ICS/LABA配合剤
(アドエアシムビコート、フルティフォーム、レルベア)

吸入ステロイド薬長時間作用性吸入β2刺激薬)




近年、世界的にアドエア(海外商品名:SeretideまたはAdovair)、シムビコート(海外商品名:Symbicort)、フルティフォーム(海外商品名:Fiutiform)、レルベア(海外商品名:Relvar)の吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性吸入β2刺激薬(LABA)のICS/LABA配合剤がよく使われるようになっています。

アドエア(発売元:グラクソ・スミスクライン)は長時間作用性吸入β2刺激薬のキシナホ酸サルメテロール(SM:商品名セレント)と吸入ステロイド薬のプロピオン酸フルチカゾン(FP:商品名フルタイド)の配合剤で、わが国では2007年6月に発売されました。2009年1月21日にはアドエア100ディスカスが小児気管支喘息への適応が追加され、アドエア250ディスカスが慢性閉塞性肺疾患(COPD:慢性気管支炎・肺気腫)への適応が追加承認されました。また、アドエア50エアゾールも2009年4月に発売されました。

シムビコート(発売元:アストラゼネカ、アステラス製薬)は長時間作用性吸入β2刺激薬のホルメテロール(FM)と吸入ステロイド薬のブデソニド(BUD:商品名パルミコート)の配合剤で2010年1月13日に発売されました。

レルペア(発売元:グラクソ・スミスクライン)は新しい長時間作用性吸入β2刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩:VI)と新しい吸入ステロイド薬のフルチカゾンフランカルボン酸エステル:FF)の配合剤で、わが国では2013年12月に発売されました。

フルティフォーム
(キョーリン製薬)長時間作用性吸入β2刺激薬のホルメテロール(FM)と吸入ステロイド薬のフルチカゾン(FP:商品名フルタイド)の配合剤で2013年11月19日に発売されたエアゾール製剤です。

米国では
モメタゾンフランカルボン酸エステル(吸入ステロイド薬:アズマネックス)とホルモテロールフマル酸塩(長時間作用性吸入β2刺激薬)の配合剤デュレラも発売されており、、喘息治療は配合剤の時代に入ったという状況になっています。
以下、現在発売されているICS/LABA配合剤について記載します。

アドエア

フルチカゾン/サルメテロール(FP/SM
ドライパウダー製剤 エアゾール製剤
アドエアディスカス
(FP/SM-DK)
アドエアエアゾール
(FP/SM-HFA)
  (規格)
アドエア 100ディスカス
アドエア250ディスカス
アドエア 500ディスカス

用量 (FP/SM)
アドエア
100100μg/50μg
アドエア
250250μg/50μg
アドエア
500500μg/50μg


1個  28回(14日分)
1個  60回(30日分)
があります

1回1吸入×2回/日

(規格)
アドエア 50エアゾール
アドエア100エアゾール
アドエア250エアゾール

用量 (FP/SM)
アドエア
50150μg/25μg
アドエア
125120μg/25μg
アドエア
250250μg/25μg

1本  120吸入



1回2吸入×2回/日


アドエアの海外商品名=Seretide、Adovair


 アドエアの主な特徴

長時間作用性吸入β2刺激薬(セレベント)と吸入ステロイド薬(フルタイド)の配合剤であるアドエアには次のような特徴があります。
1  1剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す。
2
 サルメテロールとフルチカゾンプロピオン酸エステルは相互に作用
 し、相乗効果を示す。
3  軽症から重症までの多くの患者で1剤による喘息コントロールの達成
 および維持が期待できる。
4  投与1日目から優れた呼吸機能改善を示す。
5  簡単なディスカス製剤で、1剤で幅広い患者への治療が期待できる。

シムビコート

ブデソニド/ホルモテロール(BUD/FM)
シムビコート
(BUD/FM-DPI)

シムビコート タービュヘイラー 30
シムビコート タービュヘイラー 60

用量 (BUD/FM)
160μg/4.5μg

1個  30回
1個  60回

があります

1回1〜4吸入×2回/日




シムビコートにおけるブデソニドの用量について

シムビコートの用量はブデソニド(商品名:パルミコート)160μg、ホルモテロール4.5μgとなっています。パルミコートでは容器(タービュヘイラー)内ではかりとられるブデソニドの薬剤量(meterd dose)で表記していますが、シムビコートの用量はタービュヘイラーから放出されるブデソニド薬剤量(deliverd dose)で表記されており、ブデソニド160μgはmeterd doseで200μgに相当するそうです。したがって、シムビコートにおけるブデソニドの量はパルミコートの200μgに相当することになります。

