妊娠と喘息治療薬




喘息があって妊娠された方、喘息があって妊娠の可能性がある方あるいは妊娠を希望されている方は、「妊娠したけど喘息の薬を使っても良いのだろうか?」「妊娠したときに喘息の薬は使っても良いのだろうか?」「妊娠を希望しているけど薬を使っていても良いのだろうか?」といろいろ心配だと思います。
そこで、妊娠と喘息治療薬についてまとめました。

 妊娠と喘息の経過

妊婦の喘息は3.7〜8.4%に認められるといわれていおり、妊娠中の喘息発症はある報告によれば17.1%といわれています。また、妊娠中の喘息の経過については、下記に示すように「悪化する人」、「改善する人」、「変わらない人」があります。

妊娠中の喘息の経過   報告1 悪化1/3、改善1/3、不変1/3
妊娠中の喘息の経過   報告2
悪化30%、改善23%、不変47%

報告1(Weilら:1999年)に示すように妊娠中に喘息が悪化する患者さんは1/3、改善する患者さんは1/3、不変の患者さんは1/3といわれていましたが、最近の米国での4年間の大規模な検討では報告2(Dombrowskiら:2004年)のように報告されています。


現時点では、ごく一部の薬剤を除いて、喘息治療薬による母体および胎児への影響はほとんど認められず、喘息の悪化による母体、胎児の低酸素血症のほうが周有期死亡率の増加や未熟児、低体重児の増加に関与する危険性が大きいため、積極的な妊娠中の喘息管理が重要とされています。




 妊娠と薬の使用時期

妊娠と薬の使用時期について、「おくすり110番」より引用・改変させていただきました。最初にまずこの表をよくご覧いただき、妊娠の時期と薬の影響度を理解していただきたいと思います。(おくすり110番
喘息が妊娠・出産におよぼす影響(喘息予防・管理ガイドライン2006より)

正常妊娠においても、妊婦の呼吸機能に変化が生じ、機能的残気量(FRC)が減少し、妊婦は無意識のうちに過呼吸を行なっていて血中の酸素濃度を高めようとしている。したがって、閉塞性障害を伴う喘息発作は胎児に低酸素血症をもたらしやすく、流産や胎児発育不全、脳障害のリスクファクターとなる
実際、喘息患者では正常妊婦に比較して早産や低体重出産、先天異常の高いことが報告されている。しかし、この中にはコントロール不良例が含まれており、かなり重症の喘息を合併していても、適切にコントロールされていれば、児や母親の死亡率の増加にはつながらないとされている。悪化例の中には妊娠中の薬物使用に対する不安から、患者自身、あるいは医療従事者が必要な抗喘息薬の使用を中止・制限する例が少なからずあり、適切な管理が行なわれれば、妊娠そのものによって喘息が悪化する例はあまり多くないと考えられる。

喘息が妊娠・胎児に与える影響
について簡単にまとめますと、以下のようになります。喘息がコントロールされていないで発作状態になると胎児は低酸素血症となり、下に示すようなさまざまなことが起こる可能性があります。

喘息が妊娠・胎児に与える影響

喘息コントロール不良

喘息症状悪化

発作状態

母体PaO2(動脈血酸素分圧)低下

胎児の低酸素血症

胎児の発育遅延、未熟児出産、低体重児出産、周産期死亡または母体死



妊娠と喘息治療薬

一般に、妊娠中に薬を使用すると催奇性(何らかの奇形児が生まれる可能性)が高くなることは良く知られていることです。それは、薬の種類によって高い、低いがあります。
したがって、可能性の高い薬は
禁忌(絶対に使ってはいけない)となっていますし、可能性が少しあると考えられる薬は慎重投与となっており、通常、妊娠中には使いません。また、可能性があるかどうかハッキリしていない薬も、原則としてなるべく投与しないことになっておりますが、
治療上の有益性が危険を上回ると判断される場合にのみ投与することが原則となっています。
それでは、喘息の治療薬はどうなのかということになりますが、以下に、妊娠中に使わない方がよい薬と妊娠中に使ってもほとんど問題のない薬に分けて示します


   ●安全と考えられる薬  ほぼ安全と考えられる薬   注意が必要な薬


 ○妊娠中に使わない方がよい薬
 経口抗アレルギー薬 :
    
