小児喘息と吸入ステロイド薬



わが国では、小児の喘息に吸入ステロイド薬はあまり使われてきませんでしたが、2002年11月に吸入ステロイド薬を骨格した「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2002」が発表され、小児でも喘息治療の第1選択薬として位置づけられるようになりつつあります。
私自身は38年前から小児に吸入ステロイド薬を使用してきましたので、その経験をふまえて小児の吸入ステロイド薬について説明したいと思います。


小児でも吸入ステロイド薬は世界的な流れ

喘息は「気道の炎症」という概念が確立されるようになり、抗炎症作用が強力で副作用が少ない吸入ステロイド薬喘息治療の第1選択薬として位置づけられるようなりました。
世界的な喘息予防・管理国際指針GINA2003では、成人、小児ともに吸入ステロイド薬が第1選択薬になっていますし、日本でも日本小児アレルギー学会が吸入ステロイド薬を中心としたガイドラインを発表しています。
世界では、小児でも以前から吸入ステロイド薬を使用されていましたが、わが国であまり使われてきませんでした。その最大の理由は「吸入ステロイド薬を小児に使用しても安全か?」という問題があったからだと思います。
しかし、世界的にその高い安全性を示すデータが多く示されたことから、わが国でも吸入ステロイド薬を中心としたガイドラインが発表されたというわけです。
なお、成人ではすでに1993年に吸入ステロイド薬を柱にすえたガイドラインが発表されており、最近では喘息治療の中心的薬剤として広く使われるようになっています。





小児に吸入ステロイド薬は安全か?

吸入ステロイド薬=ステロイド=副作用と思うお母さん方が大変多いと思います。そのため、「できるだけ使いたくない!」ということになりますが、小児への安全性はほぼ確立されています。
わが国で最後まで問題となった身長の発育遅延についても、何ら影響ないことが世界的に証明されています。吸入ステロイド薬と小児の発育遅延について、現在は、一時的に成長へのわずかな影響が見られても、長期的な成長(最終身長)に影響を与えないという結論に達しています。
私は、38年にわたって1000例以上の小児に吸入ステロイド薬を使用してきましたが、副作用が問題となった患者さんはありませんでした。
私は以前から、小児でもコントロールの悪い患者さんでは積極的に吸入ステロイド薬を使用すべきだと思ってきました。というのは、通常の使用量では安全性に問題がないと確信していたからです。そして、実際に何か問題になったこともありませんでした。
とはいっても、長期に高用量を使うと問題になります。
しかし、小児の場合、高用量を使わなくても症状改善するケースが非常に多いこと、また、成人のように長期間使う必要のある小児は大変少ないことから、長期・高用量が問題になることは非常に少ないといえます。
吸入ステロイド薬はなぜ副作用が少ないかについては、本ホームページの吸入ステロイド薬の副作用に書いてありますのでご参照ください。

フルタイドの安全性

フルタイドの安全性
が新聞に掲載されたことで心配されている方も多いと思いますが、私自身は通常に使用する量ではまったく問題ないと考えています。
この記事は、Todd(2002年)らが吸入ステロイド薬による急性副腎不全を英国で調査した結果、
急性副腎不全(33人:小児28人、成人5人)を起こした大部分がフルタイド使用例であったことを報告したことから問題にされたわけですが、急性副腎不全を起こした症例のフルタイド使用量は小児で500〜1,000μg/日、成人で1,000〜2,000μg/日とわが国の最大承認用量を超える高用量で、通常に使われる量ではありません。実際、私はこれほどの高用量を使用した患者さんは1人もありません。
Toddらはフルタイドを高用量を使用するときには十分な注意が必要ということを述べていると思われますが、これは他の吸入ステロイド薬でも同様だといます。
私は1978年以来、38年間にわたって非常に多くの患者さんに吸入ステロイド薬を使用してきましたが、急性副腎不全は1例も経験しておりません。したがって、
吸入ステロイド薬によって急性副腎不全が起こることは極めてまれなことだと思っています(私自身は適正に使用していればあり得ないとことと思っています)。そして、1998年11月末に発売されて以来、積極的にフルタイドを使用していますが、全身的への影響が問題になったことはありませんし、フルタイドが危険であるという印象を受けたことはありません
実際、
フルタイドが他の吸入ステロイド薬より全身への影響(骨代謝、成長、副腎抑制など)が少ないという文献も多く発表されています。また、私自身の臨床経験でも、他の吸入ステロイド薬よりもフルタイドの方が全身への影響が少ないのではないかという例を経験しています。ですから、フルタイドを他の薬剤に変更する必要性はまったく感じておりませんし、フルタイドの方がむしろ安全なのではないかという印象さえ持っております。
ただし、
不必要に高用量を使うことは避けるべきだと思いますし、高用量を使う場合は慎重に投与すべきだと思っています。そして、そのことは他の吸入ステロイド薬でも同じことだと思っています。(べコタイド、アルデシンなら心配なしという問題ではないと考えます。なお、べコタイド、アルデシンは2004年に発売中止となりました)
私は、わが国での最大承認用量を超える高用量での特別な問題が、たった1つの文献で通常使用量でも問題にされてしまうことを危惧しています。
なお、当院では現在までフルタイドの使用で全身的に何ら問題は起こっておらず、その有用性と安全性から成人、小児とも第一選択薬として多用しています。
全身への影響を考慮して、フルタイドの使用を控えるとか、フルタイドを他の薬剤に変更するとかはまったく行っておりませんし、その予定もありません。すなわち、適正に使用していればまったく問題なしと考えています。