アドエアでは100、250、500の3種類があり、それぞれフルチカゾンの薬剤量の100μg、250μg、500μgが表記されています。それに習えばシムビコートは「シムビコート200」ということなりますが、シムビコートは1剤(1種類)で用量調節が可能なため、あえて用量は表記せず、シムビコート タービュヘイラー 30吸入、シムビコート タービュヘイラー 60吸入と吸入回数が表記されています。



 シムビコートの主な特徴

長時間作用性吸入β2刺激薬(ホルモテロール)と吸入ステロイド薬(ブデソニド:商品名パルミコート)の配合剤であるシムビコートには次のような特徴があります。なお、シムビコートに含まれるホルモテロールには即効性と遅効性の効果があります。この点がアドエアとの大きな違いになります。

1  1剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す。
2
 ホルモテロールとブデソニドは相互に作用し、相乗効果を示す。
3  「速やかな効果発現」に加え、「長期にわたるコントロール」が可能
 な薬剤である。
4  吸入1分後から発作治療薬である短時間作用性吸入β2刺激薬と同
 様の速やかな効果発現を示す。
5  タービュヘイラーという優れた吸入器具が装着されており、肺内到達
 に適した大きさの粒子を吸入できる。
6  1剤で用量の調節が出来るようになっており、患者さんの喘息の状態
  に応じて増減することが可能。

● シムビコートの投与方法について
固定用量投与(Fixed Maintenance Dosing Therapy :FD
従来の吸入ステロイド薬やアドエアで使用されているように、一定量を定期的に吸入する方法です。
(わが国では基本的にこの方法で使用することが推奨されています)
用量調節投与(Adjustable maintenance dosing Therapy :AMD
喘息コントロール状態に合わせて薬剤の用量を調節しながら投与する方法で、自覚症状や肺機能の悪化、改善にあわせて吸入量(吸入数)を増減します。
シムビコートを2吸入×2回/日使用していた場合、喘息状態が良好であれば1吸入×2回/日としたり、喘息状態が不良であれは4吸入×2回/日
とし、喘息状態が良好となれば2吸入×2回/日あるいは1吸入×2回/日と状況に応じて用量を調節して投与します。
維持および発作治療療法(Symbicort Maintenance and Reliever TherapySMART
長期管理における定期吸入に加えて症状に応じて要時吸入する維持および発作治療療法で、定期吸入に加えて発作時に吸入する方法です。すなわち、定期的には1〜2吸入×2回/日使用し、発作があればjまず1吸入を吸入し、それでも症状が治まらないときには数分あけてもう1吸入します。ます。
定期吸入が朝1吸入、夜1吸入の場合、発作が出たときに追加吸入できるのは1日合計6吸入まで(合計1日通常8吸入まで)。定期吸入が朝2吸入、夜2吸入の場合は、発作ず出たときに追加吸入できるのは1日4吸入(合計1日通常8吸入まで)までになります。
朝2吸入以上(3〜4吸入)、夜2吸入以上(3〜4吸入)の場合は、発作時頓用としてシムビコートを使用してはいけないことになっています。
CS/LABA配合剤(アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベア)のうちSMART療法が出来るのはシムビコートのみです。





                シムビコートSMART療法の実施方法

                                    (資料提供:アステラス製薬・アストラセネカ社)

  シンビコートでこのような投与方法が可能で、1剤で用量の調節が出来るのが
  特徴です。


ホルモテロールの特性 (効果発現時間と効果持続時間)


シムビコートには長時間作用性吸入β
2刺激薬のホルモテロールが使用されています。下表のようにホルモテロールは効果発現が迅速で、効果持続が長いという特性があります。
発作時に使用する短時間作用性吸入β
2刺激薬のサルブタモール(サルタノールインヘラー、メプチンエアー、ベロテックエロゾルなど)は効果発現が迅速で効果持続が短い、短時間作用性経口β2刺激薬(ブリカニール錠、べネトリン錠、アトック錠など)は効果発現が遅くて効果持続が短い、長時間作用性吸入β2刺激薬して使われているサルメテロール(セレベント)は効果発現が遅くて効果持続が長い、とそれぞれ違いがあります。
すなわち、ホルモテロールは長時間作用性吸入β2刺激薬で効果持続が長く、効果発現が迅速で短時間作用性吸入β2刺激薬と同様の効果があるのが特徴です。

効果持続時間
短い 長い





迅速
   短時間作用性
  吸入β
2刺激薬


  サルタノールインヘラー
  メプチンエアー    
  ベロテックエロゾルなど
 

   長時間作用性
  吸入β
2刺激薬

   (ホルモテロール)