トラニラスト(リザベン)、オキサトマイド(セルテクト)、ペミロラスト
    (アレギサール)、ア
ゼラスチン(アゼプチン)、ケトチフェン(ザジ
    テン)、メキタジン(ニポラジン、ゼスランなど
 ロイコトリエン受容体拮抗薬:
    プランルカスト(オノン)、ザフィルルカスト(アコレート)、モンテル
    カスト(シングレア、キプレス)など

  ※トラニラスト(リザベン)、オキサトマイド(セルテクト)、ペミロラスト
     (アレギサール)は、添付文書に
禁忌記載されています。
  ※なお、ザフィルルカスト(アコレート)、モンテルカスト(シングレア、
    キプレス)について、米国FDA分類ではカテゴリーBとして位置づ
     けられており、妊娠中に使ってもほぼ安全と考えられる薬として分
     類されています。

 
○妊娠中に使ってもほとんど問題ない薬
  
吸入ステロイド薬 :
    フルタイド、キュバール、パルミコート、アズマネックス、オルベスコ
  吸入ステロイド薬/長時間作用性吸入β
2刺激薬(配合剤) :
    アドエア、シムビコート、フルティフォーム
  
吸入抗アレルギー薬 :インタール
  
吸入β2刺激薬 :サルタノール、メプチン、ベロテック、セレベントなど
  
経口β2刺激薬 :メプチン錠、スピロペント錠など
  
テオフィリン薬 :テオドール、テオロング、ユニフィルなど
  
経口ステロイド薬 :プレドニン、リンデロンなど



 ※テオフィリン薬、経口ステロイド薬、経口β2刺激薬などの経口薬は必要
   でない限り使わず、吸入ステロイド薬、インタール、吸入β2刺激薬など
   の吸入薬を使うのがベストと私は考えます。

以上のように、妊娠のときには
インタールを除いた抗アレルギー薬以外はほとんど問題ないと言うのが一般的です。しかし、テオフィリン薬、経口ステロイド薬、経口β2刺激薬などの経口薬は必要でない限り使わない方が得策だと思います。吸入ステロイド薬や吸入β2刺激薬はまず問題ありませんので、これら吸入薬を中心に治療することがベストです。
アドエア、シムビコートは吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬の配合剤であり、妊娠中に使ってもほとんど問題ない薬になると思います。

注意しなければいけないことは、喘息のコントロールが悪いのに薬を恐れて使わず、ひどい発作を起こすことです。ひどい発作を起こして低酸素状態になると、胎児が脳障害を起こす危険もあるからです。
したがって、喘息のコントロールの悪い人は安全性の高い吸入ステロイド薬を使うことが大切だと考えます。また、発作が起きたら我慢せずに病院を受診することが大切です。
私自身の経験では、過去30年以上にわたって妊娠中の多くの患者さんで吸入ステロイド薬を使用してきましたが、問題があった患者さんは一人もいません。また、まれなことですが、ひどい発作のときに点滴をすることもありますが、やはり問題があった患者さんは一人もいません。とはいえ、妊娠中は必要最小限の薬というのが原則です。

以上、妊娠中の喘息治療薬の使用はインタールを除いた抗アレルギー薬以外はほとんど問題ありません。したがって、
喘息が悪ければ適切な治療を受けられことをおすすめします
私は、妊娠中に喘息のコントロールが悪い人は吸入ステロイド薬を使用し、発作があれば吸入β2刺激薬を使用するというのがベストだと思います。勿論、妊娠中に喘息のコントロールが良い人は薬を使用する必要はないと思います。いずれの場合でも、喘息が悪化したときはすぐに病院を受診することが大切です。
なお、喘息治療については、産婦人科の先生に相談するよりも、まず、喘息のかかりつけの先生に相談されるべきだと考えます。そのうえで、産婦人科の先生に連絡・報告されるのが一番良いと思います。

※男性が喘息の薬を服用していても、産まれてくる子供さんにまったく影響
  はありません。


以下に、喘息予防・管理ガイドライ2009に記載されている゜妊娠中の喘息患者に使用できると考えられている薬剤と注意点」を示しますのでご参考下さい。


妊娠中の喘息患者に使用できると考えられている薬剤と注意点
 (喘息予防・管理ガイドライ2015より)