※参考
GINA2002では「乳幼児・小児に対する長期管理薬計画の作成」の項で吸入ステロイド薬の視床下部・下垂体・副腎系に関しては
「様々な吸入ステロイド薬や吸入器によって違いが生じるが、
400μg/日未満(BDP換算=FP200μg/日未満)の吸入ステロイド療法では、通常小児においては、いかなる視床下部・下垂体・副腎系の抑制も生じない。高用量の場合は、感度の高い方法では視床下部・下垂体・副腎系機能の小さな変化が検出され得る。これらの所見の臨床的な関連性はさらなる研究が必要である」と記載されています。
なお、同じく
「成人に対する長期管理薬計画の作成」の項では、「いくつかの比較研究によりブデソニド(パルミコート)やフルチカゾン(フルタイド)は、BDP(アルデシン、べコタイド)やトリアムシノロン(日本未発売)よりも全身への影響が少ないことが明らかとなった」とも記載されており、パルミコートやフルタイドの方がアルデシン、べコタイドより全身への影響が少ないことを指摘しています。(2004.5.24.記載)




小児で使用が認められている吸入ステロイド薬


薬剤名 製剤の形式 商品名 規格(1噴霧)
べクロメタゾン  エアゾール  キュバール  50μg、100μg
 シクレソニド  エアゾール  オルベスコ  50μg、100μg、200μg
フルチカゾン  エアゾール  フルタイド エアゾール  50μg、100μg
 ドライパウダー  フルタイド ロタディスク  50μg、100μg、200μg
 フルタイド ディスカス  50μg、100μg、200μg
 フルチカゾン
   合剤
 エアゾール  アドエア エアゾール  50μg
 ドライパウダー  アドエア ディスカス  100μg
 ブデソニド  ドライパウダー  バルミコート
    タービュヘイラー
 100μg、200μg
 吸入液  バルミコート吸入液  0.25mg、0.5mg



べクロメタゾン フルチカゾン
キュバール フルタイド エアゾール フルタイド ロタディスク フルタイドディスカス
エアゾール ドライパウダー

シクレソニド ブデソニド
オルべスコ パルミコート
パルミコート吸入液
エアゾール ドライパウダー 吸入液

フルチカゾン合剤
アドエア100ディスカス アドエア50エアゾール
ドライパウダー エアゾール

フルチカゾン(吸入ステロイド薬)とサルメテロール(長時間作用性吸入β2刺激薬)の合剤(アドエア)は2009年1月に小児気管支喘息適応となりました。2011年10月発表された小児気管支喘息ガイドライン2012で6〜15歳および2〜5歳のステップ3およびステップ4における選択肢の一つとして記載されています。なお、アドエアディスカスには100、250、500がありますが、小児適応になっているのはアドエア100ディスカスのみです。
また、2009年4月にはエアゾール製剤のアドエア50エアゾールが発売され、小児適応となっています

パルミコート吸入液はネブライザーを使用して吸入しますが、ジェット式ネブライザーが良いとされています。そこで、ネブライザー機器の種類、製品名、販売元、価格を一覧表に示しましたのでご参考下さい。
パルミコート吸入液は
ジェット式ネブライザーが良いとされていましたが、最近の報告ではメッシュ式でも特に問題ないとされているようです。

ネブライザー機器製品一覧表
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005より

種類 製品 販売 価格(税込)
ジェット式 パリ・ユニライト 松吉医科器械 25,200円
パリ・ターボボーイN
松吉医科器械 29,400円
パリ・ジュニアボーイN
松吉医科器械 33,600円
ネスコジェットAZ-11 アルフレッサファーマ 36,000円
日商式コンプレッサ アルフレッサファーマ 53,000円
ヴィガーミスト フジ・レスピロニクス 19,740円
ミリコン-S 新鋭工業 36,000円
アシスター-KN-180 新鋭工業 22,400円
プロモエイドコンパクト3655 シズメメディカル 23,500円
プロモエイド5650N シズメメディカル 36,000円
ボヤージ 東京エムアイ商会 25,000円
プロムナードミニ 東京エムアイ商会 25,000円
ユーロゾル 東京エムアイ商会 16,500円
スカイネブ 東京エムアイ商会 22,000円
NE-C28 オムロン 21,000円
NE-C29 オムロン 34,650円
NE-C30 オムロン 25,200円
メッシュ式 パリ・エモーション 松吉医科器械 39,900円
エアロネブ ゴー 東レ・メディカル 47,000円
NEU-22 オムロン 30,000円