 シムビコートに使用
 フルティホームに使用


遅延
   短時間作用性
  経口β
2刺激薬

  ブリカニール錠
  べネトリン錠
など


   長時間作用性
  吸入β
2刺激薬

   (サルメテロール)
  
  セレベント
   
(ビランテロール)

 アドエアに使用
 レルペアに使用


               ブルーは商品名
                            (文献などより作成)

(サルメテロール)は商品名セレベントとして発売されています。
(ホルモテロール)は2012年9月オーキシスという商品名で発売されています。ただし、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬として適応がありますが、喘息の適応はありません。
ビランテロールは単剤では発売されていません。




フルティフォーム

フルチカゾン/ホルモテロール(FP/FM)
フルティフォーム
(FP/FM-pMDI)

 
    フルティフォーム50エアゾール  
     フルティフォーム125エアゾール 

用量 (FP/FM)
50μg/5μg
125μg/5μg

1個  56吸入
1個  120吸入

があります

1回2〜4吸入×2回/日



 フルティフォームの主な特徴

長時間作用性吸入β2刺激薬(ホルモテロール)と吸入ステロイド薬(フルタイド)の配合剤であるフルティフォームには次のような特徴があります。
1  1剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す。
2
 ホルモテロールとフルチカゾンプロピオン酸エステルは相互に作用
 し、相乗効果を示す。
3  軽症から重症までの多くの患者で1剤による喘息コントロールの達成
 および維持が期待できる。
4  速やかな効果発現に加え、長期にわたるコントロールが可能な薬剤
 である。
5  エアゾール製剤で噴射速度が早くないため、多くの場合そのままクロ
 ーズドマウスで使用できる。

フルティフォームの粒子径は2.1〜4.7μmで、肺内到達に適した範囲の粒子が吸入でき、中枢気道炎症の改善みならず末梢気道炎症の改善にも効果があると考えられます。
吸入ステロイド薬(ICS)はフルタイド、長時間作用性β2刺激薬(LABA)はホルモテロールとアドエアとシムビコートの中間に位置するような配合剤ですが、エアゾール製剤で使用することにより、優れた治療効果が得られる、吸気流速低下に対応できる、局所的副作用に対応できるなどの利点があると考えられます。



レルベア

フルチカゾンフランカルボン酸エステル/
ビランテロール(FF/VI)
レルベア
(FF/VI-DPI)

レルベア 100エリプタ 
レルベア 200エリプタ 

用量 (BUD/FM)
160μg/4.5μg

1個  14回
1個  30回

があります

1回1吸入×1回/日



 レルベアの主な特徴

長時間作用性吸入β2刺激薬(ビランテロール)と吸入ステロイド薬(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)の配合剤であるレルベアには次のような特徴があります。
1  1剤で気道炎症と狭窄両方に優れた効果を示す。
2
 ビランテロールとフルチカゾンフランカルボン酸エステルは相互に作
 用し、相乗効果を示す。
3  軽症から重症までの多くの患者で1剤による喘息コントロールの達成
 および維持が期待できる。
4  投与1日目から優れた呼吸機能改善を示す。
5  簡単なエリプタ製剤で、1日1回1吸入の使用で幅広い患者への治療
 が期待できる。

アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベアの使用方法については吸入ステロイド薬の使い方をご覧ください。
レルベアは最も操作が簡単な吸入薬ですが、効果もかなりあると思われます。私としてはアドエアより優れていると考えており、当院ではアドエアを使用している患者さんの多くでレルベアに変更しております。




アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベアはは喘息治療薬として世界的に使われています。
配合剤は長時間作用性吸入β2刺激薬(気管支拡張薬)と吸入ステロイド薬が1剤になったため、従来、長時間作用性吸入β2刺激薬と吸入ステロイド薬の2剤を吸入していた方はアドエア、シンビコート、フルティフォーム、レルベアでは1剤の吸入でよくなり、2剤が1剤となり大変簡単・便利になります。中でもレルベアは1日1回1吸入という簡便さがあります
配合剤になったことにより相乗効果を示し、長時間作用性吸入β2刺激薬と吸入ステロイド薬を別々に吸入するよりも合剤1剤で吸入する方が効果を示すといわれています。
実際に、当院でアドエアを2000名以上に使用しましたが、相乗効果による症状改善を示したと思われる患者さんがかなりあります。アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベアを使用するようになって、喘息のコントロールはさらに良くなったという印象を持っています。
簡単・便利になって、治療効果も優れていることから服薬アドヒアランスも向上しました。
アドエア、シムビコート、フルティフォーム、レルベアは治療ステップ2から治療ステップ4まで幅広い患者さんに使用でき、1剤による喘息コントロールも期待でき、喘息治療が非常にシンプルになるという面で大変有用だと思われます。
当院で以前から吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬を中心に治療を行っていましたので、とくに治療ステップ3〜4の患者さんで積極的にICS/LABA配合剤を使用しています。