   吸入薬
     1. 吸入ステロイド薬
※1
     2. 吸入β
2刺激薬(吸入ステロイド薬との配合剤を含む)※2
     3. 吸入抗コリン薬※3
     4. クロモグリク酸ナトリウム(DSCG)
   経口薬
     1. 経口ステロイド薬※4
     2. ロイコトリエン受容体拮抗薬※5
     3. テオフィリン徐放製剤
     4. 経口β2刺激薬
     5. 抗ヒスタミン薬※5
   注射
     1. ステロイド薬
     2. アミノフィリン
     3. ボスミン(0.1%アドレナリン)※6
   その他

      貼付β2刺激薬:ツロブテロール※7
※1
※2


※3


※4


※5


※6

※7

トに対する安全性のエビデンスはブデソ二ドが最も多い。
短時間作用性吸入β
2刺激薬(SABA)に比べると、長時間作用性
β
2刺激薬(LABA)の安全性に関するエビデンスは少ないが、妊娠
中の投与の安全性はほぼ同等と考えられている。
長期管理薬として用いた場合の妊婦に対する安全性のエビデンス
はなく、発作治療薬としてのみ安全性が認められている。
プレドニゾロン、メチルプレド二ゾロンは胎盤通過性が小さいことが
知られている。

妊娠中の投与は有益性が上回るときのみに限定すべきであるが、
妊娠を知らずに服用していたとしても危険は少ないと考えられている。
皮下注射はやむを得ないときのみに限られ、一般に妊婦に対しては
避けた方が良いとされている。
吸入薬、経口薬に準じて安全と考えられているが、今後のエビデン
スの集積が必要である。





FDAの基準

アメリカのFDA(Food and Drug Administration=食品医薬品局)では、5段階に分けて薬剤胎児危険度の基準を作っております。そこで、参考のためにその基準と、各喘息治療薬がどこに分類されているのか記載します。
米国FDAでは、薬剤の胎児への危険度を次のようA、B、C、D、Xの5段階に分けて、基準を設けています。

カテゴリーA  (ヒト対照試験で、危険性がみいだされない)
  ヒトの妊娠初期3ヶ月の対照実験で、胎児への影響が
  証明されず、その後の妊娠期間中でも危険であるとい
  う証拠がないもの

カテゴリーB  (人での危険性の証拠はない)
  動物生殖試験では胎児への危険性は否定されている
  が、ヒト妊婦での対照試験は行われてされていないも
  の。あるいは、動物生殖試験で有害な作用が証明され
  ているが、ヒトでの妊娠期 3ヵ月の対照試験では実証
  されていない、またその後の妊娠期間でも 危険である
  という証拠はないもの。
カテゴリーC  (危険性を否定することができない)
  動物生殖試験では胎児に催奇形性、胎仔毒性、その
  他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの
  対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動
  物ともに試験は実施されていないもの。
  大部分の薬はここに分類されますが、潜在的な利益
  が胎児への危険性よりも大きい場合にのみ使用する
  のが原則となっています。
カテゴリーD  (危険性を示す確かな証拠がある)
  ヒトの胎児に明らかに危険であるという証拠があるが、
  危険であっても妊婦への使用による利益が容認され
  るもの。妊婦への生命が重篤か危険な場合で、他の
  安全な薬剤が使用できない場合にのみ投与する薬剤。
カテゴリーX  (妊娠中は禁忌)
  動物またはヒトでの試験で胎児異常が証明されている
  場合、あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の
  証拠がある場合、またはその両方の場合で、この薬剤
  を妊婦に使用することは、他のどんな利益よりも明らか
  に危険性の方が大きいもの。


妊婦における喘息治療薬のFDA基準

 全身性ステロイド薬  プレドニソロン(プレドニン) 
 デキサメタゾン(デカドロン)
 ベタメタゾン(リンデロン)
 ハイドロコーチゾン(ソル・コーテフ、サクシゾン)
 コーチゾン(コートン)
 吸入ステロイド薬  ブデソニド(パルミコート)
 べクロメタゾン(キュバール)
 フルチカゾン(フルタイド)
 アドエア
 シムビコート
 β2刺激薬  テルブタリン(ブリカ二ール)
 その他のβ2刺激薬
 サルメテロール(セレベント)
 テオフィリン薬  (テオドール、ユニフィル、ネオフィリンなど)
 DSCG  (インタール)
 ロイコトリエン拮抗薬  モンテルカスト(シングレア、キプレス) B
 抗アレルギー薬  (ザジテン、アレギサール、アゼプチンなど) C