キュバールはそのまま直接吸入する方法(オープンマウス法またはクローズドマウス法)とデュオペーサーという吸入補助器具を使用して吸入する方法がありますが、小児ではデュオペーサーを使用して吸入する方がやりやすいと思います。
なお、噴射速度の速いフルタイドエアゾール、アドエアエアゾールはスペーサー(吸入補助器具:エアロチャンバープラスなど)を使って吸入しますが、ドライパウダー形式のフルタイド ロタディスクはディスクへラー(吸入器具)を使って、フルタイド ディスカスは薬が内蔵されているディスカスという吸
入器具を使って吸入します。
お、ドライパウダー製剤は吸入する力の弱い小児では上手に吸えない場合があります。そんな場合はエアゾール製剤を使用します。
スペーサーでも吸入が難しい乳幼児では、エアロチャンバープラスマスクタイプ(フルタイドエアゾール、アドエアエアゾールの場合)やボアテックスマスク付などの吸入補助器具を使用して吸入します。
それでもうまく吸入できない場合は、パルミコート吸入液をネブライザーで吸入することになります。
吸入ステロイド薬はすぐに効果が現れる薬ではありません。通常、使用を開始してから3〜4日後から効果があらわれはじめ、1ヶ月でピークに達するといわれています。
もちろん、吸入ステロイド薬は予防する薬ですから発作のときに使用しても効果がありません。





小児における吸入ステロイド薬の使用量

小児における吸入ステロイド薬の使用量は以下の通りです。

  吸入ステロイド薬の用量対比表(単位はμg/日)
低用量 中用量 高用量
FP、BDP、CIC 〜100 〜200 〜400
BUD 〜200 〜400 〜800
BIS 〜250 〜500 〜1000
FP:フルチカゾン
BDP:ベクロメタゾン
CIC:シクレソニド
BUD:ブデソニド
BIS:ブデソニド吸入懸濁液

FP(フルタイド)、BDP(キュバール)は添付文書に小児の1日最大用量は200μgを限度とすると記載されていますが、BUD(パルミコート)は小児の1日最大用量は800μgまでと記載されいます。なお、CIC(オルベスコ)には小児の1日最大用量の記載はありません。
当院では、ほとんど5歳以上の小児しか使用していませんが、外来だけということもあり、大半の小児は1日100μgを使用しています。
吸入ステロイド薬は、必要十分な最少量の使用というのが理想的といえます。
むやみに多目に使用することは控えた方が良いと考えます。

小児の吸入ステロイド薬使用内訳(当院)

2008年に当院を受診した小児の喘息患者は253名で、うち吸入ステロイド薬を使用したのは164名(64.8%)でした。使用した薬剤は以下のとおりで、エアゾール製剤の使用は0〜5歳では64.1%で、6〜15歳では20.4%でした。

なお、エアゾール製剤は全員でスペーサー(ボルマチックソフトまたはデュオペーサー)を使用しています。
これ以外、新たにパルミコートとオルベスコが小児適応になっています。

商品名 フルタイド
ディスカス
フルタイド
エアゾール
キュバール
エアゾール
アドエア
ディスカス
0〜5歳 14名 7名 18名 0名 39名
6〜15歳 99名 7名 6名 13名 125名
113名 14名 24名 13名 164名






小児における吸入ステロイド薬の使用方法

吸入ステロイド薬を使用するにあたってのポイントは以下のとおりです。
(1) 適切な用量を使用する 適切な用量を使用しないと効果があがりません。指示された量をきちんと吸入することが大切です。自分勝手な判断で減らしたりすることはよくありません。
(2) 正しく吸入する 正しく吸入しないと効果があがりません。
正しく吸入してください!

(3) 毎日定期的に吸入する 指示された量を毎日規則的に、しかも継続して使用することが大切です。「良くなったから」といって中断したり中止すると、再発したり症状が不安定になります。喘息を安定させるためには良くなっても続けることが大変重要です。
(4) 使用後は必ずうがいをする 口の中やのどについた薬によって、口の中やのどの刺激感、カンジダ症などの局所的副作用がおこることがあります。したがって、使用後にはうがいをすることが大変重要です。
必ずうがいをしてください!

吸入ステロイド薬にはエアゾール製剤ドライパウダー製剤がありますが、エアゾール製剤はスペーサーを使って吸入します。
スペーサーを使わなくても吸入できますが、スペーサーを使用すると吸いやすく、吸入効率も良く、嗄声などの局所的副作用を防ぐことが出来ますので、当院では
噴射速度の速いフルタイドエアゾールおよびアドエアエアゾールを使う場合、全員の患者さんでスペーサー(エアロチャンバープラス)を使用しています。
フルタイドロタディスク、フルタイドディスカスは一定以上の吸気速度がないと上手に吸うことが出来ません。あくまで私の経験ですが、フルタイドロタディスク、フルタイドディスカスを使える年齢は5歳以上なら可能で、7〜8歳以上なら確実に使えると思います。
吸気速度がどのくらいあるかは、インチェックという器具で測定することができます。私のところでは50L/分以下であればスペーサーを使って吸入するエアゾール製剤(フルタイドエアゾール)を使っています。
なお、グラクソ・スミスクライン社では、フルタイドディスカスは吸気速度が30L/分以上あれば、十分吸入できているとしています。
また、同社ではディスカスが確実に正しく吸入できるように練習するため
の器具ディスカストレーナーを作製しております。(くわしくは吸入ステロイド薬の使い方をご参照ください)