●各ICS/LABAの特性とて使用比較

ICSのところでまとめたが、改めてここで、ICSLABA配合剤の特徴と使用比較についてまとめてみます。


 一 般 名 フルチカゾン

サルメテロール
(FP/SM-DK)
ブデソニド

ホルモテロール
(BUD/FM)
フルチカゾン

サルメテロール
(FP/SM-HFA)
フルチカゾンフランカルボン酸エステル

ビランテロール
(FF/VI)
フルチカゾン

ホルモテロール

(FP/FM-HFA)
 商 品 名 アドエア
ディスカス
シムビコート
アドエア
エアゾール
レルペア フルティ
フォーム
 実物写真
 適  応 成人(小児 成人 成人(小児 成人 成人
 最大使用量
  (小児)
1,000μg/日
(200μg/日)
8吸入/日 1,000μg/日
(200μg/日)
200μg/日 1,000μg/日
 発売年 2007年 2010年 2009年 2013年 2013年
 吸入器具 ディスカス タービュヘイラー インへラー エリプタ インヘラ―
 カウンター あり あり あり あり あり
 添加剤 乳糖(多い) 乳糖(少ない) HFAフロン
乳糖(多い) HFAフロン
 平均粒子径 FP 4.4μm
SM 4.4μm
BUD 2.4μm
FM   2.5μm
3.1μm FF 4.0μm
VI 2.2μm
2.1〜4.7μm
 肺内送達率 15〜17% 40% 30%
 抗炎症作用
 効果持続時間 12時間 12時間 12時間 24時間 12時間
 効果発現時間 遅延(15分) 迅速(1分) やや遅延
(5分?)
遅延(15分) 迅速(1分)
 局所的副作用 やや多い やや少ない 少ない やや多い? 少ない
 吸入臭・味 無臭・甘い 無臭・無味 ほぼ無臭 無臭・甘い アルコール臭
 治療効果
 全身への影響
 簡 便 性 ●〜 ○(× (×)
 操作性 ×
 残量の確認
 臭い・味 ●〜○ △〜×
 携 帯 性 ○(×) × (×)
 吸入感 ×
 迅速性 × ×
 発作への対応 × × × ×
 末梢気道炎症 × △〜× × 〇〜
 吸う力が弱い
 患者への対応
× × ×
 末梢気道炎症 × △〜× × 〇〜
 局所的副作用 〇〜△
 1剤用量調節 × × × 〇〜

●:大変優れている ○:優れている △:やや劣る ×:劣る

                宮川武彦:medicina 52,1984-1988,2015に追加、一部変更



 ICS/LABA配合剤の位置づけ
























当院では、以前から吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬(セレベント)を中心にした治療を行っており、治療ステップ3、4の患者さんでは配合剤を第一選択薬として位置付づけて使用しいます。また、治療ステップ2の患者さんの一部にも合剤を使用してます。理由は操作が簡単であること、2剤が1剤になり便利になったこと、治療効果が優れていることなどです。

配合剤の位置づけを治療ステップ別に考えてみますと、治療ステップス3および治療ステップ4でICS/LABA配合剤(アドエア
、シムビコート、フルティフォーム、レルベア)を使用することは全く問題ないと思います。
問題は治療ステップ2におけるICS/LABAの使用ですが、現在のところ、当院では一部は吸入ステロイド薬のみ、一部は配合剤を使用しているという状況です。
当初、治療ステップ2で配合剤を使用するのは、吸入ステロイド薬のみでコントロール不良の場合にのみ使用していましたが、配合剤の早期の症状改善効果を期待して、導入はまず配合剤を使用することで早期に症状を安定させ、その後、経過が極めて良ければ吸入ステロイド薬のみに変更するという方法をとっています。
治療ステップ2では、最初から「吸入ステロイド薬のみを使用するか」、「ICS/LABA配合剤を使用するか」、の判断は難しい点がありますが、早期に患者さんの症状を改善させるということを考えると、最初は配合剤で良いと考えます。そして、経過が極めて安定すれば吸入ステロイド薬のみに変更するという方法が最も良いのではないかと考えています。

なお、当院における治療ステップ2の治療では、吸入ステロイド薬のみ、または配合剤のみと極めてシンプルな治療を行っており、その他の薬剤はほとんど使用することはありません。