ヒトでの対照試験が実施されていないものはすべてカテゴリーCになっていますが、薬によってはある程度安全であることが証明されているものもあります。
吸入ステロイド薬、吸入β2刺激薬など喘息治療薬の大部分は、ヒトでの対照試験が実施されていないためカテゴリーCになっていますが、通常の使用量ではほとんど問題ないとされています。


妊娠と薬については おくすり110番をご覧いただくと、大変くわしく説明されていますのでご参照ください。



妊娠と吸入ステロイド薬

「妊娠中に吸入ステロイド薬を使用していても良いのか?」と心配される人は多いと思いますが、「まず問題なし」と考えます。
実際、私自身は20年以上にわたって妊娠中の喘息患者さんの多くに吸入ステロイド薬を使用してきましたが、現在まで、催奇性など問題があった人は一人もありません。
また、吸入ステロイド薬(パルミコート)を使用した2000例以上の患者さんの催奇形性を調査したところ、一般の妊婦の催奇形性の発生率と同程度であったという報告もあります。
妊娠中に著しい発作が起こると、
胎児に悪影響を及ぼす可能性もありますので、喘息がコントロールされていない場合は、積極的に吸入ステロイド薬を使用してコントロールすることが大切だと思います。
喘息の調子が悪いのに、心配のあまり吸入ステロイド薬を自分の判断で中止してしまう人がありますが、それは良いこととはいえません。こういうときは、必ず主治医に相談して下さい。
なお、抗アレルギー薬やロイコトリエン受容体拮抗薬は
妊娠中は原則的に禁忌となっていますし、全身性ステロイド薬の長期使用には問題がありますが、気管支拡張薬を必要に応じて使うことはほとんど問題はないと思います。
いずれにしても、妊娠中の喘息治療薬の使用については、喘息を診察してもらっている主治医によく相談されることが大切です。

※吸入ステロイド薬は、妊婦でもほとんど問題ない薬ですから、男性が吸入
 
ステロイ ド薬を使用していても、産まれてくる子供さんにまったく影響は
  ありません。



妊娠中の喘息管理に関するガイドライン
(全米喘息教育・予防プログラム:NAEPP)

最近、全米喘息教育・予防プログラム(NAEPP)妊娠中の喘息管理に関するガイドラインを10余年ぶりに更新しました。この点について、Medical Ttibune(2005年2月24日号)に要約が記載されていましたので、抜粋して報告します。

最初に、コントロール不良の喘息は
母体と胎児に深刻な医学的問題を引き起こす可能性があるとし、妊娠中の患者が呼吸困難を起こすと胎児は必要な酸素の確保が困難になることを指摘しています。そして、次のような勧告をしています。(Medical Ttibune記事より治療薬に関する部分を抜粋)

(1) 短時間作用性吸入β2刺激薬(サルタノール、メプチン、ベロテックなど)は喘息症状の即効薬と して使用すべきで、妊娠中の女性はこの薬剤を常時携帯すべきある。
(2) 持続する喘息では長期ケアと悪化予防のために日常的な投薬が必要である。吸入ステロイド薬は持続性喘息妊婦の基礎にある炎症をコントロールするために推奨される。妊娠中のブデソニド(パルミコート)使用の安全性に関するデータは,その他の吸入ステロイドのデータよりも多く存在する。しかし、妊娠中のその他の吸入ステロイドの使用が安全でないというを示すデータはないので、喘息を有効にコントロールできれば使用を継続しても良い。
(3) 低用量の吸入ステロイド単独投与で喘息が良好にコントロール出来ない患者 については,吸入ステロイドの増量、または長時間作用性吸入β2刺激薬(セレベント)の追加が奨励される。
(4) 重度の喘息には経口ステロイドが必要かもしれない。ガイドラインはその安全性については相反するデータが存在することを指摘している。しかし、重度でコントロール不良の喘息は母体と胎児に明確なリスクをもたらすため、吸入ステロイドの使用が正当化されるだろう。