フルタイドエアーゾール、アドエアエアゾールの使用方法



フルタイドエアゾール


アドエアエアゾール

1.スペーサーを使って吸入します
2.使用前に吸入器をよく振ります
3.スペーサーに吸入器を装着します
4.スペーサーの中に薬を1噴霧します
5.息をはきます
6.ゆっくり深く吸います
7.そのまま
息止め(約5秒間)をします
8. もう一度5〜7を繰り返します

9.うがいをします

指示された量が1回に2噴射以上であれば、1回ごとに4〜8を繰り返し、最後に
うがいをします。
ボルマチックの中に1回に2噴射入れると、治療効果が落ちる可能性があります。


スペーサー


噴射速度の速いフルタイドエアゾール、アドエアエアゾールの使用にあたっては、吸入効果を高めるために、また局所的副作用(口やのどの刺激感、口腔カンジタ症など)を防ぐためにスペーサーを使用するのが原則と考えています。スペーサーにはエアロチャンバープラス、オプチへラー、ボアテックス、マイクロへラーなどがあります。
写真上はエアロチャンバープラス、中はボアテックス、下はオプチヘラーです。
日本アレルギー学会では洗剤でコーティングされたエアロチャンバープラス、ボアテックス、オプチヘラーの3種類が推奨できるとしています。

2016年4月はからはスぺーサーが保険適応になります。ただし、処方箋で薬局で投与した場合のみになります。






上: エアロチャンバー
プラス
ホアテックス
下: オプチへラー

マスク付きスペーサー

キュバールが吸入が困難な乳幼児では、写真のようなマスク付きスペーサーを使用して吸入します。
マスクで口と鼻をおおって空気が漏れないように密着させ、スペーサー内に薬を噴射した後、ゆっくり深く吸入します。
そして、マスクで鼻と口をおおったままゆっくり息をはき出します。その後、5回呼吸をくり返します。これで1吸入が終わります。1度に2吸入を指示されている場合は、もう1度最初から同じことをくり返します。


エアロチャンバープラス
(マスクタイプ)



ボアテックス
(マスクタイプ)




フルタイド ロタディスクの使用方法



 1.カバーをあけます
 2.ディスクをディスクへラーに装着します
 3.ディスクに穴をあけます
 4.軽く息をはきます
 5.はやく深く吸います
 6.そのまま軽く息止め(数秒間)をします
 7. もう一度4〜6を繰り返します
 8.カバーをとじます
 9.うがいをします

フルタイド ディスカス、アドエアディスカスの使用方法




 1.カバーをあけます
 2.レバーを押します
 3..はやく深く吸います
 4.そのまま軽く息止め(数秒間)をします
 5.カバーをとじます
 6.うがいをします

パルミコートの使用方法


 1.キャップを回して外します
 2.回転グリップを「クルッ」と右に止まるまで回します
  3.回転グリップを「カチッ」と左に止まるまで回します

 3.吸入口をくわえて.はやく深く吸います
 4.キャップを閉めます。
 5.うがいをします


キュバール、オルベスコの使用方法




 キュバール、オルベスコは

 ○オープンマウス法
 ○クローズドマウス法
 ○デュオペーサー(キュバール)
   専用スペーサー(オルベスコ)を使用する方法

 のいずれかの方法で吸入しますが、使用方法につい
 ては
吸入ステロイド薬の使い方に写真やイラストでわ
 かりやすく説明してありますのでご覧下さい。

吸入ステロイド薬の使用方法については、吸入ステロイド薬の使い方に写真やイラストでわかりやすく説明してありますのでご覧下さい。



小児における吸入ステロイド薬の使用ポイント
なぜ吸入ステロイド薬を使用するかの意味を理解する。
吸入ステロイド薬が中心的薬剤であることを認識とて使用する。
吸入ステロイド薬は非常に副作用が少ないことを認識して使用する。
正しく吸入できているか、使用量は適切か、規則的に吸入しているかが吸入ステロイドの薬の治療効果を上げる使用上のポイントです。
吸入速度が低い小児では、スペーサーまたはデュオペーサーをを使ったエアゾール製剤を使用した方が適切です。
中止や減量は自分で判断せず、医師の指示にしたがってください。
吸入ステロイド薬にリバウンドはありません。





小児における吸入ステロイド薬の使用経験

当院では、すでに30年以上前から小児(3歳から15歳)に吸入ステロイド薬を使用してきており、500人以上の小児に使ってきましたが、治療効果に優れ、,副作用もほとんどない薬というのが私の印象です。
全身的副作用が問題となったケースはまったくありません。
喘息がコントロールされていない小児に吸入ステロイド薬を使用すると非常に良い反応で効果を示します。小児では90%以上で明らかな改善が見られます。成人よりもはるかに効果的です。
発作はほとんど起こらなくなりますし、たとえ起こっても発作は軽くてすみます。
小児では長期間継続することはほとんどありません。一部の小児を除いて、通常1〜3年で中止が可能というのが現状です。
吸入ステロイド薬を使用していても症状が改善しない場合は、正しく吸えていないか、使用量が少ないかです。
吸入ステロイド薬を発病早期に使用すると非常に経過は良いようです。
吸入ステロイド薬による喘息の早期治療は大変意義のあることだと私は考えています。
「なるべく使いたくない」と思われる方も多いようですが、副作用はほとんど問題はありませんので、コントロールが悪ければ積極的に使うべきだと思います。