 ICS/LABA配合剤の使用

喘息におけるアドエア、シムビコートの1日使用量の目安は下記の通りです。

成人

治療ステップ2 治療ステップ3 治療ステップ4
 アドエア100ディスカス 1吸入×2回
 アドエア250ディスカス 1吸入×2回
 アドエア500ディスカス 1吸入×2回
 アドエア50エアゾール 2吸入×2回
 アドエア125エアゾール 2吸入×2回
 アドエア250エアゾール 2吸入×2回
 シムビコート 1吸入×2回 2吸入×2回 4吸入×2回
 レルペア100 1吸入×1回 1吸入×1回
 レルペア200 1吸入×1回 1吸入×1回
 フルティフォーム50 2吸入×2回
 フルティフォーム125 2吸入×2回 4吸入×2回


小児 (5歳以上)

ステップ2
軽症持続型
ステップ3
中等症持続型
ステップ4
重症持続型
 アドエア100ディスカス 1吸入×2回 1吸入×2回
 アドエア50エアゾール 1吸入×2回
または
2吸入×2回
2吸入×2回

現在のところ、小児適応となっている配合剤はアドエアのみで、使用は原則として5歳以上になっています。6〜15歳において配合剤はステップ3では追加治療に記載され、ステップ4では基本治療に記載されています。

アドエアディスカス100、250、500は1回に吸入するフルタイドの量を示すもので、いずれの製剤でも、セレベントの用量は1回に50μgです。
アドエア50エアゾールは1回に吸入するフルタイドの量を示すもので、いずれの製剤でも、セレベントの用量は1回に25μgです。
アドエアディスカスは100、250、500と3剤型あり、それぞれ治療ステップに合わせて使い分けますが、シムビコートは1剤で用量の調節が出来るようになっており、患者さんの喘息の状態に応じて増減することが可能です。




    
以下、当院においてすでに使用したアドエア(アドエアディスカス)とシムビコートの使用経
    験、シムビコートSMART療法の実施経験について記載します。



アドエアの使用経験

アドエアが発売された2007年6月から使用していますが、アドエアを使用した患者さんに、治改善効果、効果発現時期、使いやすさ、便利さ、短時間作用性β2刺激薬の使用量、使用印象などについてアンケート調査を実施しましたので、アドエアの使用経験としてその結果を示します。
対象は、
     【A】:吸入ステロイド薬+セレベント(183名)
     【B】:吸入ステロイド薬群(111名)
     【C】:初回治療(230名)              計 524名


(以下、すべて当院でのデータ:2008年)

症状の改善と効果発現時期

全例(A、B、C)にアドエアによる症状の改善についてアンケートしましたが、68.0%で「大変良くなった」「良くなった」「少し良くなった」と回答しています。
効果発現時期は初日からが32.3%、2〜3日からが37.9%で3日以内が71.6%、1週間以内は88.7%で、早期の治療効果が示されています。



使いやすさと便利さ

使いやすさ、便利さについてもアンケートを行ないましたが、使いやすさでは83.0%で「大変使いやすい」「使いやすい」と回答し、便利さでは85.3%で「便利」と回答しています。
ディスカス製剤の特徴は操作が簡単というのが大きな特徴ですが、2剤が1剤になった便利さもあり、アドエアは多くの患者さんから支持されています。


短時間作用性β2刺激薬使用量

アドエアを使用した患者さんのうち121名で短時間作用性β2刺激薬を使用していましたが、アドエア使用によってA、B、Cいずれでも短時間作用性β2刺激薬の使用量減少しており、全体では74.4%で減少が見られています。アドエア使用で最も顕著に変化したことは、短時間作用性β2刺激薬の減少でした。すなわち、アドエア使用によって喘息のコントロールが良くなり、短時間作用性β2刺激薬が必要な発作が減ったということを示しています。
患者さんの使用印象

アドエアの患者さんの使用印象は「大変良い」「良い」と回答したのは80.4%で、多くの患者さんで大変良い印象が得られております。

アドエア導入によるACT点数の変化

アドエア導入前後に喘息コントロールテスト(ACT)を実施し、その変化を検討しましたが、●吸入ステロイド薬にセレベントを併用していた患者さん(A)では、導入前に20点以下がかなりありましたが、導入後には20点以上(とくに22〜25点が増加しています。(1.5点増加) ●吸入ステロイド薬は使用していてセレベントを併用していなかった患者さん(B)では、導入前に20点以下が多くありましたが、導入後には20点以上が明らかに増加しています。(3.5点増加) ●初回治療(C)の患者さんでは、導入前に20点以下が非常に多くありましたが、導入後には20点以上が著しく増加しています。(6.2点増加)

