するなどの対策が必要となります。


喫煙

タバコは気道を刺激し喘息を悪化させるだけでなく、気道のけいれんを引きおこすので、喘息の人はもちろんのこと、その周囲の人も吸うのは厳禁です!
また、タバコを吸っている患者さんでは喘息治療の第一選択薬である吸入ステロイド薬や、喘息がひどい場合に使用する経口ステロイド薬が効きにくいということがしばしばあります。
喘息の患者さんがタバコを吸うということは
、「喘息が良くならなくてもいい」、「喘息で苦しくてもいい」と言っているに等しいことです。さらに、タバコはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因にもなりますので絶対に止めるべきです。

● 受動喫煙(副流煙)
受動喫煙は喘息に悪影響を及ぼしますので、喘息の患者さんがいる家族でタバコを吸う方があれば「タバコは家の中で吸わないで屋外で吸う」ということに注意せねばなりません。

○小児の受動喫煙
生後3ヵ月の乳児が喘息を発症するリスクは、両親が喫煙していない場合に比べて3.5倍、両親が喫煙している場合は11倍高くなるといわれています(Lancet 1992)。とくに母親の喫煙は小児の喘息発症や症状の悪化の危険因子となります(Chest 1992)。

○成人の受動喫煙
職場での受動喫煙により喘息にかかるリスクは2倍になるという報告があります(Lancet 2001)。また、小児期に受動喫煙に曝露された人は成人した後の喘息リスクが有意に高くなるとされています(Chest 2001)。

いずれにしても、喫煙は気道炎症の悪化、気道過敏性の亢進、症状の増悪、重症化、肺機能低下、予後の悪化、吸入ステロイド薬の効果減弱を招くなど、喘息に対して著しく悪影響がありますので、
喘息の人はもちろんのこと、周囲の人もタバコを吸うのは厳禁です!



刺激物質

花火、線香、蚊とり線香、煤煙、ゴミ焼却などの煙、調理時やストーブの煙などの吸入によって喘息発作が誘発されることがあります。また、ヘアスプレーなどの化粧品、接着剤、ペンキ、化学薬品、殺虫剤、農薬、生花などの刺激の強い臭いで喘息発作が誘発されることがありますので注意してください。
霧や入浴中の湯気で発作が誘発されることもあります。
なお、最近問題になっているホルムアルデヒドなどによる
シックハウス症候群(化学物質過敏症)で喘息が起こることがあります。



冷気

クーラーは喘息によくありません。できれば使用しない方が良いのですが、やむなく使用するときは冷え過ぎないように注意してください。原則として、夜間はクーラーをつけたまま寝ないようにしてください。車のクーラーで喘息が悪くなるときがあります。そんなときは、クーラーを弱めて、窓を少し開けて走行してください。

乗物や施設の中ではクーラーが強冷になっていることがありますので、冷気で喘息が悪くなる人はあらかじめ長袖を用意するなどしてください。



運動

運動により喘息が誘発されることがあります。喘息の患者さんの多くは運動終了数分後から一過性の気管支収縮をきたし、60分以内には自然回復します。このように運動後に喘息発作や気管支収縮が生じることを運動誘発喘息(exercise induced asthma:EIA)といいます。
運動誘発喘息は水泳では起きにくく、ランニング、とくに短距離走の繰り返しや中距離走で置きやすいとされています。一般に小児で多いとされていますが、成人と小児は同程度と考えられています。
したがって、病状の悪いときは運動をひかえますが、病状の安定しているときはかまいません。なお、最も発作をおこしにくい運動は水泳といわれています。
運動誘発喘息では、運動前にあらかじめウォーミングアップすることや、5〜10分前にDSCG(インタール)や短時間作用性吸入β2刺激薬(サルタノールインヘラー、メプチンエアーなど)、長時間作用性吸入β2刺激薬(セレベント)を使用するのが効果的と言われています。
また、ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、シングレアなど)なども有効とされています。
(運動12時間前の服用が最も効果的とされています)
結論的には運動誘発喘息がある喘息の患者さんでは、吸入ステロイド薬を中心にした長期管理薬による喘息のコントロールと、吸入β2刺激薬による運動直前の単回投与の両面から治療を行うことが大切になります。