  小児気管支喘息のガイドライン


小児気管支喘息治療・管理ガイドライン 20012 
(日本小児アレルギー学会)

2011年10月に小児気管支喘息ガイドラインが改訂されましたので、小児気管支喘息ガイドライン2008を小児気管支喘息ガイドライン2012に書き換えました。

小児気管支喘息ガイドライン2012は、従来の小児気管支喘息ガイドライン2008と基本的に著しい変化はありませんが、 今回の改訂では、成人喘息のガイドライン(JGL2009)と同様に「喘息コントロール状態の評価」が新たに記載されました。小児気管支喘息の長期管理に関する薬物療法プランもJGLと同様に重症度別ではなく治療ステップ別になりました。薬物療法プランはJPGL2008と同様に6〜15歳、2〜5歳、2歳未満にわけられていて、内容的には大きな変化はありません。
ずれの薬物療法プランでも、新たに従来適応となっていなかった吸入ステロイド薬が適応になった(パルミコート、オルベスコ)こともあり、吸入ステロイド薬の用量は低用量、中用量、高用量と記載が変更されました。
6〜15歳では、
治療ステップ2の追加治療でテオフィリン徐放製剤が(考慮)になり、ステップ3の追加治療からDSCG(インタール)が削除されました。治療ステップ4の追加治療で高用量SFC(アドエア)が記載されています。
2〜5歳では、
治療ステップ2の基本治療で吸入ステロイド薬(考慮)から(考慮)が削除され、追加治療でテオフィリン徐放製剤が削除されました。ステップ3の追加治療からDSCG(インタール)が削除され、テオフィリン徐放製剤が(考慮)に変更されました。治療ステップ4の基本治療の併用薬からDSCG(インタール)が削除され、SFCに変更が新たに追加されました。追加治療で高用量SFC(アドエア)が記載されています。
2歳未満では、
治療ステップ3の追加治療でDSCG(インタール)、テオフィリン徐放製剤(考慮)が削除されました。治療ステップ4の基本治療の併用薬からDSCG(インタール)が削除されました。
以上が薬物療法プランの変更点ですが、吸入ステロイド薬が中心的治療薬として位置付けられている点で従来通り変化はなく、
DSCG(インタール)、テオフィリン徐放製剤の位置づけが後退いるのが特徴です。

喘息治療の目標

最終的には寛解・治癒を目指すが、日常の治療の目標は
 症状の
コントロール
β2刺激薬の頓用が減少、または必要がない。
昼夜を通じて症状がない
 呼吸機能の
正常化
ピークフロー(PEF)やスパイログラムがほぼ正常で安定している。
気道過敏性が改善し、運動や冷機などによる症状誘発がない。
 QOLの改善 スポーツも含め日常生活を普通に行うことができる。
治療に伴う副作用が見られない。


コントロール状態の評価

評価項目 コントロール状態
良好
(すべての項目が該当)
比較的良好
不良
(いずれかの項目が該当)
:軽微な症状 なし ≧1回/月<1回/週 ≧1回/週
明らかな喘息発作 なし なし ≧1回/月
日常生活真制限 なし なし(あっても軽微) ≧1回/月
β2刺激薬の使用 なし (≧1回/月)<1回/週 ≧1回/週

※1 コントロール状態を最近1ヶ月程度の期間で判定する。
※2 軽微な症状とは、運動や大笑い、啼泣の後や起床時に一過性に見られるがすぐに消失する咳や喘鳴、短時間で覚醒することのない夜間の咳き込みなど、見落とされがちな症状を指す。
※3 明らかな喘息発作とは、咳き込みや喘鳴が昼夜にわたって持続あるいは反復し、呼吸困難を伴う定型的な喘息症状を指す。
※4 可能な限りピークフロー(PEF)やフローボリューム曲線を測定し、「良好」の判定には、PEFの日内変動が20%以内、あるいは自己最良値の80%以上、1秒量(FEV1)が予測値の80%以上、β2刺激薬反応性が12%未満であることが望ましい。
※5 評価に際し、最近1年間の急性増悪による入院や全身性ステロイド薬投与などの重篤発作、あるいは症状の季節性変動など、各患者固有の悪化因子(リスク)を考慮して治療方針決定の参考にする。