アドエア導入による平均PEF値の変化

アドエア導入前後の平均ピークフロー値(PEF)の変化を検討しましたが、●吸入ステロイド薬にセレベントを併用していた患者さん(A)では、導入後に15.6L/minの増加 ●吸入ステロイド薬は使用していてセレベントを併用していなかった患者さん(B)では、導入後に45.9L/minの増加 ●初回治療(C)の患者さんでは、導入後に75.7.L/minの増加が見られています。
アドエアによる調査項目別改善率

アドエアを使用した患者さんについ、喘息コントロールテスト(ACT)、イージー・アズマ・プログラム(EAP)、ピークフロー値(PEF)、アンケート調査を実施した結果を示しましたが、A、B、Cいずれでも一定の改善率を示しており、アドエアの有用性を示す結果となっています。

吸入ステロイド薬にセレベントを併用していた患者さん(A)より、吸入ステロイド薬は使用していてセレベントを併用していなかった患者さん(B)の方が改善率が高くなっています。また、初回治療(C)の患者さんでは(B)よりさらに改善率が高くなっています。


     【A】:吸入ステロイド薬+セレベント(183名)
     【B】:吸入ステロイド薬群(111名)
     【C】:初回治療(230名)   

   
当院における今年度のアドエア使用状況

当院では喘息の患者さんに吸入ステロイド薬を基本治療薬(第一選択薬)として積極的に使用していますが、2007年6月からは合剤のアドエアを多用するようになりました。今回、2008年に受診した成人喘息の患者さんのアドエア使用状況を調査しましたので、その結果を記載します。
アドエアの使用状況 (成人:2008年)





吸入ステロイド薬
使用者数 %
うちアドエア
使用者数 %
16-29 205 160 78.0% 78 48.8%
30-39 283 296 85.0% 147 49.6%
40-49 263 232 87.3% 101 43.5%
50-59 273 233 84.0% 111 47.6%
60-69 289 260 89.9% 121 46.5%
70-7 251 236 92.8% 91 38.6%
成人 1,570 1,367 87.1% 649 47.5%
アドエア使用者数%は吸入ステロイド薬使用者数に占める比率





シムビコートの使用経験

シムビコートが発売された2010年1月13日から使用していますが、シムビコートを使用した患者さんに、症状改善効果、効果発現時間、短時間作用性β2刺激薬の使用量、使用印象などについてのアンケート調査およびピークフローの測定、喘息コントロールテストを実施しましたので、シムビコートの使用経験としてその結果を示します。
対象は2010年1月13日〜3月12日の2ヶ月間の間に、吸入ステロイド薬+サルメテロール(セレベント)またはアドエアからシムビコートに変更した121名です。すなわち、シムビコート変更前に吸入ステロイド薬+サルメテロール、または吸入ステロイド薬/サルメテロール(アドエア)を使用していた121名です。詳細は下図に示した通りで、アドエアから変更が2/3を占めています。
なお、吸入ステロイド薬単独使用または吸入ステロイド薬+他剤からシムビコートへの変更例、初診でシムビコートを使用した例は含まれておりません。

アンケートはシムビコート変更2週間後に実施、ACTはシムビコート変更前と変更2週間後に実施、PEFはシムビコート使用開始後2週間(朝・夜)実施。

症状の改善と朝の快適感

シムビコートによる症状の改善についてアンケートしましたが、56%で「大変良くなった」「良くなった」「少し良くなった」と回答しています。
朝の快適感はシムビコートの使用によって朝の日常生活が今までより改善するのではないかということでアンケートを行いましたが、38%で「快適になった」「少し快適になった」と回答しています。
この結果は、すでに吸入ステロイド薬+サルメテロール(セレベント)またはアドエアを使用していた例ということを考えると、非常に良い結果だと思います。


即効性と短時間作用性吸入β2刺激薬使用量

シムビコートは即効性があるとされていますで、症状改善例でどれくらいの患者さんが即効性を感じたかアンケートを行いましたが、「5分以内に感じた」37%、「5分以上たって感じた」26%と、63%で早期に効果を感じています。一方「感じなかった」と回答したの方は37%ありました。


シムビコートの吸入感と残量カウンター

吸入感では「吸った感じがしなかった」と回答したのは63%ありました。パルミコートには乳糖か添加されていませんでしたが、合剤のシムビコートでは乳糖が添加されています。しかしその量は少量で、添加されている乳糖の量が多いアドエアに比較して吸った感じがしないようです。
残量カウンターについては、いずれもシムビコート変更前に1回1回残量の数字が示されるアドエアまたはセレベントのディスカスを使用していますので、数字が60、40、20、0(60回用)しか示されませんので、75%が「わかりにくい」と回答しています。