アスリートと喘息
最近のオリンピック選手における有病率は、健常人と同じかそれ以上と言われています。とくに、冬季スポーツや水泳選手に多いとされています。喘息のある選手のメダル獲得率は高く、喘息があってもきびしいトレーニングが可能で一流の成績も残せることが示されています。
喘息治療薬には世界アンチドーピンク機構(WADA)によって使用が禁止されている薬剤があります。そのアンチドーピング防止規定では、アドレナリン、エフェドリンなどの交感神経刺激薬(すべてのβ
2刺激薬を含む)、およびステロイド薬が禁止されています。
しかし、禁止表に含まれている薬剤であっても治療目的や投与経路による除外規定が設けられており、
一部のβ2刺激薬(サルタノール、ホルモテロール、テルブタリンサルメテロール)では「治療目的使用による除外措置申請」と呼吸機能検査などの成績を記した「吸入β2作用薬使用に関する情報提供書」を提出して承認されれば「吸入」でのみ使用が認められています。(ただし、メプチンエアーは不可)
また、ステロイド薬であっても、喘息の基本治療である
吸入ステロイド薬は事前申請が不要で、ドーピング検査時に公式記録書に記録されるように申告すれば良いことになっています。
なお、
ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン薬はドーピング薬剤リストに含まれていませんので申請なしに使用可能です。
アスリートの喘息の長期管理は基本的に通常の喘息患者と同じで、喘息をコントロールし、必要に応じて運動誘発喘息を予防する治療を行うことが大切になります。
(喘息予防・管理ガイドライン2015より)







有名な喘息のアスリート

喘息のアスリートしてとして有名なのは(公表済)、スピードスケートの
清水宏保元選手、スキージャンプの竹内択選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手、水泳の入江陵介選手寺川綾選手、山本すず元選手、イアン・ソープ選手、パク・テファン選手、サッカーの岡崎慎司選手、ベッカム選手、バスケットのデニス・ロッドマン選手、陸上の為末大選手、プロ野球の藤川球児選手、菊池涼介選手、小笠原道大元選手、石井一久元選手、、テニスのノバク・ジョコビッチ選手ラファエル・ナダル選手、クビトバ選手、エナン選手、添田豪選手、奈良くるみ選手、レスリングの吉田沙保里選手、柔道の谷本歩美元選手、マラソンのゲブレシラシエ選手、ポーララドクリフ選手、谷川真理選手、ボクシングの八重樫東選手、名城信男選手、プロレスの高山善広選手、ゴルフの丸山茂樹選手、福島晃子選手、相撲元横綱の故隆ノ里関、バレーボールの大山加奈元選手、ボウリングの姫路麗選手など多数の選手がいます。



ストレス

ストレスが喘息有病率を増加させたり、喘息を悪化させる大きな要因となることがあります。中にはストレスが原因で重症の喘息になることもありますので、十分注意してください。
笑う、泣く、怒る、恐れるなどが高じた激しい感情表現は換気亢進や低炭酸ガス血症を生じさせ、結果として気道狭窄を引き起こすため、喘息の発作誘発および増悪因子になりえます。


食べすぎ

食べすぎは発作の引き金になります。とくに夕食の食べすぎに注意してください。
また、喘息の悪いときは食べ物はひかえめにしてください。

腹部の膨満が発作の引き金になるわけで、便秘でも喘息が悪くなることがあります。


肥満

直接因果関係があるかどうかは不明ですが、BMIが高いほど喘息発病リスクは高いことが報告されています。肥満が喘息症状を悪化させ、QOLを低下させる可能性があります。また、肥満は種々の喘息治療薬に対する反応性を低下させるといわれています。ですから、太りすぎには注意しましょう。



飲酒

お酒やビールを飲むと気道のむくみや痰の増加をまねき、日本人では約半数で飲酒により喘息が悪化することがあります(アルコール誘発喘息といいます)。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに代謝され、さらに分解されて酢酸と水に分解されますが、日本人の半数はアルデヒドの分解しにくい体質なので、血中のアルデヒドが上昇します。そのアルデヒドはヒスタミンを遊離させるために、ヒスタミンによって喘息症状が誘発されるのです。(「東田有智監修:患者さんと家族のための気管支喘息の知識」より)
喘息の調子が悪いときはお酒をひかえてください。また、喘息の調子がいいときでも飲み過ぎには注意してください。
「お酒を飲んだら死ぬほど苦しくなった!」という人はよくあります。喘息の調子が悪いときお酒は厳禁です。