このような内容になっており、妊娠中の喘息治療は通常のガイドラインに記載されるいる内容とほとんど変わらないものとなっています。すなわち、喘息治療薬の大部分はほぼ安全であるとしているのに対して、喘息がコントロール不良は母体と胎児に深刻な医学的問題を引き起こす可能性があること、明確なリスクをもたらすことを重要視し、薬物による適切な治療治療を推奨しています。
なお、内容中に、妊娠初期に軽度の喘息だった女性の約30%で喘息が悪化、逆に初期に中等度〜重度の喘息だった女性の23%では妊娠中に喘息が改善したという報告がなされています。
ちなみに、、当院では過去3年間に妊娠中の喘息女性に15人に吸入ステロイドを使用(パルミコート10名、フルタイド5名)しましたが、奇形などの異常は1名もありませんでした。
妊娠にしている方にとって薬を服用することに不安を感じるのは当然のことですが、喘息がコントロールされていない場合は、
母体および胎児への危険性を考慮して適切な治療を受けることが大切だと思います。(2005.3.2記)




 妊娠と喫煙

男性で約40%、女性で約11%が習慣的に喫煙しているといわれています(厚生労働省:平成17年国民健康・栄養調査結果)。
わが国の妊婦の喫煙率は10%と報告されています。タバコにはニコチン、一酸化炭素、シアン化水素などが含まれ、これらの物質は胎盤を通過し、胎児の成長、発達を障害するとされており、間接喫煙を含めて、喫煙は母体および乳児に重大な影響を及ぼします。
その影響は一般に臨床で使用されている
大多数の奥物よりも深刻であるといっても過言ではありません。患者さん本人がタバコを吸うべきでないことは当然のことですが、配偶者や周囲の人々にも患者さんのそばでの禁煙の必要性を理解してもらう必要があります。

・喘息の患者さんにおける喫煙率は決して低くありません。
・喫煙患者さんでは喘息の死亡率が高くなります
・非喫煙患者さんよりも喘息が重症になります。
・喫煙と喘息の因子で呼吸機能が退化します。
・喫煙する喘息患者さんでは喘息管理が悪くなります。

・母親の喫煙は小児の喘息発症や症状悪化の危険因子になります。
・両親が喫煙している生後3ヶ月の乳児が喘息を発症するリスクは、
両親が喫煙していない場合に比べて11倍高くなると報告されています

妊娠中の喫煙は禁物です。ご自身のために、また生まれてくる赤ちゃんのためにも絶対にタバコを吸わないことです。



 妊娠とアルコール

妊娠中のアルコール摂取によって、流産、死産、先天異常が生ずることがわかっています。したがって、妊娠全期間を通じて禁酒することが大切です。
アルコールやその代謝物であるアルデヒドが胎盤を通過し、胎児性アルコール症候群「」「胎児性アルコール効果」をもたらします。
アルコール摂取による先天異常としては、
    1.子宮内胎児発育遅延ならびに成長障害
    2.精神遅滞や多動症などの精神障害
    3.特異顔貌、小頭症などの頭蓋顔面奇形
    4.心奇形、関節異常などの種々の奇形

があげられます。
一般的な常識ですが、喘息の患者さんのみならず、すべての方で妊娠中は禁酒が大原則です。
なお、喘息がコントロールされてない患者さんでは
アルコールの摂取により喘息が悪化することがあります。



授乳と喘息治療薬

喘息治療薬を服用していている場合、薬は母乳に入りますが、その量はわずかであり、授乳していても赤ちゃんに影響がでる可能性はほとんどないと考えられます。たとえ、影響があったとしても、多くは一過性の軽い症状ですむようです。したがって、喘息治療薬では断乳が必要となることはほとんどないと考えます。

しいて、喘息治療薬で授乳により影響が出るかもしれないと考えられる薬をあげるとするなら、
テオフィリン徐放製剤(テオドール、手オロング、スロービッドなど)があります。この場合、赤ちゃんに興奮、不眠、いらいらなどの症状が出ると考えられますが、私自身はそのようなことを経験しておりません。しかし、薬の影響が出る可能性を完全に否定できませんので、赤ちゃん(とくに生後1〜2ヶ月)の様子をよく観察することが望まれます。

私のところでは、喘息治療薬使用中の授乳について、とくに断乳などの指示をすることはありません。ただし、本当に必要な薬だけを最小限に使用するようにしています。

授乳による赤ちゃんへの影響は、妊娠中の服用による胎児への影響に比較すればより危険率が低いと考えます。喘息治療薬の多くは妊娠中に服用してもほとんど問題ないとされていますので、喘息治療薬を服用していて授乳をしても赤ちゃんにほとんど影響を与えることはないと考えます。ほとんどないと思います。中でも、血中への移行が少ない吸入薬はより安全と考えます。


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