ただし、残量が少なくなるとカウンターの背景が赤色になるのでわかりやすいと答えた方もありました。

シムビコートの使用印象

シムビコートの全体的使用印象は「大変良い」「良い」が54%と半分以上の患者さんで良いという印象を持っており、シムビコートと前使用薬と「どちらが良いですから?」と尋ねたところ、57%が「シムビコートが良い」と答えており、「前使用薬が良い」が25%であったことを結果を考えると、シムビコートは非常に患者さんに好評であったという結果になっています。好評な理由は「症状が改善したから」「即効性があるから」「吸いやすいから」「操作が簡単だから」などでした。


シムビコート変更前後のACT各項目の平均点数

シムビコート変更前後のACT(喘息コントロールテスト)の各項目(5点満点)の平均点数をを比較しましたが、いずれの項目でもシムビコート変更後に点数が増加しています。とくに、質問2の喘息症状で点数の増加が著しく、その結果、質問5のコントロール状況の点数も増加しています。すなわち、シムビコートはすでに吸入ステロイド薬+セレベントまたはアドエアを使用していた患者さんでも症状を改善する効果がかなりあることを示しています。


シムビコート変更後のピークフロー(PEF)値

96名の患者さんでシムビコートに変更してから2週間、毎日朝・夜の2回ピークフローを9測定してもらいましたが、下図に示すように、シムビコート変更後に朝も夜もPEF値は日を追うごとに増加しています。


吸入後のPEF経時推移の比較

1名の患者さんでシムビコート2吸入、サルタノール2吸入、アドエア250・1吸入をそれぞれ吸入してもらい、吸入前、1、3、5、10、15分後にPEFを測定してもらいましたが、下図に示す通り、シムビコートでは短時間作用性吸入β2刺激薬のサルタノールとほぼ同程度に1分後からPEF値が上昇しており、シムビコートに含まれる長時間作用性吸入β2刺激薬ホルモテロールは即効性も有していることが示されました。

シムビコートは短時間作用性吸入β2刺激薬と同様に即効性がありますが、現在のところ、発作時の使用は適応になっていません。

    ● シムビコート長期(10ヶ月)使用例の経過

シムビコートが発売されてちょうど1年になりました。当院でも発売当初より多くの患者さんに使用してきましたが、今回、10ヶ月継続してシムビコートを使用した患者さんがどうであるかを検討しましたので記載します。
シムビコートを10ヶ月間使用した患者さんは61名で、いずれも他の吸入ステロイド薬+セレベントまたはアドエアからシムビコートに変更した患者さんについて経過を見てみました。シムビコート使用後2週間のデータについては「吸入ステロイド薬合剤(アドエア、シムビコート)」の項に記載しましたのでご参照ください。
他の吸入ステロイド薬+セレベントまたはアドエアからシムビコートに変更した患者さんについて、10ヶ月後に
喘息コントロールテスト(ACT)、ピークフロー(PEF)、聞き取り調査、急性増悪の回数について2週後、10ヶ月後で調査しました。
ACTは2週後で平均1.9点増加(変更前:19.7点→変更後21.6点)していましたが、10ヶ月後にはさらに0.5点増加(22.1点)していました。シムビコート変更前に比較してACT点数の増加は41名(67%)、不変は20名(33%)で減少は0名で、トータルコントロールは2名から18名に増加していました。
PEFは朝が変更前:323L/min(平均)に対して2週間後:355L/minで32L/min増加、、10ヶ月後には363L/minとさらに8L/min増加(計40L/min増加)していました。夜も変更前:329L/min(平均)に対して2週間後:368L/minで39L/min増加、、10ヶ月後には376L/minとさらに8L/min増加(計47L/min増加)していました。
聞き取り調査では、変更前に比較して症状は良くなったかどうかを聞きましたが、「大変良くなった」15%、「良くなった」49%、「少し良くなった」26%と、実に90%の人が「良くなった」と答えています。現在の喘息の状態については「非常に安定」が36%、「安定」が44%、「やや不安定」が20%で、80%が「安定」と答えています。
急性増悪の回数についても調べましたが(61名中33名は変更前後とも急性増悪なし)、全体で変更前10ヶ月間で急性増悪は71回でしたが、シムビコート変更後10ヶ月間では42回と、41%減少していました。
以上の結果から、シムビコートは使用早期のみならず長期的にも非常に安定した効果を発揮すると思われました。もちろん、10ヶ月使用した患者さんのほとんどがシムビコートで効果があったので続けた方ばかりですから、その点を考慮しなければなりませんが、それにしても、
この結果は私自身も少し驚きでした。新しい吸入ステロイド薬や合剤が出るたびに喘息のコントロールが良くなる患者さんが増えていますが、シムビコートの登場でさらにコントロールが良くなる患者さんが多くなるのではないかと思います(2011.1.12記載:喘息最新情報249と同文)