入浴

入浴により発作がおこることもあります。
喘息がひどいときやかぜをひいているときはひかえてください。長風呂はさけ、湯冷めに注意してください。

発作のときの入浴は禁物です!
当院では過去25年間に13名の喘息死がありますが、うち風呂での死亡が3名あります。発作のひどいときは入浴は厳禁です。


薬剤

アスピリンなどの解熱鎮痛薬(解熱薬、頭痛薬、かぜ薬、坐薬などに使用)によって誘発される喘息をアスピリン喘息といい、激しい喘息発作をおこすことがあります。アスピリン喘息は成人喘息の10人に1人あるといわれていますので解熱鎮痛剤の使用には十分注意してください。くわしくはアスピリン喘息を参照ください。
また、高血圧や不整脈の薬の一部に喘息を悪化させるものがあり、中には発作時に服用すると危険なものもありますので注意してください。喘息の人は薬のアレルギーをおこしやすい傾向がありますので、その他の薬についても十分な注意が必要です。他院で薬をもらったら、服用して良いかを必ず医師に相談してください。



添加物

アスピリンなどの解熱鎮痛剤で発作をおこす人は、食品や医薬品に使われる添加物でも発作をおこすことがあります。ことに着色料では黄色4号(タートラジン)、防腐剤では安息香酸ナトリウムが重要です。アスピリン喘息の人はこれらの添加物に十分注意してください。


妊娠

妊娠により喘息が悪化することがあります。妊娠中に重い発作を繰り返すと胎児が酸素不足になり脳障害などを起こす危険性があります。
一般に使われている喘息の治療薬で胎児に影響をおよぼすものはほとんどありませんので、発作のときは我慢せず適切な治療を受けてください
妊娠と喘息治療薬については妊娠と喘息治療薬、妊娠と吸入ステロイド薬」については吸入ステロイド薬の副作用にくわしく記載しました。


月経

女性の場合、月経直前や月経中に喘息が悪化することがあります。喘息の治療を受けてい目女性の患者さんの40%が悪くなったという報告もあります。月経前2〜3日が悪くなるピークであることが多いようです。
そのような方は、「コントロールできている治療を続ける」「薬の量を増やす」「あらかじめ用意している薬を服用する」などの配慮が必要です。



職業

職業であつかうものによって喘息(職業性喘息)になる人があります。有名なものにはコンニャク喘息、ソバ喘息、小麦粉喘息、米杉喘息、ホヤ喘息、絹喘息、セメント喘息、メッキ工喘息、薬局アレルギーなどがあります。下に職業性喘息とその関連物質を記載しましたので、自分の職業と喘息が関係ないかを考えてみてください。

           
           職業性喘息とその原因物質
(喘息予防・管理ガイドライン2009より)


A.高分子物質
             植物性物質、動物性物質、その他

看護師、医師、ゴム手袋使用者 ラテックス
こんにゃく製粉作業 こんにゃく製粉
製パン、製麺業、精米業
コーヒー豆取扱者
小麦粉、そば粉、大豆、米ぬか
コーヒー豆
生花業、人工授粉作業、フレーム内作業 花粉、キノコ胞子
魚肉、食品製造業 ユスリカ
実験動物飼育業、獣医、調教師、牧畜業 動物の毛、ふけ、尿蛋白、牧草花粉
研究者、農夫 昆虫(トビゲラ、蝶、バッタ)の羽毛、体成分
かきのむき身・養殖業、真珠養殖業 ホヤの体成分
伊勢エビ漁師 アカウミトサカの体成分
クリーニング業 酵素洗剤

B.低分子物質

             化学物質、薬品、その他

薬剤師、製薬会社従業員 薬剤粉塵(ペニシリン、注射など)
美容師、理容師、毛皮染色業 パラフェ二レンジアミン
染色工場従業員 ローダミン、シカゴ酸
セメント工場従業員、宝飾、メッキ取扱者 クロム、ニッケル、プラチナ
塗装業、ポリウレタン樹脂製造業 イシシアネート(TDI、MDI、HDI)
超合金製造工場従業員 超合金製剤(コバルト)
火薬工場従業員 テトリル
エポキシ樹脂製造業 無水フタル酸
製材業、大工、家具製造業 木材粉塵(米杉、ラワンなど)