現在の治療ステップを考慮した小児気管支喘息の重症度評価

症状のみによる重症度
(見かけ上の重症度)
現在の治療ステップを考慮した重症度(真の重症度)
治療
ステップ1
治療
ステップ2
治療
ステップ3
治療
ステップ4
間欠型
・年に数回、季節性に咳嗽、軽度
 喘鳴が出現する
時に呼吸困難を伴うが、β2刺激
 薬頓用で短期間で症状が改善
 し、持続しない。
間欠型 軽症
持続型
中等症
持続型
重症
持続型
軽症持続型
・咳嗽、軽度喘鳴が1回/月以上、
 1回/週未満
時に呼吸困難を伴うが、症状は短
 く、日常成果が障害されることは
 少ない。
軽症
持続型
中等症
持続型
重症
持続型
重症
持続型
中等症持続型
・咳嗽、軽度喘鳴が1回/週以上、
 毎日は持続しない。
・時に中・大発作となり日常生活や
 睡眠が障害されることがある。

中等症
持続型
重症
持続型
重症
持続型
最重症
持続型
重症持続型
・咳嗽、喘鳴が毎日持続する。
・週に1〜2回、中・大発作となり日
 常生活や睡眠が障害される。


重症
持続型
重症
持続型
重症
持続型
最重症
持続型



長期管理における薬物療法の開始

少な目の薬剤で開始して良好なコントロールが得られるまで徐々に薬物の増量を図るよりも、早期に十分な効果が得られたのちに良好な状態を維持できる必要最少量まで徐々に減量するほすが、患児の生活の質(QOL)の向上のためには好ましいと考えられる。


小児気管支喘息の長期管理に関する薬物療法プラン (6歳〜15歳)

治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4



発作の強度に応じた薬物療法 吸入ステロイド薬
(低用量)
*2
and/or
あるいは
・ ロイコトリエン
 受容体拮抗薬*1
 and/or

・DSCG
吸入ステロイド薬
(中用量)*2
吸入ステロイド薬
(高用量)*2

以下の使用も可

・ ロイコトリエン受容
 体拮抗薬
*1
テオフィリン徐放製
 剤

・DSCG
・長時間作用性β2
 刺激薬の併用ある
 い はSFCへの変
 更



・ ロイコトリエン
 受容体拮抗薬*1
 and/or

・DSCG*1
テオフィリン
 徐放製剤
(考慮)
ロイコトリエン受容体拮抗薬*1
テオフィリン徐放製

長時間作用性β2刺激薬の追加あるいはSFCへの変更
以下を考慮
・ 吸入ステロイド薬
 のさらなる増量あ
 るい は高用量SFC

・ 経口ステロイド薬
     DSCG:クロモグリク酸ナトリウム
     SFC:サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル配合剤
*1 その他の小児喘息に適応のある抗アレルギー薬(Th2サイトカイン阻害薬など)
*2 各吸入ステロイド薬の用量対比表(単位はμg/日)
低用量 中用量 高用量
FP、BDP、CIC 〜100 〜200 〜400
BUD 〜200 〜400 〜800
BIS 〜250 〜500 〜1000
FP:フルチカゾン
BDP:ベクロメタゾン
CIC:シクレソニド
BUD:ブデソニド
BIS:ブデソニド吸入懸濁液

@
長時間作用性β2刺激薬は症状がコントロールされたら中止するのを基本とする。
A SFCへの変更に際してはその他の長時間作用性β2刺激薬は中止する。SFCと吸入ステロイド薬の併用は可能であるが、吸入ステロイド薬の総量は各ステップの吸入ステロイド薬の指定範囲内とする。
B 治療ステップ3の治療でコントロール困難な場合は小児の喘息治療に精通した医師の下での治療が望ましい。
C 治療ステップ4の追加治療として、さらせ高用量の吸入ステロイド薬やSFC、経口ステロイド薬の隔日投与、長期入院療法などが考慮されるが、小児の喘息治療に精通した医師の指導管理がより必要である。



小児気管支喘息の長期管理に関する薬物療法プラン (2歳〜5歳)

治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4



発作の強度に応じた薬物療法 ・ ロイコトリエン
 受容体拮抗薬*1
 and/or
・DSCG

 and/or
吸入ステロイド薬
  (低用量)*2
吸入ステロイド薬
  (中用量)*2
FP or BDP 100〜150μg/日、BIS 0.5mg/日)
吸入ステロイド薬
  (高用量)
*2

以下の併用も可
・ ロイコトリエン
 受容体拮抗薬*1
テオフィリン
 徐放製剤

・長時間作用性
 β2刺激薬の併用
 
あるいは SFC
  の変更




・ ロイコトリエン
 受容体拮抗薬*1
 and/or
・DSCG
ロイコトリエン受容体拮抗薬*1
長時間作用性β2刺激薬の追加あるいはSFCへの変更
テオフィリン徐放製剤
(考慮)
以下を考慮
・ 吸入ステロイド薬
 のさらなる増量あ
 るい
は高用量SFC
・ 経口ステロイド薬
    DSCG:クロモグリク酸ナトリウム
    SFC:サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロピオン酸エステル配合剤
*1 その他の小児喘息に適応のある抗アレルギー薬(Th2サイトカイン阻害薬など)
*2 各吸入ステロイド薬の用量対比表(単位はμg/日)
低用量 中用量 高用量
FP、BDP、CIC 〜100 〜200 〜400
BUD 〜200 〜400 〜800
BIS 〜250 〜500 〜1000
FP:フルチカゾン
BDP:ベクロメタゾン
CIC:シクレソニド
BUD:ブデソニド
BIS:ブデソニド吸入懸濁液