シムビコートSMART療法の実施経験

シムビコートSMART療法(Symbicort Maintenance And Rliever Therapy)は長期管理における定期に加え、発作(症状)があれば追加吸入する維持および発作治療投与で2012年6月21日に追加承認され、わが国でも実施できるようになりました。
当院ではシムビコートを使用している患者さんで積極的にSMART療法を活用していますので、以下にその結果を示します。

下記の実施経験は2012年6月21日〜2013年12月20日までの1年半の間に行ったものです。

SMART療法の患者指導


SMART療法における追加吸入の頻度

SMART療法を実施したかどうかを確認できたのは507名で、うちSMART療法を実施したのは298名(58.8%)でした。




その298名における追加吸入の頻度を平均で見たものですが、月1回が63.1%と圧倒的に多くをめています。月2〜3回が26.8%で、週1回が4.7%、週2〜4回が5.4%で、それほど頻繁には使用していませんでした。
なお、1日8吸入以上した患者さんはいませんでしたし、発作(症状)時のみにシムビコートを吸入している患者さんもいませんでした。


シムビコート追加吸入による発作(症状)改善効果



これはシムビコート追加吸入による発作または症状改善効果について、実際に追加吸入をしたことがある298名の患者さんに尋ねた結果ですが、「良くなった・・・楽になった」という患者さんは241名、80.9%で、一部に良くならなかった、わからないという患者さんがありましたが、シムビコートの追加吸入は発作または症状の改善に明らかに効果があると考えられました。

シムビコートに対する患者さんの評価 −SABAとの比較−


SABAのサルタノール、メプチン、ベロテックを使用していた患者さんで、発作(症状)出現時にSABAの代わりにシムビコートを使用した患者さん45名において、SABAとシムビコートでは効果の面でどちらが良いかということをたずねた結果ですが、シムビコートと答えた患者さんが46.7%で、変わらないが20.0%、SABAが良いが33.3%で、シムビコートの発作・症状改善効果はSABAと遜色ないと考えられました。

SMART療法と急性増悪


シムビコートを定期的に固定用量投与していた1年間と、その後にSMART療法を実施した1年間の急性増悪の回数を比較してみましたが、固定用量投与でSMART療法を実施していなかった1年間の急性増悪は69回でしたが、SMART療法実施後の1年間では41回と406.%減少していました。この結果からSMART療法は、急性増悪を減少させる優れた治療法であると考えられました。

SMART療法と喘息クイックチェック


前の症例と同じ患者さん51名で、SMART療法実施前と実施1年後の喘息クイックチェックを比較したものです。「良くコントロールできている」は35%増加し、「あまりコントロールできていない」は80%減少しています。

症状では咳、痰は25.8%、21.4%とやや改善程度ですが、「ぜーぜー・ヒューヒュー」と「息苦しい」というところでは、47.6%、54.5%の減少とかなり改善がみられています。
また、夜間症状も75.0%減少、仕事や家事への支障も50.0%減少と著しい改善がみられており、SMART療法によって患者さんのQOLは明らかに向上したと考えられました。


SMART療法の懸念と対応策


SMART療法の懸念と対処法は上記に示す通りです。
実際にこうした説明によって過剰に使用していたり、発作時のみに使用していたケースはありませんでした。また、現在まで心血管系に関する有害事象はありませんでした。

SMART療法についてまとめは以下のようになります。
発作治療薬としての効果はほぼ確実にみられ、発作(症状)出現時に使用して良くなったという患者さんは多く、その効果はSABA(サルタノール。メプチン、ベロテックなど)に比較して遜色ありませんでした。
一つのデバイスで長期管理と発作治療が可能という便利さが有用で、患者さんにも好評でした。
SMART療法を実施したことによって急性増悪は明らかに減少し、患者さんのQOLも向上しました。
SMART療法の実施でシムビコートを過剰に使用しているケースはありませんでした。。
発作時のみにシムビコートを吸入しているケースはありませんでした。
SMART療法による喘息および心血管系に関する有害事象は認められませんでした。
SMART療法は事前に十分な説明を行えば、安全に使用できると考えられました。


以上から、シムビコートSMART療法は今後の喘息治療戦略として極めて有用であると考えられました。

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