大気汚染

大気汚染は気道の粘膜をいため、喘息発作をおこしやすくします。大気汚染物質では工場の煤煙や車の排気ガスが重要です。喘息などアレルギーの病気が年々増えていることと大気汚染は密接な関係があると思われ、国による対策が望まれるところです。



予防接種

予防接種は熱のあるとき、かぜのとき、発作があるときには見合わせてください。喘息があるから予防接種をしてはいけないということはありません。ただし、卵アレルギーのある人はインフルエンザワクチン、麻疹(はしか)ワクチン、ムンプス(おたふくかぜ)ワクチン、風疹ワクチンに十分注意が必要です。日本脳炎ワクチンで喘息発作が誘発されることもあります。
インフルエンザで喘息が悪化することは良く知られています。したがって、インフルエンザで喘息の悪化が予測される人は、
インフルエンザの予防接種がすすめられます。
また、65歳以上で喘息が中等症ないし重症の方では
肺炎球菌ワクチンの予防接種を行われる方が良いと思います。



手術

手術のときに喘息が悪化することがあります。全身麻酔は比較的安全に行なうことができますが、気管内挿管の操作や気管内チューブは、それ自身が気管支収縮のの誘因となることがあり、気管支拡張作用のある麻酔薬を用いて麻酔の導入と維持を行なうことが望まれます。
麻酔薬にははハロタン、エンフルラン、イソフルラン、セボフルランなどがありますが、ハロタン麻酔下ではアミノフィリンやβ
2刺激薬の投与によって心室性不整脈が出現することがあるので、イソフルラン、セボフルランに変更することが望まれます。
静脈麻酔薬としてはチオペンタールやケタミンなどがありますが、チオペンタールはヒスタミン遊離、交感神経系抑制作用があるため喘息患者には不適とされています。
局所麻酔・脊椎麻酔のうち高位脊椎麻酔や硬膜外麻酔では、広い範囲の交感神経ブロックによって気管支収縮や発作を誘発する危険性があります。
一般に喘息の患者さんが手術する際にはステロイド薬を使用することが推奨されています。

手術にあたっては、
術前に十分に喘息をコントロールしておくことが大切になります。症状が不安定で発作があるときは手術を延期するのが妥当ですが、緊急の場合はそれなりの対応を取って手術を行ないます。
症状のコントロールが不十分な場合や1秒量、あるいはPEF値が予測値の80%未満の場合は、経口ステロイド薬の
短期集中内服(20〜40mg/日を3〜7日間)を考慮します。なお、緊急の場合は点滴静注にてステロイド薬を投与します。
手術前6ヵ月以内に全身性のステロイド薬を服用していた患者さんでは、術前、術中にステロイド薬の点滴静注を行なうのが一般的です。
喘息のために薬を服用している患者さんは、手術前も手術後も引き続き治療が必要で、
自分の判断で中止したりしないことです。手術にあたっては、行なっている喘息治療のすべてについて手術をされる先生に伝えることが大切です。また、術後に鎮痛剤を投与されることもありますので、アスピリン喘息の有無を必ず主治医の先生に伝えることも大切なことになります。




修学旅行と喘息
小・中学生のときで最も喘息の発作を起こす可能性が高いのは修学旅行のときです。とくに、旅館やホテルの部屋で発作を起こすことがしばしばあります。楽しさのあまり部屋の中であばれたりしてほこりを立てること、フトンにほこりあることなどが関係しているようです。
修学旅行中に旅館で発作が出て病院に行ったという子を良く経験しますが、これでは、せっかくの楽しい修学旅行も苦い思い出になってしまいます。
かなり喘息がひどかった中学生が広島方面に修学旅行したとき、宮島の旅館で発作を起こしたことがあります。その中学生は外に出れば喘息が軽くなることを知っていたので、厳島神社と海を見ながら朝まで外にいたそうですが、なんと、担任の先生は朝までその中学生と一緒に付き添ってくれたそうです。後でその話を聞いた私は、もっと事前に発作が起こらないようにしておいてあげれば良かったと反省させられました。
以来、修学旅行のときは発作が起こったときの対応、発作を起こさないための薬の服用など細心の注意をはらうようになりました。