@ 長時間作用性β2刺激薬は症状がコントロールされたら中止するのを基本とする。長時間作用性β2刺激薬ドライパウダー定量吸入器(DPI)は自力吸入可能な5歳以上が適応となる。
A SFCへの変更に際してはその他の長時間作用性β2刺激薬は中止する。SFCと吸入ステロイド薬の併用は可能であるが、吸入ステロイド薬の総量は各ステップの吸入ステロイド薬の指定範囲内とする。SFCの適応は5歳以上である。
B 治療ステップ3の治療でコントロール困難な場合は小児の喘息治療に精通した医師の下での治療が望ましい。
C 治療ステップ4の追加治療として、さらせ高用量の吸入ステロイド薬やSFC、経口ステロイド薬の隔日投与、長期入院療法などが考慮されるが、小児の喘息治療に精通した医師の指導管理がより必要である。



小児気管支喘息の長期管理に関する薬物療法プラン (2歳未満)

治療ステップ1 治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4



発作の強度に応じた薬物療法 ロイコトリエン受容体拮抗薬*1
 and/or
DSCG

吸入ステロイド薬
  (中用量)*2
吸入ステロイド薬
  (高用量)*2
以下の併用も可
ロイコトリエン受容体拮抗薬*1



ロイコトリエン受容体拮抗薬*1
 and/or
DSCG吸入
吸入ステロイド薬
  (低用量)
*2
ロイコトリエン受容体拮抗薬*1
長時間作用性β2刺激薬(貼付薬あるいは経口薬)
長時間作用性β2刺激薬(貼付薬あるいは経口薬)
テオフィリン
 徐放製剤
(考慮)
 (血中濃度
  5〜10μg/ml)

    DSCG:クロモグリク酸ナトリウム
*1 その他の小児喘息に適応のある抗アレルギー薬(Th2サイトカイン阻害薬など)
*2 各吸入ステロイド薬の用量対比表(単位はμg/日)
低用量 中用量 高用量
FP、BDP、CIC 〜100 〜200 〜400
BIS 〜250 〜500 〜1000
FP:フルチカゾン
BDP:ベクロメタゾン
CIC:シクレソニド
BIS:ブデソニド吸入懸濁液

@ 長時間作用性β2刺激薬は症状がコントロールされたら中止するのを基本とする。経口薬は、12時間持続する1日2回投与の薬剤とする。
A テオフィリン徐放製剤は6ヶ月未満の児に原則として対象にならない。適応を慎重に市、痙攣性疾患のある児には原則として推奨されない。発熱時には一時減量あるいは中止するかどうかあらかじめ指導しておくことが望ましい。
B 治療ステップ3以上の治療は小児の喘息治療に精通した医師の指導・管理のもとで行うのが望ましい。
C 治療ステップ4の治療は、吸入ステロイド薬が高用量であるため、十分な注意が必要であり、小児の喘息治療に精通した医師の指導・管理のもと行う。





小児における吸入ステロイド薬の普及は不十分
わが国の小児の喘息患者における吸入ステロイド薬の普及はまだまだ不十分というのが現状です。
その最大の理由は、医師や患者さん、さらには家族の
「ステロイドの副作用に対する不安」だと思います。国民のほぼすべての方は、「ステロイド」というと「副作用」ということを連想されます。したがって、ステロイドという名前のつく薬は「怖い!」「使いたくない!」「使わない方が良い!」と思われるようです。
吸入ステロイド薬はほとんど副作用が無いのが特徴です。ステロイドを内服することと吸入することには大きな違いがあります。内服では副作用を考慮せねばなりませんが、吸入ではほとんど副作用を考慮する必要はありません。(ただし、高用量では注意が必要となります)
しかし、ステロイドという名前がついていると内服薬でも、吸入薬でも、ぬり薬でも同じように扱われてしまうようです。吸入で使う薬の量は内服に比べて非常に微量です。かつ、吸入ステロイド薬で使われている薬は全身への吸収が非常に少ないステロイドが使用されています。
私は、吸入ステロイド薬の使用にあたっては、こうした説明を十分するようにしております。しかし、わが国では使用経験が浅く(とくに、小児では)、説明が不十分という面があるようで、吸入ステロイド薬に対する不安はいまだに解消されていないというのが現状ではないかと思います。
喘息の病態、喘息症状の改善、QOLの向上、喘息の重症化・難治化などを考慮すると、吸入ステロイド薬を積極的に使用すべきであると私は考えていますが、一部でそれがまるで危険なことであるように思われていることもあり、とても残念に思っています。
吸入ステロイド薬が危険であるとするなら、喘息予防・治療・ガイドラインにおいて第一選択薬として位置づけられることはないと思います。
私自身の経験からすれば、ほとんどの小児では少ない量の吸入ステロイド薬で十分な効果が得られ、非常に安全に使用できる薬であると考えています。
気管支拡張薬は「収縮した気管支を拡張する薬だから良い」「抗アレルギー薬はアレルキーに対する治療だから良い」「吸入ステロイド薬はステロイド薬だから良くない」というように、単にネーミングのみで感覚的に薬の評価をしないことが大切だと思います。なお、吸入ステロイド薬を気管支拡張薬、抗アレルギー薬と同じ表現をするとするなら、抗炎症薬ということになります。抗炎症薬と言うと副作用への不安がやわらぐ感じがします。すなわち、そういったネーミングにとらわれずに、ここの薬を評価することも大切なのではないかと思います。
「小児喘息は気管支拡張薬と抗アレルギー薬で何とかなる」という時代はすでに終っているというのが、20年以上小児に吸入ステロイド薬を使用してきた私の考えで、小児においても吸入ステロイド薬を積極的に使うべきだと思っています。
最後に、私は吸入ステロイド薬をすべての患者さんに使うべきとか、どれだけ使用しても安全とかと言っているわけではありません。いうまでもなく、
必要な患者さんに適切な量を使用するのが大原則です。吸入ステロイド薬の使用が必要と考えられるのに使わないこと(過少治療:アンダートリートメント)は大いに問題があるのではないかと思います。また、安全だからと思い込んで吸入ステロイド薬を必要以上過剰に使い過ぎること(過剰治療:オーバートリートメント、わが国では多いと思います)も問題があると思います。(2004.8.13)

小児に吸入ステロイド薬を使用することへの母親の反応
わが国では、吸入ステロイド薬を使用することに対するお母さん方の警戒感・恐怖感は依然として根強いものががあります。ほぼすべてのお母さん方が「ステロイドは怖い!」という認識を持っています。
小児のガイドラインでは、6〜15歳では軽症持続型〜重症持続型jまで吸入ステロイド薬が第一選択薬として位置付けられています。そして、2 ̄5歳、2歳以下でも中等症持続型〜重症持続型まで吸入ステロイド薬が第一選択薬として位置付けられています。したてがって、そうした患者さんに吸入ステロイド薬を使用することは自然のことなのです。しかしながら、お母さん方は
ステロイドということで不安感を持ちます。また、わが国の小児科では吸入ステロイド薬が積極的に使用されてこなかったという歴史もあり、小児科の先生がなかなか使用されないという現実もあるのです。
従来、わが国では抗アレルギー薬にテオドールやホクナリンテープといった気管支拡張剤を使用することが喘息治療の基本となっていましたが、それではなかなか症状の改善が得られないということがわかってきたのです。そして、喘息の病態が気道の炎症ということがわかるようになり、その炎症を抑えることが喘息治療の基本となってきて、
吸入ステロイド薬を中心とした治療が求められるようになってきたのです
「吸入ステロイド薬を投与する際、当院では
「なぜ吸入ステロイド薬を使用すのか」ということと、「吸入ステロイド薬にはほとんど副作用のないこと」「なぜ、副作用がないのか」などを時間をかけて説明しています。
それでも、不安を持っておられるお母さん方は少なくなく、来院しなくなったり、吸入ステロイド薬をやらなかったり、途中で中断してしまう患者さんが多く見られます。そのため、何度も再発をくり返しいるケースが良くあります。
小児の場合、吸入ステロイド薬の量が少なくても非常に効果があり、
一定期間続けるとほとんど症状もなくなり、中止することが出来ます。私は27年前から少なくとも500名以上の小児に吸入ステロイド薬を使用してきましたが、1例も全身的な副作用があった患者さんはありません。また、小児では局所的副作用も非常に少ないです。したがって、必要と思われる患者さんでは吸入ステロイド薬を積極的に使用しています。今までの治療ですと病状が安定して治療が終了できるのに10年以上かかることがしばしばありますが、吸入ステロイド薬を使用すると重症をのぞけは、1〜3,年でほとんど治療が中止できてしまいます。
先般、当院のホームページでも取り上げているイージーアス・アズマ・プログラムの調査を吸入ステロイド薬を使用し経過観察している小児で行いました。その結果は、吸入ステロイド薬のみの使用が全体の約92%であるにもかかわらず、
全くなし(=非常によくコントロールされている)58.4%、緑30.0%(ほぼヒントロールされている)と
非常に良い結果を得ています。
こんなこともあり、私自身はインタール、抗アレルギー薬、テオドール、ホクナリンテープなどに頼る時代は終ったと感じているほとです。
理屈にかなっていて、非常に治療効果があり、副作用がほとんどないのが吸入ステロイド薬であることを、多くのお母さん方に知ってもらいたいと思います。
最後に、驚かれるかも知れませんが、長年喘息の治療薬を多く使ってきましたが、喘息のあらゆる治療の中で最も副作用の少なかった薬は吸入ステロイド薬であったことを述べておきたいと思います
「ステロイドは怖い!」という感覚は、通常使用する吸入ステロイド薬の量では当てはまらない」ということを強く訴えたいと思います。
一定以上の症状があり、病状も不安定の場合に、吸入ステロイド薬を使っていなければ、「まったく治療はなされていないに近い」と言わざるを得ないというのが、私の考えです。(2005.10.28)


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