修学旅行のときは、「発作が起こりやすい!」ということを十分認識して、事前に発作時の対応などについて主治医の先生に相談しておいたほうが良いと思います。
最近は吸入ステロイド薬の適切な使用で修学旅行中に発作を起こす子はほとんどいなくなりましたが、治療の必要がないほど良くなっていた子が修学旅行では発作が出たということもありますので、十分注意していただきたいと思います。


タバコをやめたら喘息発作は消失!
20年近く毎年何回か発作が出て受診していた患者さんがありました。一時は発作止めの吸入器を頻繁に使っていましたが、吸入ステロイド薬を使用するようになって、あまりひどい発作も出なくなっていました。ところが、その患者さんが全く来院しなくなったので、診察で来院された家族の方にお聞きしたら「タバコを止めたら、まったく発作は出なくなり、治療もしていません」と言われたのです。この患者さんは20年近くタバコ(この患者さんは喘息があってもずっとタバコを吸い続けていたのです)で喘息発作が誘発されていたというわけです。そして、タバコを止めたら治療も必要がないほど良くなったのです。
喘息でタバコを吸っている患者さんが時々ありますが、タバコを吸っている患者さんでは禁煙が治療の第一歩です。タバコを吸いながら何とか喘息を治療しようと考えるのは絶対に禁物です。(2004.8.12)


退職したら喘息が著明に改善!
53歳のときから定期的に当院を通院して喘息の治療を受けていた患者さんがあります。患者さんは中等症持続型の喘息で、吸入ステロイド薬を使用していてもピークフロー(エアゾーン)が320ml/分前後で、階段の昇りや重いものを持ったときに呼吸困難を来たしていました。そして、最近までフルタイド400μg/日とセレベント100μg/日で何とか仕事をしていました。
その患者さんは60歳となり定年退職されたのですが、退職とともにピークフローは450ml/分前後まで上がり、呼吸困難もなくなり、フルタイド200μg/日とセレベント50μg/日にしてもまったく良い状態になりました。そのため、月1回の受診も2ヶ月に1回となりました。
この患者さんの場合、職業で扱うものが原因になっていることは考えられませんでした。また、それほど重労働しているわけでもありませんでした。
退職したら良くなったという理由が良くわかりませんが、考えられることとしては、会社の環境が非常に悪かった、または、会社勤務が過度のストレスになっていたぐらいではないかと思います。

私は、喘息治療ではとにかく吸入ステロイド薬が中心であると考え、その普及に力を注いでいるつもりですが、このような患者さんもあり、喘息治療の難しさというものをつくづくを感じさせられています。(2004.8.12)


ソバアレルギーの患者さんがソバを食べなかったのに喘息大発作に!
大変古い話ですが、当院ではかつて喘息が悪くて旅行などに行けない患者さんと1年に1回バス旅行に行くということを行っていました。私自身と看護師さんが付き添って、発作が起こればいつでも対応できる準備をして出かけていました。
ある年、信州に出かけた時のことです。喘息の患者さんのお姉さんもバス旅行に参加され、その方はソバアレルギーがありました。信州ですからドライブインでの昼食にソバが出ましたが、ソバアレルギーのあるその方は、出されたものでソバは食べませんでした。ところが食事をしてまもなく「息苦しくなった」と言われ、次第に著しい呼吸困難となり、その場で応急処置はしたのですが改善されず、救急車で病院に緊急入院されました。病院での処置で元気に回復され、その旅行の帰りに入院先の病院へ迎えに行き無事帰ることが出来ました。
ソバを食べていないのに喘息発作がなぜ起こったかなのですが、実はお吸い物が出て、調理場でソバのつゆと、お吸い物のつゆに使うしゃもじが全く同じものが使われていたのです。すなわち、お吸い物の中にソバのつゆが入ったのです。それでソバアレルギーの反応が起こったというわけです。この方には、旅行に行くときは必ず弁当持参するように指示しました。
また、親子でうどん屋さんに行かれた方がいて、ソバアレルギーのないお父さんはソバを、ソバアレルギーのある娘さんはうどんを食べたそうですが、途中でお父さんが娘さんのうどんが少し食べたいと、娘さんのうどんの八チにソバを食べていた箸を入れて食べたのです。その後、娘さんがうどんを食べたら息苦しくなったそうです。娘さんのうどんのつゆにはお父さんが入れた箸でソバが入ったというわけです。
このように、ソバアレルギーは少量でも呼吸困難発作を起こすことがありますので、十分な注意が必要です。


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